東日本大震災をのり越えて 共に立ち上がろう

 

2011311日に発生した東北地方太平洋沖地震はマグニチュード9.0で、我が国観測史上、最大規模の激震であった。加えて巨大津波が沿岸の市町村を襲い、壊滅的な被害をもたらしました。多くの行方不明の方々を、未だに懸命に探索中です。

 

被災者の皆様には心からのお見舞いを申し上げ、不幸にしてお亡くなりになった方々のご冥福を、衷心よりお祈り申し上げます。

 

福島第一原子力発電所は地震直後に、核反応は直ちに自動停止したものの、地震と巨大津波の被災により全電源喪失を招き、炉心および使用済燃料プールの冷却材喪失事故と核燃料損傷事故を招き、発電所周辺住民の皆様には、原子力災害特別措置法に基づき広域退避が指示されました。震源地に近い女川原子力発電所は、地元の津波災害の歴史的な記録を活かして、整地レベルを海抜14.8mに設定していたのが、今回の難を逃れ得た理由かとも思われます。想像を絶する多重の過酷事故は、世界の原子力発電所の耐震設計と津波対策、危機管理を含む総合的な安全性に関して、根源的な見直し検討を求めることとなりました。

 

人類の長い歴史の中で、火の文明から化石エネルギー文明へと進化し、更には原子力エネルギー文明へのパラダイムシフトが進みつつある中で、この大事故は、グローバルなエネルギー確保の在り方、原子力平和利用の在り方にも、改めて強く再考を促しました。

 

図らずも我々は「原子力」をとことん語るために、「学生とシニアの往復書簡」を重ね、現時点までの成果をまとめ出版の準備中ですが、一日も早く世に問いたいと念じています。

その中に提示する課題と共に、今回の大事故が求める反省は、次世代を担う学生と若い原子力技術者に、そして又シニアにも「元気を出して再挑戦せよ」と呼びかけているように思われます。

 

計画停電の不便さが身に沁みる今こそ、市民の皆様も手を携えて共に立ち上がり、改めて、エネルギー確保を如何に安定化するか、原子力の安全性を如何に高めるかについて、共に考えて頂きたいと願っております。

平成23318

 

とことん語れ「原子力」−学生とシニアの往復書簡−

編集チーム幹事  小川 博巳