小泉首相のロシア・クルチャトフでの演説を何故マスコミは報道しないのか?
2003年2月1日
奥出 克洋
日本では、“恣意的なニュース報道選択の自由”が、世界的に通用している“言論・報道の自由”であるとして、公然と罷り通っているような気がします。
1月17日の、金子様からの「日露関係:小泉首相のクルチャトフ演説」に就いての問いかけに興味を持って調べてみたところ、日本の新聞で触れているのは、1月9日付けの毎日新聞だけであったと思います。その内容の、多額の資金が日本から拠出されたのに、それが有効に使われていないとの記述に興味を引かれ、探すうちに Bellona Foundation が、大々的に “Japan”で始まる記事と、“Pasko”の個人名を含んだ記事を報道しているのを見つけました。
2003-01-08 20:19 Japan to Resume Nuclear Clean Up Projects in Far East.
2003-01-13
Japanese Built Liquid Radwaste Treatment Processed 2,000 cubic meters.
2003-01-15 18:10 Parole Could Come for Pasko Next Week
2003-01-17
16:50 Japan Confirms It Will Move Forward in Far East Sub Dismantlement.
2003-01-20 00:00 Pasko Parole Hearing Date Set.
2003-01-23 09:51 Grigory Pasko Released!.
2003-01-23 12:19 Grigory Pasko Free At Last.
これ等の複数の記事の内容は要約すると;
1)
小泉首相とプーチン大統領との間で、極東の原潜解体で協力チーム発足で合意。
2)(毎日では触れていないが)これで、退役し、放置されてきた、19隻にのぼる Tactical and General Purpose Subs の 処分の目途がつき Vladivostok 近くの Bolshoi
Kamen 基地を中心とした地域の、放射能汚染の垂れ流しの防止が可能となった。
3)米・ソ合意に基ずく、米国の資金に依る22隻の Ballistic Missile Subs の解体は、
Bolshoi Kamen 基地内の Zveda プラントで順調に行われており、今年後半に全ての解体作業は終了する。
4)ロシア極東艦隊の新聞 Boyevaya Vakhta 紙の記者である、 Mr. Grigory Pasko が
1993年のロシアの極東艦隊の船が、違法に放射性廃棄物を日本海に投棄している映像を含む、ロシア海軍の行動計画を、日本のメデイアや、ジャーナリストに流したとして、「海軍の機密情報の開示を理由のスパイ罪、並びに、反逆罪」や「日本のメデイアとの接触に関連する、公式に与えられた権限の乱用」など、現在のロシアの法律の中に存在しない罪状で、4年間の重労働の判決を受け、極東ロシアの Ussyryisk強制収容所に収監されながら無罪を主張し続け、1月23日に漸く釈放された。
5)この間 Mr. Grigory Pasko を支援し続けたのは Norway の Bellona Foundation
だけであった。
等であります。
ここで我々として非常に気に掛かる事は、明らかにその原因者として日本のマスコミが直接関わり、しかも対象が日本海の放射能汚染の防止のために、日本から供与された多額の資金の絡む事件なのに、何故日本のマスコミは、本件を全く無視し続ける事が出来たのかの疑問であり、日本のマスコミの言う「言論報道の自由」「マスコミの良心」は唯単なる
看板だけで、「恣意的なニュース報道選択の自由」が飽くまでも優先するのかという事です。
尚、The New York Timesも1月23日付けモスクワ発として、「Russian Court
Frees Reporter in Case About Nuclear Waste」の表題の基に、
“Russian Navy’s mishandling of nuclear waste” を 記事にして Japanese Television Network に流したとして、起訴され、重労働の刑に服していた Boyevaya Vakhta(Battle Watch)誌の Grigory Pasko 記者が釈放された。これは旧制ロシア時代の人権抑圧に対する反発の最新の事例であると述べています。
以上