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           ◇ 電気分解法

 
 軽水炉などの原子力発電による電力を用いて、水を水素と酸素に電気分解することにより、水素の製造を行う方法である。電力と水から分離精製などの工程なしで純度の高い水素が得られるために、需要地の水素ステーション(燃料電池自動車に燃料の水素を供給するステーション)での水素製造法として期待されている。
 原子炉の熱量に対する生成する水素の有する熱量の割合で示した水素生成効率は、電気分解効率が80%(アルカリ水電解質)〜90%(固体高分子電解質)なので、軽水炉発電(熱効率32%)では25%程度、将来の高温ガス炉発電(熱効率48%)では45%程度と目されている。
 技術的には原子力発電も水の電気分解も実用レベルなので、この方法による水素の生産は現段階でも可能である。製造コストは他の方法より高い。(堀 雅夫)