迷信と風評

               エネルギー問題に発言する会    松岡 強

 何故か阪神大震災が起きると、産業界の中で最も十分に耐震設計がなされている原子力発電所が大丈夫かと非難され、また米国で航空機による同時多発テロが起きると、他産業に比べ最も強固で十分な航空機防護がなされている原子力発電所がまた色々な仮定を置いて非難されている。
 これは原子力は怖いものというイメージが出来上がっており、マスコミがまたそれを利用してますます怖いイメージを作り上げていることも一因であろう。これが国を滅ぼすことになる可能性があることを知っているのであろうか。
 かって、南米のアステカ王国は、何万と言う兵隊を抱えながら、わずか数百人の馬に乗った白人のスペイン兵士によって一夜にして滅ぼされた。これは丁度蛇の白い神様がアステカを滅ぼすためにやってくるという迷信を信じていて、丁度そのときに今まで見たこともない馬に乗った白人がやってきたので戦う前に降伏したのである。
 この迷信を笑えるであろうか。迷信を風評と置き換えるとそのまま現在に通じるであろう。
 原子力は怖いという風評が蔓延している中、テロがそれを利用し何らかの行動を起こすと、日本国中が無批判に"降伏する"と、日本の原子力が止まるようなことが起き、また建設が中止されたりするとその後に起きる事態は国を危機に陥れる事だって考えられる。
 かっての迷信は今の風評と何ら変わらないのである。意図的に流す風評ほど現在の世界で怖いものはないであろう。
 風評を打ち破るには、どうしたらよいか。
 子供のころからの日ごろの正しい教育が非常に重要である。知らず知らずのうちに子供はテレビ等の風評教育を受けているのである。それを打ち破るには先ず自分がよく勉強し正しい認識をして、責任をもって子供の教育を自分でやる事であろう。