読売新聞「21世紀の選択、エネルギー」の記事に賛同

 

                     平成14年7月6日

                     エネルギー問題に発言する会 林 勉

 

 6月30日付け読売新聞に、新井光雄編集委員の署名入りで、諸外国の原子力発電の最近の状況について、半ページを費やして大々的に報道している。

 皆さんもこの記事に目をとめられた方も多いと思いますが、久しぶりに見る大新聞での原子力発電についての正しい報道にふれ、うれしい思いでした。まだ読んでない方は是非読んでください。これについての詳しい論評は必要ないと思いますが、要点を感想を交えて報告させていただきます。

 前書きには「国内の原子力問題はプルサーマルの行き詰まりなどに象徴されるように逆風の真っただなかにある。しかし視線を世界に向けるとアジアで着実な原子力立地、それにフィンランドが欧州で約10年ぶりに原子力新設を決めるなど、これまでの流れに一種の「底打ち感」が出てきていることも間違いない。」としている。

 フィンランドについては、「30年ぶり原発建設、「脱原発」変化の兆し、「過度のロシア依存を回避」などと報じている。そしてこれが「温暖化防止、新たな潮流」となってきていることについて触れている。この流れを受け、欧州のスウェーデン、ドイツ、ベルギー、イタリアなど、脱原発を決めている国でも、それぞれの国情に応じて、修正、見なおしの動きが出てきていることを報じている。

 またアジアについても、韓国では「次世代型の開発へ」、中国では「火力、水力を補完」、インドでは「建設予定10基も」の見出しのもとに、それぞれの状況を報じている。

 さらにアメリカでは、ブッシュ政権が地元の反対があるものの、高レベル放射性廃棄物処理場所をユッカマウンテン(ネバダ州)に決たことを報じ、また民間が新規原子力立地の動きを強めているなど原子力を巡る状況が微妙に変化、それが顕在化していることは確かだとしている。

 翻ってわが国は原子力問題がこう着状態に陥っている間に世界の情勢が大きく変化、気がついた時には取り残されていたというような事態は避けなければならないとしている。全く同感である。何も世界の動向に従う必要はないが、資源欠乏国として自国のエネルギー政策をどう考えていくべきか、原子力の果たす役割をどうすべきか、国民レベルの議論が必要なことを提起した記事として、大いに評価されるべきものと考える。