御意見、情報を御寄せ願います

                                           H14.3.28
                                           石川 迪夫

会員の皆様へ
 御存知と思いますが、最近海外での2ツのトラブルが報道されました。
1つは、ドイツのブルンスビュッテル原発(BWR)で、浜岡1号炉と類似の水素爆発によると考えられる配管破断のニュース(3月20日付読売)であり、今1つは米国デービスベッセ炉(PWR)の圧力容器の腐食問題(3月23日付毎日)です。以下概要を示すように、私は、安全上留意すべき重要事例と考えるのですが、マスコミ報道は上記の一紙(づつ)だけでしたので、皆様方の御目にとまらなかったかも知れません。添付致しましたように、私の出来る限り情報を集めてみました。一読の後、御意見及び何か新しい情報が有りましたら、御教え戴ければ幸いです。

1) ブルンスビュッテル原発の配管破断の概要
 圧力容器頂部に取り付けられた口径4インチのスプレイ配管が、圧力容器との仕切りの下流(スプレイ水の流れ方向から言えば上流)配管が弁を境に2〜3mの長さにわたって粉々に破断。(破断片が25〜30と言う) 
原因は浜岡同様に水素爆発によるものとの見方が強い。破断の発生は、昨年の12月14日であるが、スプレイ配管に接続されたドレン配管の隔離弁を閉じた所、原子炉格納容器内への蒸気漏洩が止まったので、そのまま今年の2月18日まで運転継続。規制当局の要求で、調査した所、上記破断が判明。

2) デービスベッセの圧力容器腐食の概要
 圧力容器の制御棒駆動機構用の貫通孔近傍の低合金鋼部分が腐食して、深さ約15センチ、幅約10〜12.5センチ、長さ約17.8センチの
空洞部が圧力容器の母材内部に生じ、圧力容器内側にある厚さ約10ミリのステンレス・クラッドの皮1枚を残す状態であったことが、2月27日に判明。同炉は、1月18日に燃料交換のため停止し、NRCブリテン2001−01(圧力容器上蓋貫通部ノズル亀裂問題)に従って検査を行っていた所、3本のノズルの貫通亀裂が判明し、その周辺のほう酸堆積物を除去して行った所、上記腐食を発見したもの。原因は、調査中とありますが、私見では、良くこの状態でLOCAにいたらず運転出来たと感心して居ます。

 以上2ツの事故について、互いに情報を収集し、意見を交換できれば と思って居ります。私の関心は、1)のブルンスビュッテル原発の配管破断に関して、

イ) 浜岡に続き、2発電所で水素爆発が生じたとすれば、浜岡特有の問題ではなく、
   BWR全体の問題として、対策を講じるべきでないか?
ロ) 原因が水素爆発であることは、場所が1次冷却水(蒸気)の滞留する所を意味する、
   とすれば、破断位置は、1次系そのものではなくして、1次系に縁の有る場所であ
   る。
   この破断が、1次系に影響を与えぬ対策は?
ハ) 浜岡の場合、着火原因は、1次系に溶かした白金に疑せられているとの情報が有る
   と聞くが、ブルンスビュッテル原発の場合は、白金注入は行っていないとの事。この
   点をどう考えるか?

  また、2)のデービスベッセ炉に関しては、まだ詳細が分っていないが、
ニ) 運転中LOCAにいたらなかった原因の調査
  (材力的には、ステンレス・クラッドの厚みでは十分でないと思うのだが)
ホ) 圧力容器の頂部は、定期検査、燃料交換の都度、取り外され、少なくとも目視点検
   されていると思うのだが、デービスベッセの場合は、何故この様な大型腐食に至る
   まで分からなかったのか?
ヘ) 日本の場合、同上問題点は、実際上どのように点検されているか?

以上
 なお、本ペーパ作成に当たり、Nucleonics Week誌(Vol.43,No.10, Vol.43,No.11及びVol.43,No.13を参照させて頂きました。)