NHK、クローズアップ現代「原子力の維持基準とは何か」に賛同

 

                   エネルギー問題に発言する会   林  勉

 

3月6日にNHK、TVに放映された、クローズアップ現代「原子力の維持基準とは何か」について、私は大きな関心をもって見ました。全体として妥当な内容であったという感想を持ちました。一般の方が中々わからない下記のようなことをわかりやすく、伝えてくれたと思いました。

 

1.運転に入った原子力発電所には、維持基準という、建設中の基準とは異なる基準が必であること。

2.維持基準は米国では、30年も前から整備されており、欧米各国、韓国等でも整備されているのに、日本では整備されていないこと。

3.日本機会学会では、維持基準を作っているが、法的に整備されていないこと(規制当局側の遅れ)。

4.シュラウドのクラックとはどういうものか。

5.クラックがあっても、その大きさがある限度以内なら破壊にいたらないこと(実験により、目に見える形で示した)。

6.維持基準ではクラックの安全限度を判定する基準を定めていること。

7.クラックの大きさ(深さ)を判定する超音波検査で、最近測定値が(2mm)なのに実際の値が(13mm)という不安全側の結果がでた。

8.クラックの測定に問題があると維持基準ができても、役にたたない。

9.超音波検査の精度を上げるには、検査技術と測定者の技量を上げる必要がある。米国には熟練測定技術者が400人おり、ベテランでも毎年トレーニングを受けて、測定技術の維持向上に努めている。

10.日本でも維持基準の早期整備と検査技術の向上対策が必要。

 

特に今問題となっている超音波検査の精度問題について、米国での例を詳しく紹介し、日本でも同様のことをすれば対応できるとの道筋を示したことは報道として、立派な態度であると思いました。とかく原子力批判の報道は、問題点のみを大きく騒ぎ立てがちですが、ではどうするかという点まで踏み込んだ報道であり、クローズアップ現代は、反原発という視点ではなく、国民に理解してもらう報道であったと思いました。