福島県知事 佐藤栄佐久殿
プルサーマル計画についての質問状
平成14年7月20日
兵庫県神戸市北区泉台7丁目9番12号
松岡強(エネルギー問題に発言する会)
突然のメールをお許しください。小生は「エネルギー問題に発言する会(原子力関連会社のOBを主体としたボランティアの会)http://www.engy-sqr.com」のメンバーですが、貴方がなさっているプルサーマル計画反対行動につき、国民の一人として下記につきお聞きしたいのでご回答くださるようお願いいたします。 了
記
1)先日国会で「エネルギー基本法」が成立したが、その第六条に地方公共団体の責務として「地方公共団体は、基本方針にのっとり、エネルギーの需給に関し、国の施策に準じて施策を講じるとともに、その区域の実情に応じた施策を策定し、および実施する責務を有する。」と記されている。国は核燃料サイクル政策の柱としてプルサーマル計画を推進しているのに対し、福島県はプルサーマル計画拒否の姿勢を明確に打ち出している。この福島県の行動はエネルギー基本法の精神に反すると思われる。これはまさしく違法行為というべきものではないでしょうか。貴方のお考えをお教えいただきたい。
2) 貴方は1999年に国のプルサーマル計画に対し地元了解を出したのに、2001年になってこれを覆し、事実上撤回した。丁度このころ国では前記「エネルギー基本法」が議論されていたが、それに対して貴方は特にコメントを出したとは聞いていないが、なぜ2001年に一度出した地元了解を撤回したのかお教えいただきたい。
3) 国のエネルギー政策は50年、100年先、否200年以上先も考えて決めるべきものであり、資源の少ないわが国においてエネルギーの長期安定供給は国民生活にとって非常に重要なことであると思う。これを間違うと将来の日本は滅んでしまうといっても過言ではない。一県レベルで対応できるものではなく国レベルで国の生き残りをかけて考えるべき重要なことである。石炭、石油や天然ガスのいずれをとっても輸入に頼らざるを得ず、ウランであっても輸入に頼らざるを得ないのが我が国の現状であり、今後とも変わらないであろう。その中にあって、ウランはこれをプルトニウムに変換して利用すると今のウランの何十倍にも利用できるものである。このようにウランをプルトニウムに変換し利用するために必要な核燃料サイクル設備が完結すると我が国のエネルギー事情は一変し、エネルギーに対する不安は大部分解消するであろう。
そのためには再処理工場や高速増殖炉は必要不可欠であるが、高速増殖炉の建設が遅れている現在、再処理設備から発生するプルトニウムを軽水炉で利用するというプルサーマル計画は非常に重要であると思う。特に技術面において、再処理設備を建設し、運転を続けているかぎり技術の維持向上は図れるが、一度途絶えさせると技術は消えてしまいそれを再開するには人の教育養成からはじめねばならず膨大な費用と期間が必要になる。したがって完成しつつある再処理設備からでてきたプルトニウムを軽水炉で利用する(プルサーマル)計画は国のエネルギー政策として非常に重要であると考え、我々も全面的に賛同するものである。もしプルサーマル計画が頓挫すると、再処理工場から発生するプルトニウムの保管がテロ対策等から問題となり再処理を停止せざるを得なくなる可能性が出てくる。そうなると我が国の核燃料サイクル政策は根底から崩れる可能性が出てくる。したがってプルサーマル計画は100年先200年先の我が国のエネルギー安定供給のために必要な核燃料サイクル(再処理―高速増殖炉、軽水炉路線)の完結のために必要不可欠のものと考える。
貴方はこのような国家レベル(もちろんこの中に福島県も含まれる)のエネルギー政策に変わる政策をお持ちでしょうか。
エネルギーはひとつの県レベルで完結するものではないと思いますが、貴方のお考えをお教え願いたい。
以上
写)原子力委員会 藤家洋一委員長殿
エネルギー問題を発言する会メンバー各位