新エネルギーの最近の動向
日時:平成19年1月17日 15:00〜17:00
場所:NUPEC虎ノ門4丁目MTビル6階会議室
出席者:(敬称略、順不同)池亀亮、竹内哲夫、斉藤修、益田恭尚、伊藤睦、小川博巳、荒井利治、加藤洋明、土井彰、松永一郎、金氏顕、中神靖夫、柴山哲男、石井正則、石井陽一郎、税所昭南、篠田渡、佐藤祥次、畑弘通、堀雅夫、下田秀雄、斎藤伸三、宅間正夫、菅原剛彦、栗原裕、今村敬一、末木隆夫、林 勉
傍聴者 永田匡尚、
講師:(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
参事 小井沢 和明氏
座長:伊藤 睦
議事概要
座長より今回の座談会テーマ選定の経緯について説明。
新エネいわゆる再生可能エネルギーについてはすでに皆様よく知っておられ、いまさら何をというかもしれないが、技術は日進月歩である。
現在取り纏め中の「エネルギー基本法」見直しの前書きに、見直しの前提の第一として、「環境に適合的なエネルギー需給構造を実現するため原子力発電を積極的に推進し、新エネの着実な導入拡大を図る事」を掲げており基本方針本文でも第一の省エネに続き、第二に原子力とともに新エネの再生可能エネルギー開発・利用を掲げており、国は新エネを原子力とともにわが国の重要なエネルギー源と位置づけている。とくに、バイオエネルギーについては最近マスコミ的にエタノールが注目を集めている。
そこで、我々は新エネルギーの最近の動向について、正確な知識をベースに正しく認識をしておくべきと考えてこのテーマが選ばれた。
座長より講師小井沢 和明(こいざわかずあき)氏の略歴紹介。
1954年生
1978年3月 東京大学工学部都市工学科卒
4月 通商産業省入省(資源エネルギー庁公益事業部水力課)、公益事業部発電課(水力、地熱担当課長補佐)、石油部備蓄課、公益事業部開発課、JETROリオデジャネイロ事務所、中部経済産業局資源エネルギー部長、関東経済産業局資源エネルギー部長等を経て
2004年7月 NEDO新エネルギー技術開発部長
2005年10月 現職(NEDO参事、エネルギー・環境技術本部副本部長)
引き続き、小井沢氏より「エネルギー・環境技術開発の現状」と題して添付PPTを用いてご講演いただき、最後に活発な質疑応答・意見交換を行った。
講演の概要
配布資料: PPTのコピーおよびNEDOのパンフレット「NEDO Environment &Enegy Booklet 2006」
新エネを取り巻く最近の動向
原油価格の高騰と京都議定書発効で、最近NEDOの活動も大きく変わってきた。
昨年は各国でエネルギー政策の見直しの動きがあった。
米国では「先端エネルギーイニシアチブ」でエネルギー省のクリーンエネルギー研究予算が22%増加するなど、環境に関心が無いと見られていたブッシュ政権もいろいろやり始めた。
欧州でも欧州共通のエネルギー政策「グリーンペーパー」策定の動きがあり、ドイツ、フランスでは新エネ導入拡大の動きがある。イギリスでも同様である。
中国では、第11次5カ年計画で省エネが本格的に動き出し、最近省エネ法を改正し省エネの実効をあげる方針である。そして、真面目に日本の省エネ技術、政策を学ぼうとしている。
日本は京都議定書発効に伴い2010年の温室効果ガス排出目標値(正確には08年から12年の平均値)を各起源別に定めた目標達成計画を作った。その、メインはエネルギー起源のCO2の削減である。代替フロンの削減や森林吸収なども入れて、不足分は京都メカニズムを組み入れて6%削減を達成する目標である。
この計画も最近の実状を勘案し来年から始まる第一約束期間にあわせて、今年中に見直しされる。経産省の産業構造審議会と環境省の環境審議会が合同で部会を開いて具体的な対策などを審議することになっている。
スターン・レビューの紹介。
スターン・レビューは英国の気候変動特別担当顧問であるニコラス・スターン卿が昨年10月に発表した気候変動が経済に及ぼす影響を包括的に分析した報告書である。地球温暖化は現状のまま放置すれば、平均気温が産業革命以前に比べて5℃以上上昇する可能性があり、その場合の経済的損失は毎年GDPの5%から20%以上になる。これを回避するには大気中のGHGの濃度を550ppm程度に抑制する必要がありあり、その対策には毎年GDPの1%程度ですむ。12月のナイロビで開催されたCOP/MOP会議で取り上げられ、話題となった。
NEDOの組織と活動の概要
NEDOは技術開発をする機関である。エネルギー関係だけでなく経産省にかかわる産業技術全般の技術開発を担当しており、予算は年間2300億円程度である。
エネルギー分野の事業は技術開発、実証、導入普及の3本柱で展開している。
新エネ・省エネ関係の予算は約1200億円で、この3本柱でおおよそ3等分になっている。
新エネルギーについて
国の新エネ導入計画
京都議定書目標達成計画の数値の裏づけとなる国の新エネ導入目標は、05年3月に見直され2010年度に於ける1次エネルギー供給に占める割合を1%強から3%強まで伸ばしている。その半分以上は製紙工場など出る黒液であるが、これは今でも相当使われており今後の伸びは期待できない。伸ばしているのは太陽光、風力、バイオマスである。太陽光は急速に伸びておりすでに容量では100万kwを超えている。風力も100万kwを超えている。何れも2010年には現状の3倍強を目指している。バイオマスは、熱利用を重視し、最近の液体燃料(バイオエタノールなど)への活用を入れている。
この目標数値は環境派にはまだまだ低いといわれているが、相当高いハードルと思っている。
新エネ開発は京都議定書目標達成の問題だけではなく、2020年、30年を考えれば重要なエネルギーであり長期的な開発の取り組みが必要である。
太陽光発電について
太陽光発電開発の始まりはオイルショック後の1974年のサンシャイン計画であったが、その後一言で言えば太陽電池のコストを下げる技術開発をやってきたと言える。
その結果コストは1/100程度になった。最近の10年でも相当安くなってきている。
特に日本の電池生産量は世界の半分を占めており年率40%を超える勢いで急速に生産量が増えてきた。地道に研究開発を進めてきた成果がやっと花開いたといえよう。
そのためでもあるが、国別の導入推移を見るとここ数年で急速に伸びてきた。最近ドイツの伸びが著しく、昨年日本の累積設備容量はドイツに抜かれて世界の2位になった。
日本では、研究開発によるコスト低減と補助金施策(住宅用の太陽電池に補助金を出す)が導入拡大の大きな力になった。
1戸建ての住宅で3〜4kwの太陽光発電設備が普通であり、66万円/kwとして3kw搭載すると約200万円かかる。補助金はkwあたりで減少してきたが、導入促進の効果は大きかった。しかしこの制度は2005年に終わってしまったので、今後伸びの鈍化が危惧される。さらに、電力会社が高く買ってくれる(使用電力量と同じ金額約20円/kwh)制度が導入拡大の大きな要素であった。
一方、ドイツは再生可能エネルギーの導入政策を強力に進めており(固定価格約70円/Kwhで買い取る)急速に導入が進んだ。
技術では日本がトップと自負している。生産量は世界の半分以上。マーケットは5千億円程度のなって大きなビジネスになって来て新規参入企業も出てきた。特にドイツ、中国のメーカが力を付けて来ている。
現在は結晶シリコン系が主体(多結晶Si57%、単結晶Si28%)であるが、シリコン不足からシリコン価格が上昇している。今後の技術開発動向として、非Si結晶系電池の開発が進んでいる。この分野では欧米と競合している。
この開発は民間が独自でもやっているところがあるが、NEDOと産業界、学界が中心で取り組んでおり、夫々の技術(多接合薄膜電池、化合物系薄膜電池、色素増感、有機薄膜など)の開発についてロードマップ(PV2030)を作って進めている。ロードマップのシナリオは現状の40円/kwhを2010年に23円、2020年14円、2030年7円にすることである。
電池そのものの技術開発のほか系統連携技術の開発も大事でありやっている。例として、群馬県太田市での系統との連携試験(510軒の家庭の屋根に約4kw/軒の電池を設置し、全体で約2千kwの太陽電池を系統につなげて系統への悪影響を緩和する実証研究)、愛知万博での新エネ全体(太陽光、燃料電池、NAS電池など)のマイクログリッドによる連携試験などをやった。
バイオエネルギーについて
日本のバイオマス腑存量は木質系が大半で、間伐材、木屑、建築廃材などの木質系が30%、製紙工場の廃液(黒液)の木質系が30%でこれに農業残渣、畜産廃棄物、下水汚泥、食品廃棄物を加えて全部あわせて、1次エネルギー供給の約8%相当である。
日本では耕地面積などの制約から、バイオ燃料用に作物を作るのは難しい現状であるので、このような廃棄物系のバイオマスの有効利用が大切である。
話題のバイオ燃料とは木質系や農業残渣から糖を作り、これを発酵させて作るエタノールと廃食油等の油脂から作るディーゼル代替燃料(BDF)がある。
エタノールは米国とブラジルが主要生産国で米国はトウモロコシ、ブラジルではサトウキビから非常に安く生産できている。日本は木質系からエタノールを生産する技術に重点をおいて開発している。日本では最近バイオに期待度が高まりすぎている。ブラジルは砂糖キビをあまりエネルギーを使わずに作るのでエネルギー収支は6倍ぐらいあるが、トウモロコシから生産している米国のエタノールのエネルギーバランスは1を超える程度と悪い。日本でもこのことを良く考慮して開発を進める必要があると認識している。ただ、発酵は熱を出さないのでエネルギー収支がよくなる可能性があり、長い目では馬鹿にしてはいけない。ブラジルからの輸入より安くなる技術を開発すべく頑張っている。
地域活性化という意味でも、バイオマスの活用技術を開発すべきであるが、実際には転換(発酵)技術より、原料を集める技術が問題であり廃材や間伐材を安く効率よく収集・運搬するシステムの開発も重要である。
アジア全体ではバイオマスは有望なエネルギー源であり、各国から日本の技術が求められている。日本の産業政策上もこれに応える必要もあり、技術開発を進めている。
沖縄の伊江島でのエネルギー用のサトウキビからエタノール発酵システム実証試験と木質系バイオマスからのエタノール製造技術開発の事例がある。日揮の技術、月島機械の技術はうまく行っている事例である。
つい最近の農水省が大量のバイオマス燃料の導入計画を発表したが、自動車用としては50万KLの計画に対して600万kLといっている。背景には農業振興策があるようだが、実現可能か疑問である。
風力発電について
日本における導入の推移は、2000年ごろから急速に伸びて、昨年3月末で1,078MW,1,050基設置されている。補助金の仕組みが出来た事もあるが、初期にはコストが問題であった。大型化でコストダウンが進み急速に伸びた。世の中の主流は2,000kwである。1、000kwの発電機は鉄塔高さが約60m、羽が60mで、全体の高さが100mを超える。日本では三菱重工の2,400kwが最大。海外では5,000kwのものも出来ている。
太陽光は約40円/Kwhであるが、風力は質は別にして量的には現状補助金を入れないでも10円強/kwhである。補助金を入れるとコストは10円を切り、電力会社も購入する意欲が出てくるだろう。
風力発電の産業もマーケットが広がって、企業も力を入れている。今までは9割が外国製であったが三菱重工が力を付けてきた。最近富士重工も参入してきた。
世界の導入量ではドイツが大きい。洋上風力にも力を入れている。インドも延びてきた。中国でも風況の良い砂漠地帯に設置が進んでいる。日本の適地は北海道や日本海側の遠隔地であり、系統との連携が問題。洋上風力も検討されているが、海底の地形や漁業権など課題がある。
風車も風況(台風、落雷、風の乱れ)が欧州などと違い同じ風車でも稼働率が違ってくる。日本の風況にあった風力発電のガイドラインを作る必要があり、作業をしている。
新エネの導入に伴う系統連携技術の開発について
太田市での集中連携型太陽光発電システムの実証試験、万博や京丹後市におけるマイクログリッド、北海道の大型風力発電の安定化技術開発、瞬停も許さない高品質供給システム、MW級の大規模太陽光発電との系統連携実証試験など各種系統連携技術の研究をやっている。
蓄電システムの開発
さらに、新エネの共通的な要素技術として大幅なコストダウン、長寿命化、大容量化を狙った、次世代蓄電池システムの技術開発を今年度(18年度)から始めた。
地域新エネビジョン策定事業
新エネのスムーズな導入を図るには地域に活用してもらうのがよいので、地方自治体に新エネ導入のインセンチブを持ってもらうための計画策定を支援する事業(地域新エネビジョン策定事業)をやっている。事例としては、を岩手県葛巻町における風力発電やバイオマス発電、愛知県田原市における、風力発電、太陽光発電、公用車廃食油燃料利用などがある。
省エネについて
日本は省エネ、エネルギーの効率向上が進んでおり、省エネ技術も国際的に最も進んだ技術を持っている。温暖化防止の対策として京都議定書第一約束期間の目標達成というような短期的な対策には新エネよりも省エネが効果的であり,国を挙げて取り組んでいる。。
NEDOでは先導技術開発から実用化、実証試験まで幅広く担当している。先導的な研究はNEDOが100%負担している。実用化では2/3、実証段階1/2負担している。
最近の技術開発事例として直接ガラス化によるガラス溶解技術、有機EL技術による照明技術、コンビナート複数工場間のエネルギー統合回収技術、民生部門としては水和物スラリー空調システム技術開発などがある。その他、住宅・建築物の省エネについても補助事業で普及を進めている。
環境対策技術について
CO2より温室効果の大きいガスであるフロンについて、その回収・分解、代替フロン、ノンフロン化技術等の技術開発を積極的に進めている。
石炭のクリーン使用技術開発も大切であり、いろいろやっている。その一つとして、石炭ガス化の実証試験(EAGLE)を北九州市若松区でやっている。
国際事業について
日本の優れた技術開発成果を海外にも普及させるべく、アジア各国でモデル事業を展開している。日本ではごく当たり前の技術でも、中国では未設置の技術について初号機を日本からり技術移転し、その後は中国国内で普及させる。中国の省エネはアジアのエネルギーセキュリテイ、日本のエネルギー安定供給確保の上でも大事であり、関連する産業のビジネスも拡大するので、中国で多くのモデル事業を展開している。中国は最近本気で省エネ技術を導入する姿勢に変ってきた。
この方式は、アジアの他国にも展開して行く。インドにもこれから力を入れてやっていく。
東アジアサミットで議論されたが、セミナーなどを開催しアジア各国と関係を深めていく。12月にインドでフォーラムを大規模にやったが、3月にはベトナムでやる計画である。
以上いろいろエネルギーについての開発の現状を説明したが、NEDOはNEDO法の基で原子力の技術開発は除外されていることを承知してほしい。
質疑応・意見交換の要旨
林: 太陽光発電コストを7円/kwh程度にするという目標の実現性は。
小井沢:ロードマップのシナリオの7円/kwhの実現は正直かなりきつい。太陽光は稼働率を考慮すれば日本の気象条件では高くつくが、発展途上国やインドなどでは気象条件がよくかつ電気の来ていない地域では分散電源としてコスト的にも魅力があり有望な電源と考えられこれから延びることが期待される。
7円は確かにきついが、マーケットが増えて中国など参入企業も増えて競争が激しくなっており、新技術のシーズも有り、7円への見通しは無いわけではない。世界の1次エネルギーとして、2100年頃には太陽光が相当のウエイトを占めるといわれており、そのためにも今から日本の技術をきちんと作っておく必要があると考える。
杉野:太陽光や風力発電のコストで、敷地面積や効率を考慮すれば、言い方がアンフェアではないか。
小井沢:太陽光は土地が必要なのは事実である。今の重さでは簡易構造の屋根に載せることは難しい。しかし、新型の電池が開発されて、道路や空き地に設置できるようになったり、光の方向に常に向きを変えて集光する電池システムが開発されれば用途も広がり効率も上がる。太陽光は大規模な発電所のイメージではなく、中規模の発電設備として活用される事を期待している。
太陽光発電のコスト下がってきたが、寿命はどの程度か。
小井沢:現状の電池でも20年以上は持つ。住宅の寿命以上に持つ必要は無く、20年30年は持つはずである。ただ、未だそこまで使った実績が積まれてないので耐久性に懸念を持つ人もいる。特に新型の電池は耐久性も重要な品質課題でありその点を含めて技術開発をしている。
コストダウンは何がネックか。設備費か材料費か
小井沢:基本的には製造コストである。作るスピードを上げることが必要。また、現在の結晶シリコン系ではガラスのコストも大きな問題である。
石井(陽):新ネネの普及には電池が物をいうと思う。価格目標の1.5万円/kwhの意味は。
電池の設備容量あたりの値段である。
石井(陽):電池は鉛電池が一番良いといったが、電力が開発したNAS電池の評価は。
小井沢:NAS電池は良くなった。今でも鉛蓄電池はデバイス技術としてキャパシターとか超伝導のSMESやフライホイール技術とバッティングしている。単に安いだけでは鉛蓄池が安いが、大容量となればNAS電池がメリットある。万博では500kwの電池でよい成績を残している。レドックスフローという電池もあるが,ものすごくデカイ。いろいろな電池があるがどれも1長1短あり、そんなに簡単な技術ではない。ただ、良いものが出来れば大変大きな効果があることは間違いない。
益田:マスコミが新エネの良いところだけを大きく取り上げ報道するので、一般の人は新エネで日本のエネルギー供給は解決できると幻想している。最近のバイオなどはいい例である。
マスコミにデメリットをちゃんというとか、補助金を出している事ももっと知らしめることが大事ではないか
土井:太陽光発電482万kwが原子力発電所4基分と言うが、これは全く違う。
自給自足の話で万博の設備のことを言ったが、これは、全部出来たらそうだと言うもので、作るのに使ったエネルギーを含めたら自給自足に程遠い。新エネも出来上がった後だけで、自給自足が出来、日本のエネルギーは大丈夫と誤解される。
NEDOの言う事は非常に影響があり慎重に物言う必要がある。
小井沢:良く解っており、NEDOとしても注意して説明している。バイオの農水省の報道はNEDOも驚いている。しかし、技術開発の必要が無いわけではない。
例えば、2千2百kwの万博新エネ設備は運転費を入れて約80億円も掛かっている。実験設備だから高いのは当然だが、世間に対する宣伝効果は大きい。
竹内:省エネの技術開発は良い。新エネはエネルギーを救済するためにやっていると誤解を生んでいる。日本では産業界のビジネスチャンスを作るためにやっているということをもっと言うべきではないか。補助金を使っての普及も誤解を生む。裸ベースで言わなければならない。
小井沢:本当にビジネスチャンスのためだけだったら、国が金を出す必要は無い。国のエネルギー政策としてやっている部分もあることは確かである。
竹内: 日本は新エネがあれば原子力は要らないという流れがあった。その流れから抜け出せていないのではないか。
加藤: 今度の原子力立国計画では再生可能エネルギーも原子力もやらないとエネルギー問題は長い目で解決しないと言っている。
一方、太陽光は大きな研究開発効果がある。日本は世界地の生産量を誇るマスプロの生産技術が出来たようにビジネスチャンスが開けた事も事実である。
小川:ドイツの補助金政策や買取方式などは何れ破綻するのではないかと思われるが。
小井沢: NEDOは技術屋集団で余り政策には詳しくない。ただ、ドイツのエネルギー政策は長続きしない、むしろ省エネに力を入れよという意見もある。ドイツは脱原子力政策を含めてエネルギー政策が変るとみている。
宅間: 技術で生きていく日本として、エネルギー、水,食量問題などは市場経済、市場構造の谷間にある。早くこれから抜け出さなければならない。
中神: 国際展開を進める上で対象の国とプロジェクトの選定の基準や評価方法は。
小井沢:プロジェクトの提案を受け、その国で普及する可能性、波及効果などを評価して決める。他に、予め決めてある国ごとに基本的な対応戦略(たとえば中国はもう良い、タイは共同研究的にやる等)に照らして提案プロジェクトを評価し選定している。
池亀: ODA的に言えば、やったことに対する評価のやり方が気になる。
小井沢:資料の説明を飛ばしたが、独法になった時に評価の仕組みを全く新しくした。
コストパフォーマンス,波及効果も含めて評価する手法をNEDOとして開発し適用している。
池亀: 評価報告は公開されるか。
小井沢:公開する。特定プロジェクトでも、要求により開示する。
以上