◇ 熱化学分解法 | |
水の直接熱分解は2500℃以上の温度で理論的には考えられるが、実際的には幾つかの化学反応を組み合わせて1000℃以下の温度で水の分解を行わせる熱化学分解法が用いられる。熱化学分解法にはこれまでに100以上の方法が提案されている。その中で、沃素と硫黄の化合物を用いたS-I法が現在最も有望と考えられている。 図に示したS-I法の反応式から判るように、高温での吸熱と低温での発熱を伴う反応により、供給した水は水素と酸素に分解されるが、沃素、硫黄などの化合物は元に戻り繰り返し反応する、すなわち熱化学サイクルを行う。熱化学分解法は、現在のところ低くても750℃〜850℃の熱を供給する必要があるので、高温ガス炉や高温液体金属炉と組み合わせる方法が研究・開発されている。水素生成効率(原子炉の熱量に対する生成する水素の有する熱量の割合)は50%以上が得られる。(堀 雅夫) | |
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