東電事件について
平成14年9月9日
森島茂樹
今、一般の方々は、マスコミの声高の報道により、東電社員が隠していた原発の主要設備、シュラウド(外皮・覆い)の亀裂が噴破して、チェルノブイリの様な大惨事が各所で発生するだろうと、大変心配していると思う。また、東電トップが退陣されるのもこの大事故隠しの当然の責任と認められていると思う。
しかし、シュラウドは放射線の覆いであって、原子炉水を封じ込めている物では無く、シュラウドの亀裂が貫通しても直ちに原子炉水の噴出にはならない。
具体的な調査結果の報告が無いと判りませんが、この種類の亀裂は一旦発生してもある程度の所で伸張は止まるのが普通で、古い傷もそのままになっているのでしょう。
このため、このシュラウドの亀裂によっても原子炉の安全性は直ちには損なわれず、近々の取替え工事で充分処置できるものと思います。
この様に、今回の東電事件は、トラブルそのものは原発の安全性を根本から揺るがすものではなく、報告を隠したと言う事だと思います。
朝日新聞9月3日付社説に
東電南社長が、「どんな微細な傷でも見つかれば操業停止」と言う圧迫感が現場を必要以上に萎縮させて隠蔽に繋がったのではないか。と言う見方を示した。だが、原発の安全性を過度に強調してきたのは電力だった事を指摘しておきたい。原発の「安全神話」こそが今回のトラブル隠しを生んだのではないか。
とあります。
「安全神話」なんて語はマスコミが作り、それにより勝手に世論を動かしているのではないか。今回も、安全神話を作った電力が自縄自縛し、現場が萎縮して隠蔽した。との社説は納得し難い。
少し前に居られた論説委員の方が、新聞等は是々非々ではなく非非是是が正しい、と言われていた。しかし、封建時代の江戸の瓦版ではない、今の時代マスコミも幅広く取材し何でも非が良いと言う観念は改めるべきではないか。
今回の虚偽報告が電力の体制のみにあり、何かあればチェルノブイリに繋がると言う報道は間違っている。東電が隠した非を認めよと言う事ではない、非は非として究明するべきだ。
だが、今回のトラブルの実態から、原発の存在を全て否定するような紙面構成は60億人を超えて増え続ける人類の為にはならないと思う。
以上