もんじゅ判決について
03/03/16
柴 山 哲 男
もんじゅ判決については、何故原告側の一方的な主張のみが取り上げられたのか疑問もありましたが、最近の原子力学会誌等の報告によれば、被告側の裁判対応などについても問題があったのではないかと考えざるを得ません。
もんじゅは被告側が上告しましたので、最高裁(上手くいけば、多分)差し戻しになり、高裁、多分再度最高裁まで行くのではないかと思いますが、時間がかかること、上告審では法解釈の問題が主流となり、二審で問題にされたプラント安全の技術上の問題に判決の上から深く反論乃至触れられる機会は少ないと思います。従って現段階及び将来に亘って今回の判決が(法適用の問題は別として)公式のものとしては最終判断として残ってしまう可能性があります。判決後部分的には判決に対する批判、疑問は沢山出されていますが、判決の技術的問題に対して正面から安全性を主張したものはあまりないように思います。判決に対する反論ではなく、判決で指摘された問題に対して実際はこうなっており、安全上は問題ないということをもっときちんとした形で表明することが必要ではないでしょうか。少なくとも当事者である原子力安全委員会、原子力安全保安院、核燃料サイクル開発機構にはその責務があると思いますが如何でしょうか。
今回の問題に限りませんが、最近このような問題(外交、経済政策などを含めて)に関する十分な説明が少ないように思います。単に地元関係者に説明するだけではなく、技術的にも十分批判に耐える説明が必要であると思います。
現在立地地点の状況も非常に厳しくなっています。福島、新潟県もありますが、もんじゅ及びプルサーマルを抱えた福井県の知事選挙も予断を許さない状況にあり、再処理を抱える青森県知事も辞職勧告決議案が可決される等自身の問題を抱え今後の状況は見通しが立て難い状態にあります。今ここできちんとしたメッセージを発信しておかないと、核燃料サイクルのみならず、原子力全般、更には日本のエネルギー、環境問題に決定的なダメージを受けるような気もします。国策が地元首長によって影響を受けるのは問題ですが、それも国民の支持があって言えることで、説明不足で国民の支持を完全に失ってからでは遅すぎることになりかねません。
勝手なことを書きましたが、是非皆様の御批判を頂きたいと思います。
以上