刈羽村村長
品田 宏夫様
エネルギー問題に発言する会
天野牧男
日夜地域の経綸で大変な日々をお過ごしのことと存じます。
私も昔一時期御地で原子力発電所の仕事を致した事もございましたこともあって、御地の事があまり他人事とは思えない気がしております。今は退任して自宅で過ごす日々でございますが、一番気になる事は時々遊びにやってくる孫達が大きくなった時、この日本がどうなっているだろうかという事です。その気持ちから次の文をお届けいたします。ご一読いただければ幸甚でございます。
神はまだ人類を見捨てていない
ご承知のように世界の人口の増大とそれによる食料、エネルギーの問題と、地球温暖化による環境の破壊によって、今、ニコニコと愉しそうに遊んでいる子供たちが成人になった頃、日本がどうなっているか、彼らの生活がどうなるだろうかが、非常に気になります。
特にエネルギーと環境については、日本は自分自身の状態を守る必要がありますが、それ以上に国際的にも一定の役割を果たす事が、世界の状態が悪くなる中で、この国が生存していく為に非常に大切だと考えております。
こういった中で村長におかれては、十分ご承知のことでありましょうが、原子力エネルギーの利用が殆んど唯一つの、この世界の問題の深刻さを緩和する役割を果たす事の出来るものであります。世界の環境に大きな影響を与える炭酸ガスを発生することなく、安定した電力を供給し、又中近東という極めて安定しない地域に、原油というかっては最大であったエネルギー源に頼らなくてもいい状態にして、国として食料と並んで重要なエネルギーの安全を維持するためには、原子力発電に勝るものはありません。人類がよくこのぎりぎりの20世紀の終わりに、新しいエネルギー源を発見し、利用出来るようにしてくれたと、心から感謝しております。この事は少し大袈裟ですが、「神はまだ人類を見捨てていなかった」と言ってもいいのではないでしょうか。
全てのものはどう使うかによって、害にもなり、益にもなります。原子力も上手に使えばこんなに役に立つものはありません。又それの価値をより高める為には、プルトニウムの上手な遣い方も極めて大切であります。
成田空港に反対して来た政党の方も、海外へは成田空港から飛び立っていかれていますが、本当にあの空港を駄目にしてしまったら、どうするのでしょうか。反対された人に対しても、あの空港はお役に立って来ています。これと同じように、今、原子力発電やプルサーマルに反対されている方々に対しても、又その子孫の人たちの為にも、原子力発電も、問題にされているプルサーマルも、極めて大きな役割を果たすに違いありません。
更に我が国の原子力発電所がプルサーマルの利用を含め、環境やエネルギー・セキュリティーの上で非常に有用であるということを示す事が、原子力発電が世界の環境問題を解決する重要な担い手であるということを、紹介する大切な役割をはたします。これは国際的にも非常に大切な貢献であります。
長年、柏崎刈羽原子力発電所の運転を見て来られた村長ほどの方に、原子力発電がどんなものかご説明する必要は全くないと思います。そういった経緯をすべて見てこられた村長が、この時期お考えを明確に示される事が、日本の、そして又世界の将来に対し極めて大きな意味を持つものであります。
ご自身のこの重要なお立場をご賢察いただき、我々の将来を明るい物にする為の一石を是非投じて頂きたいと願うものでございます。