朝日新聞のエネルギー報道について

 

                  エネルギー問題に発言する会  林  勉

 

 2月21日朝日朝刊に「見直し迫られるエネルギー政策――揺らぐ原子力の優位性」というタイトルで記者の署名入り記事が掲載された。「原子力は現在電源別発電量で一番大きい割合を占めているが、東電問題やもんじゅ訴訟判決問題でその安定供給に疑問符がついた。しかし、それに替わる代替の電源は不在であり、当面原子力に依存せざるをえず、徐々に代替電源を増やしていく現実路線しかなさそうだ。」という結論でしめくくっている。筆者もこの考えにほぼ同調するものであるが、残念ながら朝日のこの論説では、ここで議論がストップしている。「当面原子力に依存し」という一言ですまして良いものだろうか? 

 残念ながら現実は東電問題をきっかけとして、マスコミや社会一般も原子力業界全体にたいする批判に熱中し、そうすることが正義であるかのような勢いである。しかしその結果何が得られているのであろうか?東電を始め、業界はひたすら低姿勢であり、規制当局は監視強化(規制強化)の方向に走っている。立地地元も様々な要求で電力や規制当局に迫っている。このような状況では、信頼性があり経済性もある原子力発電の安定供給はおぼつかない。

 当面原子力に依存しなければならないという現実を認識するのであれば、原子力への依存のありかたをもっともっと議論し、そのためには何をしなければならないかについて、議論と認識を深めなければならないと思う。是非この点につきメデイアの方々も真剣に取り組んでもらいたいものだ。やらなければならないことの私見を以下に示す。
  ・わが国のエネルギーにおける原子力の役割の正しい認識の普及
  ・原子力の信頼性向上に何が必要か?
  ・信頼性向上と経済性向上の両立をどのように図るか?
  ・規制強化と経済性向上にはどのような問題があるか?
  ・諸外国における規制とわが国の規制にどのような差異があるか?学ぶべきことは学ぶ姿勢が必要
  ・原子力の将来をどう考えていくべきか?

私達「エネルギー問題に発言する会」ではこれらの問題について真剣に取り組もうとしている。メデイアの方々も是非国民の総合利益という観点から、このような議論に注目し、正しい報道に注力していただきたいと思う。