エネルギー問題に発言する会設立趣意書
平成13年12月7日
今日の日本は誠に平和な、他国が羨望する文化的な生活が営める国です。私達はこの状態を永く子々孫々まで続けたいと希望しています。思い起こせば五十余年前、第二次世界大戦に敗れて荒廃した国土から今日を創りあげた力は国民全体の努力によるものではありますが、その陰に復興の原動力となった工業を支えたエネルギーの確保、安定供給が有ったことを見逃してはなりません。
エネルギーの安定供給は、ただ工業界、産業界のためのものだけではありません。エネルギーは、生きとし生ける者全てが使用してその営を支えるものですから、その確保は種の発展存続を支配するものでもあります。それは私達人類が狩猟、農耕、工業とエネルギーの安定確保手段を向上させることによって、人口を飛躍的に増加させた歴史的事実からも明らかであります。エネルギーの本質とは実にここにあります。
しかし残念なことにわが国のマスコミ論調には、核エネルギーに対する一方的な批判や、エネルギー問題の本質を忘れた環境論など偏重したものが多く見受けられます。
長年エネルギー産業の実務に携わってきた私達の心配は、多くの国民(サイレントマジョリテイ)がエネルギー問題に関心を持っても、正確で十分な情報に接することが出来ず、十分な国民的論議がなされないままに偏ったマスコミの論調が一人歩きをし、国の根幹に関わるエネルギー問題の方向性が形成されていくのではないかという点にあります。第二次世界大戦前夜のわが国の状態がまさにこのような状況に近かったのではないでしょうか。このような懸念を少しでも払拭するためには、私達の積極的な発言がいまこそ必要と考えています。
もちろん私達の間でエネルギー問題は常にその見解や意見が一致するものではありません。しかしながら少なくとも人の生活においてエネルギーの確保と安定供給は必要不可欠であり、またエネルギー資源に乏しいわが国にとって、原子力は現在においても、将来においても基盤エネルギーとしての地位を確保し続けることになりましょうし、これがまた地球温暖化抑制の面からも重要であるとの認識は共通のものであります。
私達はこの共通認識の上に立脚しながら、多岐にわたるエネルギー問題に対して、私達個々人の多様な意見を社会に発信して参ります。