六ヶ所再処理工場の試運転を推進すべきか


「エネルギー問題に発言する会」会員

出席者:池亀亮、石井陽一郎、石川迪夫、小笠原英雄、斉藤修、柴山哲男、杉野榮美、太組健兒、竹内哲夫、松永一郎、武藤正

司会:益田恭尚

 

司会:わが国の燃料サイクルの完結を目指し、六ヶ所村の再処理施設は立地から数えると30年の歳月と、約2兆円の費用を掛けて建設を進めて来ましたが、ほぼ完成しウラン試験という建設の最終段階の試運転を迎えようとしています。
従来から原子力発電に対し反対する人々から高レベル放射性廃棄物の処分に関しては根強い反対がありましたが、昨年、電気事業連合会から、燃料サイクルに要する費用は約19兆円であるという数字が発表されて以来、原子力推進派と目される人や、一部自民党の議員からも六ヶ所再処理施設のホット試験凍結を唱える声が挙がり、反対派の意見に対して火に油を注ぐ結果となっています。
只今、日本原燃株式会社の建設試運転事務所長 の峰松昭義氏をお招きして、建設状況について大変自信に満ちたお話を伺うことができました 。いろいろトラブルはあったが、それらを解決し、運転員を始めとする技術者の教育も済ませ、後は、申請済みの保安規定の認可と、地元との安全協定の締結が済めば、試運転の最終段階の一つの関門であるウラン試験にいつでも入れる、いわば準備万端整った状況にあるとのことであります。
本日は、六ヶ所再処理工場の試運転についてどう考えたらよいかという点を中心に、皆様の率直なご意見を頂きたいと思います。
先ず、再処理・高速炉路線が国策として決定された経緯について、当時の事情に詳しいRさんからご説明頂きたいと思います。

R:  原子力長期計画が最初に作られたのは1956年です。戦時体験を通じて、エネルギー資源の重要さを身に沁みて体験していた当時のリーダー達はエネルギー安全保障について強い危機感を持っていました。原子力は無資源国日本に新たなエネルギー源を与えて呉れる。特に増殖炉が実現すればわが国のエネルギー安全保障は万全となる。しかも、原子力は技術が生んだエネルギー、技術立国の日本に最適であるというのが一致した意見であったのです。その夢と理想を実現するための研究開発の重要な柱として、使用済燃料の再処理と高速増殖炉の開発が組み込まれました。
その後、半世紀に亘り巨額の研究開発投資が行われて来ました。六ヶ所再処理工場は試験の最終段階を迎えるところに来ているものの、残念ながら、高速増殖炉は商業化のめどが立っていないのが現実です。今後、これらの経験を踏まえ、徹底的な検討をもとにしてロードマップの再構築をすることが必要ですが、当初の原子力開発の基本的理念は現在も生き続けているものと考えます。

S:  核燃料サイクルの帰趨は将来の日本のエネルギー事情を左右する大切な問題です。大いに議論し、改めるべきは改め、国会をも巻き込む形で国家百年の計の再構築に向け検討することが必要です。

司会:日本原燃の社長を務められたことのあるTさんから、再処理プラントの運転開始の意義について要点をお話頂きたいと思います。

T:  エネルギー問題は未来を見据えた課題であり、長期的な視点に立ち、技術開発を進め、情勢の変化に対応できる態勢を確立しておくことが大切です。この六ヶ所の再処理施設はそのような基本路線に沿って進められて来たものです。
高速増殖炉は夢の原子炉であり、その登頂には時間がかかります。今のウランの需給状況や価格相場を見てサイクル政策を論じるという刹那的な物の考え方で経済性を論じるよりも、未来に向けた技術開発を着実に進める必要があると考えます。再処理工場は技術の完成に向けて、最後の登頂アタックをするところに来ています。今やらなければ登頂の舞台は二度と来ないでしょう。中断や一時保留は実質的には凍結を意味し、国際的にも、日本は再処理を放棄したのだなと映ることでしょう。工場が稼動し、再処理技術を習得することになれば国際的評価が高まり、エネルギー確保のための大きなバーゲニングパワーとなることを忘れてはなりません。

J:  エネルギーセキュリティーの問題は忘れてはならない大きな課題です。食料自給率も40%しかありませんが、エネルギー自給率は4%しかありません。現在も石油価格の高騰が続いていますが、石油の供給状況が厳しくなったときのことを常に考えて、それに備えておく必要があります。1973年のオイルショックを思い出せば分かるとおり、急激な供給不安が来てから慌てても間に合わないということを十分認識すべきです。原子力の利点が最大限に発揮できるのは、核燃料サイクルが完成した暁だと考えるべきでしょう。

O:  石油、天然ガス等の化石燃料調達の費用は単に購入単価だけの問題ではなく、シーレーン確保のための海上保安にかかる費用、外交上の費用、資源探査の費用もかかっています。イラクへの自衛隊派遣も関係がないとは言えないでしょう。国がエネルギー資源確保のためどのような努力をすべきか、長期的にみた評価をする必要があります。
再処理の問題は単にバックエンドコストの観点で他と比較して判断すべきではなく、国策の一環として考える必要があるのです。

S:  要はエネルギーをどう考えるかということです。食糧とエネルギーはどちらも単位は同じカロリーです。歴史的にみてエネルギーの使用量が少ないときには人口も少なかった。食糧が安定的に手に入るようになり人口が増えました。エネルギーが安定的に供給されるようになり、一挙に人口爆発が起こったのです。

J:  食糧自給率が40%、エネルギー自給率がたった4%しかないのに、これだけ繁栄しているのは日本だけです。技術立国で努力を積み上げてきたのと、たまたま運が良かったためであって、そのようなことが何時までも続くと思っていては非常に危険です。

T:  世界の原子力先進国は超長期的な資源確保という立場から使用済み燃料の中のプルトニウムやウランを再利用するつもりで技術開発と体制を準備しています。米国もこの例外ではありませんが、核不拡散の立場から情報発信には慎重な立場を取っています。エネルギー資源の乏しい日本こそ懸命にチャレンジすべきです。

司会:この点は非常に重要なポイントです。後でまた話題になると思います。
それでは、日本原燃の説明を聞いて、建設の進行状況に対し、どのような感想を持たれたかという点から話題を進めたいと思います。

R:  中々よくやっているという印象を持ちました。しかし、地元住民の気持ちを考えると、矢張りプールライナーのリークは大きな問題でありました。またこれが工程遅延の大きな原因にもなりました。日本原燃は「原子力発電所で多くの実績があり、周辺機器であるため油断してしまった」と説明していましたが、この点についてメーカOBの立場での感想は如何ですか。

M;  プールライナーの施工不良による漏洩問題を起こし、OBの立場とはいえ申し訳なく思っています。類似の技術である発電プラントの使用済燃料貯蔵プールの豊富な建設経験と、その建設に携わった専門メーカとの協力関係を過信し、多分そこに油断が生じ管理が不十分になったのではないかなと推測し、心を痛めております。幸いこれを契機に、日本原燃の努力で品質保証体制の見直しと改善、全施設の徹底的な品質再点検が実施されました。
この再処理施設は、原子力発電プラントとは違い、状態や性質の異なる各種の固体や液体や気体の流れる化学プラントです。日本原燃は、内外の先行再処理施設の建設運転経験を充分に反映し、規制当局とも充分に連絡を保ちつつ、操業を開始する前に、「水や空気」を使った「通水作動試験」、「化学薬品」を使う「化学試験」、次に「ウラン」を使っての「ウラン試験」、そして「使用済燃料」を使用した「アクティブ試験」へと段階的に進めますが、各々の試験はさらに、「機器単体試験」、「系統試験」、「建屋別試験」を経て「工場全体試験」へと進めるという、慎重な段取りで進めています。これらの試験を通し、機器の動作や性能の確認などを行い、併せて機器などの不具合や故障を操業前に早期に見つけ、手直しなどを行ってきています。また、試験を通じて、運転員や補修員の更なる技術向上を図るとのことです。現在までに既に「化学試験」を終了し、不具合の手直しも完了して、今回いよいよ次のステップである「ウラン試験」に入ろうとしているところです。
勿論「ウラン試験」に入る前には、保安規定の国の認可を得て、地元との「安全協定」も締結することになっています。「ウラン試験」が遅滞なく、計画通り実施されることが重要であると考えています。

司会:硝酸供給系の配管で漏洩を起こしたとのことですが。

V:  放射性物質を含まないユーティリティー系統で起こったとのことです。硝酸配管に付属している弁のガスケットが基本仕様に合致しない耐酸性の不充分なものであったため、ガスケットが損傷し漏れたと聞いております。この反省がその後実施された、全系統に亘る徹底的な品質保証点検の実施に繋がりました。
硝酸系統の配管の溶接は欠陥の発生しないよう設計仕様と施工基準を定め、資格試験等も厳しく管理していて問題なかったのですが。

司会:どうも周辺機器で問題が起こっているようですね、今までの経験からも、皆が注意を払っているところは案外問題が起こらないものです。周辺機器などについて更なる注意を払うよう、今後の戒めとすべきでしょう。
ところで「総延長1500Kmに及ぶ配管が強酸で腐食され漏洩すれば、軽水炉の水漏れどころではない」という一般の方の心配に対してはどのように説明できるのでしょうか。

L:  再処理施設の配管は全体で約1300 Kmありますが、その内ウラン・プルトニウムを内包する配管は約60Km、強酸の通る配管でも約200Km程度です。重要度に応じクラス分けを行い、主要設備は補修がしにくいという点を考慮した設計と品質保証を行っています。例えば小口径管は軽水炉では継ぎ手を使ってソケット溶接をしているところが多いのですが、ウラン・プルトニウムを内包する配管のような重要配管はすべて突合せ溶接とし、X線検査を行います。さらに加圧試験により漏洩確認試験を実施しています。
放射性物質を含んだ溶液の漏洩が起こる可能性があるセル内は、すべて床にステンレスのライナーを張ってあります。したがって漏れても各部屋の外に漏れることはありません。

司会:「ウラン試験を含む「試験運転全体計画書」については、保安院に1年半前に提出し、核燃料サイクル安全小委員会で審議され、本年3月には改定版が了承された」と説明がありました。さらに「海外とJNC東海のトラブル事例約1200件を分析し、実プラントに反映している」また「160項目に及ぶ代表的トラブル事例を上げ、発生した場合の対応を検討し、これを地元にも説明している」という、今までにあまり例のない対応をとっているとのことであります。この点についてはどう考えられますか。

U:  今まで経験の少ない分野ですから、今後、トラブルが発生する可能性は否定できないでしょう。しかし、始めから考えられるトラブルを想定して対応することによりトラブルは大幅に減らすことが出来ると思います。試運転の目的の一つでもありますが、試運転段階で今後起こしそうなトラブルをなるべく出し切ると共に、今後もこのような努力を続けていって欲しいと思います。

司会:運転員の教育に大変力を注いでおられるように伺いました。また独自の資格認定制度を採用しているとのことでした。その点について感想やご意見を頂きたいと思います。

S:  長期計画のもと、海外や国内の施設に中核となる要員を派遣して訓練を積んでこられたとの説明を受けました。また所内にも運転訓練施設があり、保安訓練シミュレータや、主要設備と同一設計の機器を設置し訓練をしているとのことでした。しかし、何分経験者が少ない分野です。実施中の試運転期間を通して、いろいろなトラブルを経験することによって、問題を解決する中で、技術の向上を図っていって欲しいと思います。

I:  「現在JNC、メーカ、電力からの出向社員の応援を得ながら進めているが、それらの技術者の転籍も含め、できるだけプロパー化して行こうとの計画で進めている」とのことでした。「現在、プロパーが60%になってきたが、その内青森県内出身者の割合は75%に達している」とも言っていました。県内の出身者をプロパー社員として養成しているというのは一体感の醸成や定着という点からいっても非常によいことではないでしょうか。

司会:それでは少し話題を変え、反対意見に対しどう考えるか議論したいと思います。
先ず、「一度ウラン試験を開始すると工場全体が汚染されて管理費も膨らんでしまう。安価なウランを備蓄する方が合理的である。ウラン価格が安く、高速増殖炉の開発の先が見えないのに試運転を急ぐ必要はない」との反対意見があるようですが。

S:  そんな馬鹿な考え方はおかしいでしょう。折角努力して2兆円も掛けて作った施設です、試験もしないで放置することは大きな損失です。できるだけ早く運転して、技術習得に努めるべきです。運転経験を積むことによって初めて次のステップへの飛躍が期待できるのです。

R:   そもそも,六ヶ所工場を建設した主たる目的の一つは、再処理工場を実際に運転して技術を習得し、改善を図ることにあった筈です。いまウランが安いからと言って、試運転もせずに工場を廃止するには相当の理由がなければなりません。試運転に入ってからプラントを廃止すれば、その処理に多額の費用が必要だと心配するかもしれませんが、電気事業分科会のコスト試算によれば、これらの費用を含めても、経済的に石油やLNG発電と競合できるとされています。今やめる理由はありません。

T:  若い運転員もよしやってやろうと張り切っているところです。先に伸ばしてしまったら士気も衰え、教育した運転員も四散してしまい、次に始めようとしても不可能です。

L:   10年以上前から設計を始めたプラントです。設計者も定年を迎える人が増えてきています。今を逃したら、トラブルでも起こった時、どのような考えで設計したかもだんだん分からなくなってしまいます。

司会:「鉄は熱い内に打て」ですね。

司会:高速炉増殖炉の開発のめどが立たないために、プルサーマルに逃げようとしているのはけしからんという論調も見られますが。

U:最後の目標は高速炉用の燃料であることは確かです。しかし、プルサーマルは高速炉が上手く行かなくなったから出てきたものではありません。フランス、ドイツ等、世界10ヶ国55基の軽水炉で既に1970年代から実用化されています。わが国でも1970年代から研究が進められ、1980年代からは美浜と敦賀で照射試験に引き続き、実証を進めて来ました。現在の軽水炉でもウラン燃料の中で生成したプルトニウムが燃えていることは良く知られているところです。また新型転換炉ふげんはこの混合酸化物(MOX)燃料を使った原子炉で、十分な実績を持っています。
余分なプルトニウムを貯めないためにも、また、より技術的に難しい高速炉燃料の再処理やプルトニウム燃料の製造加工の技術に繋げるためにも、是非早期にプルサーマルが実用化されることを願うものです。

司会:「工場を稼動すれば今後更に9兆円の追加費用がかかる」「建設費は当初の見積が完成時には3倍の2兆円になった。この9兆円も3倍に挙がり膨れ上がりかねない」「これを国民に転嫁しようとしているのは許せない」という反対意見について。

T:   19兆円とか9兆円とかの数字が一人歩きしていて、一般の人には事情が分からないのではないでしょうか。これらの数字は、再処理施設の操業期間を2006年度から2045年度までの40年間とし、2046年までに発生する使用済み燃料の再処理および中間貯蔵、保管管理、輸送、MOX燃料加工、返還廃棄物関連費用、廃棄物の処理・処分費用、再処理プラントの廃止処置のための費用等総てについて試算したものの総額が18.8兆円であり、その中で再処理関連費が9.45兆円だということです。この中の一部は発生時期が2080年までかかるものもあります。
再処理をしないで、使用済燃料を地層処分しようとするのであれば、そのための相当多額な処分費を別途計上する必要があり、上記費用がまるまる節約されるわけではありません。
この計算は国の委員会の要請に応え、電気事業連合会で行い、第三者の委員に数字の根拠を示しながら報告書に纏め公表されたものです。六ヶ所工場の建設予算を組んだ頃は再処理の経験もなく、フランスのデータを基に試算したため大幅な予算超過を来たしましたが、いまは経験も積み、データも揃っていますから、大きなずれはないと考えられます 。注1)
この計算によると、原子力発電の発電コストは5.30円/kWhとなり、その内、バックエンドコストは0.81円/kWhとなります。注2)

司会:バックエンドコストのおおよそのイメージを得るために簡単な計算をしてみます。この40年間の原子力による総発電量は約25兆kWhです。このうち約半分は時期のずれから、この施設で処理することになりません。従って、単純に9兆円を25兆kWhに0.5を掛けた12.5兆kWhで割り、kWh当たりに換算してみますと、0.72円/kWhとなり、大体のイメージを掴んでいただけるのではないかと思います。

J:現在、化石燃料により年間約5,500億kWhの発電をしています。この燃料費はバレル当り27.4$としますと年間で略2.2兆円となります。電力用化石燃料費として40年間で88兆円の貴重な外貨を支払うのです。40年後の石油の価格がいくらになるかは誰も分かりませんが、今年になってからだけでも2割以上値上がりしたと世界中で大騒ぎをしています。それから見ても、40年後とても2割や3割の値上げでは済みそうもないと考えるべきでしょう。その時、値上げ分を国民に転嫁するのはけしからんと考えるのでしょうか。それと比べれば9兆円というのはそんなに異常な数字ではないということが理解して頂けるでしょう。マスコミも是非そのような点を説明して欲しいものです。

I:  人間社会は太古の時代から生活廃棄物を出し続けてきました。それが貝塚などとして残っています。文化が進んだ現在、日本は産業廃棄物だけで年間4億トンも出し、捨て場に困っているのです。廃棄物問題は地球環境にとって大きな問題で、無害化だけでなく、できるだけ量を減らす努力を続けていかなければなりません。
廃棄物といえば、二酸化炭素による気候温暖化は地球規模の廃棄物問題です。原子力発電の開発は二酸化炭素排出削減に不可欠であることを理解して貰う必要があります。

R:  先程の講演のとき40年間の再処理費9兆円が実現可能か確認しましたが、今の予定で進めれば自信があるとのことで安心しました。
しかし工程が遅れるとコストに大きな影響があることを忘れてはなりません。プールの漏洩が原因で工程が遅れたのは、日本原燃の責任ですが、プールの補修も終わり、総ての設備の健全性も確認された現在、一日も早く保安規定が認可され、地元との安全協定が結ばれ、ウラン試験に入ることを心から望みます。

T:  科学技術立国、物作りの国を標榜しているわが国は、これからも世界の最先端を進んでいかなければなりません。失敗と苦労を重ねることにより前進できるのです。橋や道路や戦艦大和の建設と、時間をかけて培養していかなければならない科学技術とは次元の違う話で、同列に論ずるのは間違っています。
先達が既に進めている六ヶ所再処理工場やプルサーマルの実施にもこんなに怖がり、その時の相場観で異議を唱えるような風潮では無資源国日本の将来はどうなるのでしょう。
六ヶ所は日本の核融合炉(ITER)の誘致地点になっています。一段階も二段階も前の技術である再処理に対し、こんな反対議論が運転直前になって出ているのは国際的な物笑いの種ですね。

V:  本格的な再処理工場は始めての経験ですから、今後も、いろいろなトラブルの発生が予想されます。日本原燃はすべて公開の原則で進めると言っております。周辺機器といえどもトラブルを起こさないよう努力すべきは勿論ですが、国民各位も、トラブル発生時冷静に評価して頂き、安全性と余り関係ないトラブルにより、試運転が遅延しないことを期待します。そして9兆円が大幅にオーバした等ということにならないようにして欲しいものです。

司会:ウラン試験を直前にして、いろいろ雑音が入り、日本原燃の士気が心配されました。本日は皆様の前で、しっかりやっている状況を説明頂き一先ず安心しました。このような規模の再処理工場はロシアや中国等を除く自由世界ではフランス、英国に次いで3番目のプラントです。世界が注目しています。関係者一同気を引き締めて、完成に向けて頑張っていただくことを祈念して座談会を終わらせて頂きます。

 


注1)日本原燃株式会社の説明によると、予算が大幅に増額したのは主に次のような点である。
・三沢基地が近いことによる航空機の落下事故対策費や日本の特殊事情による耐震性向上等の再処理工場の安全対策の充実に伴う追加仕様 
・核拡散防止の立場から先行プラントUP3にない混合脱硝としたことに伴うコスト増 
・当初の計画から9年以上に亘る物価上昇の影響
・工事の進捗に伴い工場製作や現地工事内容の詳細仕様の明確化に伴う増加
・工程遅延に伴う人件費や建設中利子の増加等、計画当初予測できなかった変化が起こったため
であるとしている。

2) 発電コストは割引率、プラントの稼働率、償却方法により異なるが、ここに示したものは割引率3%、プラント稼働率80%、運転年数40年で均等化した原価を示している。