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「安心」の願い

                エネルギー問題に発言する会  岩井 正三

 2月9日東京ビッグサイトの「エネルギー・にっぽん国民会議in東京」は盛況であった。
 この中で、原子力の安全について、木村青森県知事が「安全は当事者の良心で行うべきで、我々は故障がないとの前提で協力したい。」との発言に対し、石原東京都知事は「人間の作ったものだから故障がないなんてものはない、徹底して情報公開して進めるべきだ。」と発言された。
 これは、「安心」を願う原子力発電立地側の本心と、「安心」を受け入れてもらう側の客観的な発言で、現在の原子力安全に対する象徴的な基本課題を明言されたと思う。
 原子力の「安全」は放射線・放射能を格納した結果、漏れ出る放射線レベルがどれだけで安全尺度を定義しており、途中の機械装置の故障は低いレベルに置かれ、かえってこれが「そんな程度か?」、「うそを言っているのでは」との懐疑心から、「不安」が増長され、「原子力は良心的な設計や管理をしているのか?」につながって行く。
 安全性の尺度の「国際原子力事象尺度」は馴染みにくく、リスク評価と共にわかりやすく説明する機会が必要だと思う。一般市民にとっては、健全な最終防壁があっても、ものが壊れることは脆弱との印象を持ち「不安」を抱くのは当然だから。
 この「安心」と「安全」については、最近出版された「新しい原子力文明へ」(原子力の技術的安全と社会的安心への道筋)(ERC出版)に章を設けて解説されている。一読を。