パブリックコメント

 森島 茂樹

 今回のトラブルから、今後の原子力のあり方として、「安全の確保」の上に、更に、国民、とりわけ地域住民の方々への「信頼の確保」が何よりも大切であることが判った。しかし、現代においては、国民、地域住民の方々の「信頼の確保」には、マスコミ報道のあり方が決定的な力を持っていると思う。


 今回のトラブルでも、「安全の確保」については、このトラブルの発表と同時(H14.8.29)に発表された原子力安全・保安院の「東京電力株式会社原子力発電所における自主点検作業記録に係る不正等による原子炉の安全性への影響評価について」で詳細に記載されているので、特別に安全上問題はないと思われる。
 「信頼の確保」については、マスコミ(小生は、朝日新聞の愛読者)の報道が「東電は原子炉内のひび割れを修理せず隠し運転中である。」と今にも放射能の大拡散が起こるような表現であり、国民、地域住民の不安を大きく煽ぎたてるものであった。
 東京電力の現場の者が点検結果のデータ−を隠したり、歪めたり、遅らせたりすることは、許されない事は当然であるが、マスコミももう少し公平?に報道すべきではないか。

 

更に、9月27日のマスコミでは、「四国電力伊方発電所のタービン架台に亀裂」の報道が一面トップに出ている。これは、元関係者の告発を原子力技術に詳しい原子力資料情報室が受け発表したとなっている。しかし、タービン架台は、頑丈な鉄筋を多数組み合わせ、これにコンクリートを注入・巻き上げた物であり、表面に数mmの亀裂が有っても強度に問題は無いと思う。また、屋内にあるので雨水の侵入による鉄筋の腐食も考え難い。架台はそのまま立っているので、四国電力も、特に隠すこともなかったと思う。

原子力資料情報室の方は当然、マスコミの方も、この程度のことは判るはずです。敢えて一面報道されたのは、東電トラブルに便乗して、原子力潰しを謀られたのかとも、僻みたくなります。


 原子力の問題点は、的確に厳しく責めるべきですが、不公平な方法で原子力を潰してしまうことは、地域の方だけではなく、日本人も含めた、60億人を越す全地球人の為にも正しくないと思う。
 「信頼の確保」の為、マスコミの方の公平な判断を期待できる方法はないでしょうか。