「伊方原発タービン架台コンクリートの亀裂」の報道に意見する。
平成14年9月28日
森島 茂樹
9月27日付けの朝日新聞(香川版)トップに、「伊方原発のタービン架台コンクリートに亀裂(最大幅3mm長さ5m)が多数見つかったが、四国電力は報告せず隠していた。」と大きく報じられた。(更に、3面、34面にも地元の方々の不安を煽る様な記事もある。)しかもこれは内部告発を受けた、原子力資料情報室が発表したことになっている。
私の僅かな火力発電所での経験では、タービン架台は大型の回転機であるタービン・発電機を乗せるため、大きなビルの芯柱以上に頑丈な鉄筋を組み合わせて、それにコンクリートを注入・巻き上げた構造になっている。そのため、表面のコンクリートに数mmの亀裂が有っても構造強度には殆ど影響はありません。また、大地震が起きて設備が破損する場合でも、この亀裂が原因で被害が拡大するとは考えられません。
その上、タービン架台は堅牢に作られたタービン室の内部にあり、新幹線の構造物の様に雨風に曝されていませんので、亀裂から雨水が入って内部の鉄筋を腐食させることも殆どありません。傷の管理をしっかりして、亀裂に特段の進行が無い時には、設備の安全度は維持されます。
タービン架台は発電所建屋内の通路から簡単に見られる箇所も多く、亀裂の存在も見えるままであったと思います。ですから、四国電力も特に亀裂を隠すということはなかったと思います。
原子力技術に詳しい原子力資料情報室の方は、どのような判断でこの様に大騒ぎになる様な公表をされたのか判りません。悪く考えれば、普段の原発反対のチャンスと思われたとしか考えられません。
マスコミも、東電の問題に悪乗りして、日本の原発を一気に潰しに掛かっているとしか思われません。原子力の危険度は正確に理解するべきですが、何かの為に過剰反応をすることは駄目です。エネルギー問題は、自分達の子孫や、全世界60億人のため冷静に正確に判断すべきです。
以上