2006年8月
「総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会報告書(案)」の意見公募に対し、本会会員が提出した意見を集約したものです。(意見公募期間 平成18年6月21日〜7月20日)
目 次
第三部 原子力部会最終報告案審議の結果(2006-8-8決定)
(原子力立国計画)
1.原子力立国計画
電力に限定せず、広くエネルギー全般にやる、単に安定供給ではなくエネルギー安全保障を、原子力による水素製造を、原子力について外部の意見を、報告書の位置付けが不明解、原子力熱利用を入れる。
2.政策の継続実施
政策の継続実施を進める仕組みの構築を!
(エネルギー問題)
3.エネルギー問題の認識
石油問題に切迫感が無い−2名
4.自給率
数値目標を立てる−2名、自給率の画期的向上目標を!
5.ウラン資源対策
民間の実力をつける方向で、ウラン備蓄を検討する。
6.エネルギーデータの調査分析体制を!
6.新エネルギー
新エネルギーの限界についての理解を、新エネルギーは補完的、過大な期待は禁物。
(原子力促進)
8.原子力新規計画の実現
電力の計画を見守るのでは弱い、原子力立地培養を国・電力が、見守るだけでなく、積極的に対策を、当面の需要とは別に原子力を特別枠にして、建設促進を、山積する課題具体的に検討を、もっと具体的に検討を、原子力メリットの可視性化―早くやれ。
9.負荷追従運転−2
10.利用率向上
11.運転期間延長−3名、地元要請による停止、増出力もやるべき−2、寿命延長
12.リプレース計画
計画の早期検討、国主導でやる、もっと具体的に検討を!
13.次世代軽水炉開発
メーカー体制を整備して進める。
14.原子力比率をもっと高く!
15.発電所建設体制
地元参加型の原子力を!
16.将来は国が纏めて新規地点開発を!
(高速増殖炉)
17.FBR開発
外国との連携、研究会でなく推進会議を−3、原子力機構が主体に実証炉を、60万kw実証炉を2030~40年に建設を、社会の理解を得、意見を述べる仕組みを、もっと具体的に進める、トリウムも検討。
(技術開発・廃棄物)
18.技術開発の早期実践
国際貢献、予算確定、省庁分掌 GNEP慎重に検討を!
19.燃料加工
加工費が高い。
20.高レベル廃棄物
広報活動をしっかりやれ、公募方式のみでなく、先に地域選定を行え、TRU廃棄物処分拠出金を!
(其の他)
21.国民広報をもっとやれ!
22.人材・教育の改善
放射線教育者の不足、学校教育の改善、予算の増額、責任体制の明確化、原子力人材の育成。
23.学生との対話
対話活動の支援を!
24.国と地域
地域の文化的風土の醸成を、地域との関係―無気力に取れる、けじめをつけて国がやる姿勢を明確に、地域民との対話を積極的に取組め。
25.サミット
先のサミット会議で原子力のことが議論されなかった−遺憾。
26.国際基準との一致
IAEA基準との合致を図るべき、日本は外れたものが多い。
27.インド−NSGでよく議論を!
28.原子力CDM化を真剣に!
29.PR 広報 マスコミ
行政に非のある場合、誤った報道−積極的に対策を!
30.核拡散防止をしっかりとやれ!
(参考)個別コメント項目
1. 石油・天然ガス資源に対してもっと切迫感を持って対処すべき(小野)
2. ウラン資源確保対策は、民間の実力をつける方向で対処する(小野)
3. FBR開発は、外国の計画と整合性を持って(小野)
4. ロシアとの協力協定を結んで(小野)
5. リプレースの計画を早期に検討(柴山)
6. FBR、研究会でなく、推進会議を(柴山)
7. 自給率改善の数値目標を立てるべき(小川)
8. 独自のエネルギーデータの調査・分析体制を整備すべき(小川)
9. マスメディアの活用など国民広報と教育の改善(竹内)
10. 技術開発の早期実践化(竹内)
11. 原子力発電所の2006年度計画の実現―電力計画を見守るでは弱い(益田)
12. FBR研究会でなく推進委員会をまた実施主体の早期決定を(益田)
13. 学校教育の改善を図れ(益田)
14. 政策の継続実施を勧める仕組みを構築してほしい(林)
15. 原子力比率をもっと高く定める(林)
16. 学生との対話活動を支援してほしい(林)
17. 地元民参加型の原子力発電を(林)
18. 原子力立国計画−電力に限定せず、原子力を広くエネルギー全般に(石井正)
19. 単に安定供給ではなく、エネルギー自立性確保による安全保障の強化の意味を強調すべき(石井正)
20. 負荷追従運転可能な制度を(石井正)
21. 自給率の画期的向上目標の設定(石井正)
22. 新エネルギーの限界についての理解を国民に(石井正)
23. 地域における文化的風土の醸成と人材育成(石井正)
24. 原子力人材の育成(荒井)
25. 原子力立国は誤ったイメージを与えかねない。原子力による水素製造を描くべき (奥出)
26. 原子力について外部の(例えば自動車、化学産業など)意見を(奥出)
27. 立地地域の関係−この表現は「勝手なことを言う知事さんが居ても仕方が無い」と取りました。残念です。(森島)
28. 報告書の位置付けを明確に(松永)
29. 原子力の熱利用を含めるべき(松永)
30. 新エネルギーは補完的、「省エネルギーと原子力で」進むべき(松永)
31. 原子力の建設、見守るだけでなく、積極的に対策を講じるべき(松永)
32. 既設原子力の出力増強も述べるべき(松永)
33. FBR:研究会でなく「実用化検討会」とする(松永)
34. 日本の安全基準はIAEA基準より外れたものが多い。まずこれの合致を図るべき。(松永)
35. インドについてはNSGにおいてよく議論すべき(松永)
36. もんじゅを早く軌道に乗せて、60万kwのFBRを2030~40年に建設する。(石井)
37. 連続運転期間延長・出力増・寿命延長素やるべき(松永)
38. 立地地域との関係―どこかでけじめをつけて国がやる姿勢をはっきりと、将来国が電力・地方を纏めて新規地点を開発(松永)
39. 既設発電所のリプレースによる長期間電源喪失を防ぐ為の対策を、国主導で(松永)
40. 将来の環境問題を考えると、原子力発電の増強を進めるべき、また輸送など総合的に対策を(松永)
41. 当面の需要とは別に原子力に特別枠を与えて、建設促進を(松永)
42. 自給率を明確化(加藤)
43. 原子力CDM化に真剣に取組め(加藤)
44. 地域民対話積極的に取組め(加藤)
45. 行政側に非がある場合、誤った報道、積極的にPR賛成(加藤)
46. エネルギー教育本当にやるならば、予算増額・責任部署の明確化・OB活用を(加藤)
47. 核拡散防止をしっかりと(牧)
48. 原子力の怖さを再認識してFBR時代に備えて、社会全体の理解と意見を述べる仕組み作りの指針を(牧)
49. FBRもっと具体的に、その際トリウムも考慮すべき。人材育成も必要(牧)
50. 山積する課題についての対策を具体的に検討してほしい(牧)
51. 石油ピーク問題を明確に言うべき(斎藤)
52. 2006年度原子力計画―この案は問題がある。より具体的に検討を(斉藤)
53. レプレースの政策目標に疑問あり―もっと具体的に検討を(斉藤)
54. 原子力のメリットの可視性化―是非早期に進めるべき(斉藤)
55. 既設原子力の活用:増出力・連続運転期間延長など(斉藤)
56. 高速増殖炉 もつとしっかりやれ(斉藤)
失われた10年より本来あるべき姿への原子力復帰への躍動を頼もしく思います。我々の提案の考え方が採用されたことに感謝いたします。
この計画を実現するためには、必要な予算を必ず獲得して下さい。
以下に2〜3辛口のコメントを述べます。
意見1
[該当箇所]
第1部、 III 国、電気事業者、メーカー間の建設的協力関係を深化。このため関係者間の真のコミュニケーションを実現し、ビジョンを共有。先ずは国が大きな方向性を示して最初の第一歩を踏み出す。(6頁)
[意見]
政府の報告書としては、率直に、適切な現状分析をしていることに敬意を表わします。適切な対策には正確な現状分析が必要である。
意見2
[該当箇所]
第2部、第2章、第2節、核不拡散の強化(23頁〜、118頁、120頁)
[意見]
IAEAエルバラダイ氏はウラン濃縮、再処理は国連の管理の下に置くと主張し、米国のブッシュ大統領はウラン濃縮、再処理は現在実施中の国に限定すると主張している。何れもウラン濃縮、再処理を放棄した国には核燃料の供給は保障するとしている。この提案が将来どのような収束をするか不透明であるが、わが国も国際的な核不拡散には積極的に協力しなければならないが、「軒下貸して母屋取られる」ことの無いように。
意見3
[該当箇所]
第3部、第1章、第1節、2 基本的な考え方(28頁)
[意見]
「万一政策目標が達成しない場合の対策」として「電気事業者の決意を尊重し、電気事業者の取組状況を見守る」では対策にならない。経済的に余裕のある時は電気事業者の自主的判断に任せることは当然であるが、万一民間企業の限界を越える事態になり、目標が達成されない徴候が現われた時には、財政的な支援およびリスク軽減のための措置などの行政指導で目標未達成を防止する対策を実施しなければならない。さらに、真剣に現実的に記述して頂きたい。
広域運営が不調に至った時、政府には「出力調整権」があり、原子力環境整備機構がその業務を実施不可能になった時は経済産業省が機構の業務を代行することが規程されているが、発電については何も規程されてない。
意見4
[該当箇所]
第3部、第1章、第1節、5.政策目標の実現に向けた課題と対応策、(4)原子力発電のメリットの可視化(37頁)
[意見]
不適切な表現:
原子力発電のメリットの可視化→メリットの理解促進
「可視化」とは温度、圧力、磁場などの物理量を定量的に視覚に訴えるように表現する方法であろうが、この文章はパブコメを求めるため、一般国民が理解し易いことが本来の目的なので「可視化」を「理解促進」とした方が良いのではないか。
哲学、宗教、倫理など視覚的に認知できないものでも重要なことはいくらでもある。今まで、原子炉事故、原爆被害などメディアの過剰な可視化に悩まされて来た。これに打ち勝つ具体案があればよいのだが?
意見5 誤認訂正
[該当箇所]
スケールメリット→プラント効率(48頁)
[意見]
ここでは、「スケールメリット」をプラント規模の拡大による有利さを主張していると解釈できるが、本来、技術的には反応容器が大きくなることによる単位生産コストが低減することを意味している。原子炉の場合はスケールメリットがあるが、遠心分離器の場合はスケールメリットはない。誤解を避けるためには「プラント効率」の方が良いのではないか。
[該当箇所]
図3.4.5の題名と縦軸の説明が異なっている。(89頁)
[意見]
電力共通研究は電力会社の研究開発の一部である。電力会社の全研究開発費はこの数倍である。詳しくは電気事業連合会に問い合わせて下さい。
意見6
[該当箇所]
第3部、第4章、第2節、3 今後の対応(92頁)
[意見]
「国、電力会社、メーカーが一体となったナショナルプロジェクトとして日本型次世代軽水炉開発に着手すべきである」。と述べているが、メーカーがプロジェクトの主体となって実施できるか?
国内向けには、国がエネルギー安定供給上の原子力発電の位置付けを明確に示し、電気事業者がその仕様を示すことが前提である。ベースロードとしての大型炉か、負荷変動用の中間規模の炉か、固有の安全炉を期待するのかを明示する必要がある。
対外的には、ABWRが成功したのはGE,東芝、日立以外には大きな競争相手が居なかったことが特徴付けられる。PWRの場合はEPR(フランス)、AP1000(Westing Hauce)、VVER(Minatom)等の競争相手が多いので日本の独自性が出し難い。日本のPWRメカーは米国の戦闘機メーカーほど市場が成熟していない。慎重な行動が望ましい。
意見7
[該当箇所]
第3部、第6章 原子力発電拡大と核不拡散の両立に向けた国際的な枠組み作りへの積極的関与―海上輸送に際しての核物質防護体制(115頁)
[意見]
わが国はIAEAの核不拡散体制に協力して統合保障措置を認められた。IAEAの査察に協力するために(財)核管理センターが設置され、日本原子力研究開発機構にも核不拡散の技術向上のための研究部門も設置された。しかし、ヨーロッパより核燃料輸送の安全については、わが国の政府機関は関与していない。「敷島」は何故民間会社の核燃料輸送を護衛できないのだろうか?第3国海軍(非対象勢力ではない)の臨検を防ぐことができるのか?国民の生命、財産を守るのは政府の役目ではないか?わが国の国民、及び海外に対して判りやすい説明が必要である。今後の課題として一言触れるべきではないか?
意見8
[該当箇所]
第3部、第7章、第3節 広聴・広報のあり方(128頁、131頁)
[意見]
「広聴」は言葉の「一人歩き」をしているのではなかろうか?
@ 大衆の意見に対してそれが「ホイッスルブロウ」なのか個人的な怨恨や感情論に基づく「内部告発」なのかを区分する必要がある。
A その結果を公表する。
B それを何時、誰が、誰に報告したかを公表する。
C 報告を受けた者が対処方針を公表する。
以上のことが無ければ「広聴」とは言えないのではなかろうか?
広聴は大衆の意見を録音することではない。
全般に対する意見
[該当個所]
第1部原子力政策立案に当っての5つの基本方針
[ 意見内容]
本原子力立国計画は、第1部から第3部までの全体にわたり非常に良く纏まっており、高く評価申し上げたい。関係の方々のご努力を多としたい。
特に、第1部IIIの、“先ず、国が大きな方向性を示して、最初の第一歩を踏み出すべきである“は、現状の三すくみ構造から脱却する第一歩を踏み出す決意を国が示すものとして、力強く受け止めた。
今後、この政策方針に基ずいて、財政的裏付けをもった実施プランを早急に立案し、オープンにして議論し、実行する事を強く期待する。
意見 “各論―1”
[ 該当個所]
第1部原子力政策立案に当っての5つの基本方針
[ 意見内容]
本原子力立国計画は、第1部から第3部までの全体にわたり非常に良く纏まっており、高く評価申し上げたい。関係の方々のご努力を多としたい。
特に、第1部Iの中長期的にブレナイ確固たる国家戦略と政策枠組みの確立のうちの、“近年、エネルギー確保に向けて資源獲得競争に戦略的に取り組む動きが世界的に広がっている”および第1部IIIの、“先ず、国が大きな方向性を示して、最初の第一歩を踏み出すべき”に関連して “首相直轄の経済財政諮問会議に相当するエネルギー・環境諮問会議をすみやかに設置“ して、長期・総合的な政策の決定と実行を強力に推進すべきである。
意見 “各論―2”
[ 該当個所]
第2部 原子力を巡る時代環境
[ 意見内容]
本原子力立国計画は、第1部から第3部までの全体にわたり非常に良く纏まっており、高く評価申し上げたい。関係の方々のご努力を多としたいと思います。
しかし、“第2部、第1章 5. 2100年までの我が国のCO2発生量の見通し“に関連して、最後の1節は次のように修正されたら如何でしょうか。
“最近の数次にわたるIPCC評価報告書に代表される知見の集積結果によれば、2050年までに1990年のCO2排出量の70-80%の削減が必要とされ、この為にはエネルギー集約度と炭素集約度の大幅な向上が要求される。これらの要求を量的に満たし、また、エネルギーの安定供給を達成するものとして、原子力発電は省エネルギー、新エネルギーと並んでその導入を最大限に進める必要があり、今後の輸送部門の電力需要の増大を勘案して、2050年以降を目指して総発電量の50-60%を目標に、原子力発電の役割を期待する事が適切である。
[理由]
2100年までの議論であるから、少なくとも2050年までを踏まえた議論としたい。
首相直轄の経済財政諮問会議に相当するエネルギー・環境諮問会議を速やかに設置し、ご検討をお願いしたい
意見 “各論―3”
[ 該当個所]
第3部 現状・課題と今後の対応
[ 意見内容]
本原子力立国計画は、第1部から第3部までの全体にわたり非常に良く纏まっており、高く評価申し上げたい。関係の方々のご努力を多としたいと思います。
しかし、“第3部 現状・課題と今後の対応”、の内、高速増殖炉の商業ベースでの導入は、今後半世紀にわたる長期間のプロジェクトですので、その間の世界の政治、経済、技術の動向を見て、柔軟に対応する必要があります。そのため、“第3部 現状・課題と今後の対応”の前文の最後、および第3部、第3節、1 現状から高速増殖炉サイクル実用化に向けた移行シナリオ、(1)基本シナリオ、<基本シナリオ>の9)の2箇所に、次の文章を追加するのが良いと思います。
“21世紀前半の世界の政治、経済、技術の趨勢を見据えて、高速増殖炉商用炉導入の適切な立ち上げが可能となるよう、原子力の電力導入割合の引き上げ、および高速増殖炉実用炉などの導入時期の前倒しについても、適時、柔軟に対応すべきである。”
全体についての意見
本報告書は、電気事業分科会原子力部会の報告書であることから、原子力発電についてまとめられていて、原子力の熱利用には触れていない。しかしながら、本報告書は、「新・国家エネルギー戦略」の中の「5. 原子力立国計画」の詳細版とも位置づけられている。即ち、前記「5. 原子力立国計画」の中の「D 次世代を支える技術開発、人材育成」に記載されている「また、核融合エネルギー技術(ITER計画)、高温ガス炉などを用いた水素製造技術、・・・・・・」についてもその詳細を示す必要があります。
特に、原子力は、将来、発電だけでなく日本のエネルギーの60%を占めている熱利用への展開にも十分可能性を有しております。地球温暖化対策には、現在熱利用(輸送も含む)に使われている化石燃料の利用を削減し、原子力に代替できるよう技術開発を推進することは必須であると考えられます。
上記に基づき下記複数箇所に追加修正をお願いします。
[該当箇所]
第2部 原子力を巡る時代環境、第1章. 何故原子力が必要か
[意見内容]
下記を追記願います。
「また、地球温暖化対策およびエネルギー安全保障の維持推進のためには、日本のエネルギーの60%を占めている熱利用部門(輸送を含む)に、化石燃料の代替として原子力が利用できるようにすることが重要である。」
[該当箇所]
第3部 現状・課題と今後の対応、第4章. 技術・産業・人材の厚みの確保・発展、第4節. 原子力を支える人材の育成
[意見内容]
「第4節. 原子力を支える人材の育成」のタイトルを下記に修正願いたい。
「第4節. 原子力を支える人材の育成と次世代に向けての技術開発」
上記の修正にあわせ、下記を追記願いたい。
『4. 次世代に向けての技術開発
次世代に向けて、核融合エネルギー(ITER計画)、高温ガス炉などを用いた水素製造技術、放射性廃棄物処分の負担軽減のための核変換技術など先進的エネルギーに関する研究開発についても長期的視点から着実に推進する必要がある。
特に、地球温暖化対策には、化石燃料をできるだけ削減することが望まれるため、現在化石燃料が大幅に利用されている輸送部門を含む熱利用に原子力を導入できるようにすることが、将来の地球温暖化対策に加え、エネルギー安全保障の上からも重要である。』
意見1
[該当箇所]
全般
[意見]
我が国の原子力の現状を的確に捉え、課題とそれに対する施策をダイナミックに展開しており高く評価します。『原子力政策大綱』を個別政策レベルに展開したものであり、今後更に多数のアクションアイテムに展開し、それぞれを産官学の様々な各組織などに分けて実施していくよう確実なフォローをお願いします。
意見2
[該当箇所]
第1章、第1節、1.政策目標、2.基本的な考え方
[意見]
『「2030年以降も原子力が総発電量の30〜40%以上を担う」という政策目標を達成する上の当面の目安として2006年度の供給計画(13基の新増設)の実現を目指す』としながら、『万が一事業者が投資判断の結果この目標を達成できない場合の対策は今後の検討課題』としている点は矛盾している。これまで供給計画が目標どおりに達成されたことがほとんど無い。目標達成を阻む要因を過去の実績から分析して、事業者と共にその対策を予め検討し必要な手を打ち、『目標が達成できない』ことのないように尽力すべきである。
意見3
[該当箇所]
第3章、第3節、2.各シナリオに共通する主な課題、(2)FBR実証炉等の開発・建設
[意見]
『実証炉の開発・建設等について、「日本国内で実施」と並列で「海外で国際共同開発の体制を構築して実施」が考えられ、投資コストの分散の観点からそういう選択肢も考えられる』としているが、是非国内で実施にすべきである。海外で実施の場合、技術開発、設計、製造、建設の経験は表面的でかつ一部しか出来ないので商用炉建設が自力で困難になる、国際政治等の動向により我が国の目標スケジュール通りにならない、資金面ではITERがフランス建設となり我が国の負担が減ったので、財源は違うかも知れないが、我が国で投資できる用意はあると思うからである。
意見4
[該当箇所]
第3章、第4節、2.官民役割分担の基本的な考え方、(2)実証プロセス、A実施主体
[意見]
「実証プロセスにおける実施主体はJAEAとし、実用段階への移転の為に民間事業者も実施主体への参画が必要」としているが、原型炉もんじゅの体制と何が違うのか明確ではない。もんじゅの建設体制には反省すべき点、問題点が多数あったと思われる。経験者もまだ多く残っているが、問題意識などの負の記憶が薄れてきている。今のうちに官民様々な階層の多くの経験者から忌憚の無い意見を聞いて、今後の体制構築に生かすべきである。
意見5
[該当箇所]
第4章、第4節、2.研究者・技術者の育成、(5)今後の対応
[意見]
「原子力人材育成プログラム(仮称)」の中に、我が国で30〜40年前から原子力導入時代から建設黄金期を経験し、現在すでに第一線を退いた所謂『原子力シニア』の活用を是非考慮すべきである。原子力シニアは原子力の開発、建設、トラブル対応などに豊富な技術経験、社会経験があり、石油危機も経験し、我が国の将来のエネルギー危機を真剣に憂い、経済的には困らず社会貢献にこれからの人生の価値を見出そうとしている。「エネルギー問題に発言する会」が1年前から始めた「シニアと学生との対話」活動は原子力専攻などの多くの学生に夢と希望を与えてきた。この活動は原子力学会のシニアネットワークに引き継ぎ、更にシニアの枠を広げ、活動の幅と深さを広げようとしている。実社会を体験した原子力シニアの大学教育での活用は、講師としてだけでなく、インターンシップ支援、進路相談、さらに大学先生の教育研究の有益な助言者にもなるので是非検討すべきである。
意見6
[該当箇所]
第5章、第3節、(3)人材育成への協力
[意見]
前の意見5と同様、海外の人材育成など国際協力にも「原子力シニア」の活用が有効である。上記の述べた理由背景以外に、原子力シニアは海外経験が豊かであり、外国語特に英語は堪能、生活圏面も豊富な人が多い。これまでは主としてアメリカなど当時の原子力先進国から学ぶことが目的であったが、これからは恩返しとして発展途上国に協力する番である。指導され学んだ経験は指導や教育に大いに役に立つ。そのための制度などを整備するべきである。
意見7
[該当箇所]
第5章、第3節、(8)原子力のCDM、JIへの組み入れ
[意見]
これは我が国メーカーのプラント輸出に大いに寄与する。「将来枠組みにおいてはCDM及びJIに原子力を組み入れていくよう主張すべき」は賛成であるが、誰がどこに主張するのか、を明記すべきである。また「主張する」だけでなく、何故現在は組み入れられてないのか原因を究明し対策を講じるべきである。
意見8
[該当箇所]
第6章、第3節、4、我が国の今後の対応
[意見]
「米国のGNEP構想には積極的に協力・貢献していくべき」であるが、我が国にとってのメリットは何があるか、ギブ&テイクのテイクは何があるのかも良く見極めて、要求すべきこと、主張すべきことはすべきである。我が国の再処理、高速増殖炉開発を非核保有国として認知を確かなものにすること以外に、米国での施設建設の分担、技術ノウハウ料請求などもっと見返りを要求すべきである。
意見9
[該当箇所]
第7章、第3節、3、(2)国民の主要情報源であるメディアへの適切な情報提供
[意見]
エネルギー専門紙・誌(電気新聞、月刊エネルギー、エネルギーフォーラム、原子力アイなど)と、一般紙・誌(一般新聞、一般週刊誌、月刊誌)の原子力に関する記事は質量ともに違いが大きすぎる。一般紙・誌に対する情報提供にもっと重点を置くべきであり、そのための方策を考えるべきである。
意見10
[該当箇所]
第7章、第3節、3、(6)情報提供を行う人材の育成・活用
[意見]
前述の「原子力シニア」はまさにこの要求にピッタリの人材である。原子力学会シニアネットワークはその提供元として最適であり、積極的に対応して行きたいので、活用要領などにつき具体的に検討すべきである。
意見11
[該当箇所]
第7章、第3節、3、(7)行政側に非がある場合の率直な対応、誤った報道や極端に偏った報道へのタイムリーかつ適切な対応
[意見]
全く同感である。特にNHK・TVの教育番組での今年初旬の「知るを楽しむ」池内了教授の「禁断の科学」番組での間違いだらけの原子力(直前に抗議し放映内容はかなり是正されたが)、同じくNHK・BSや総合放送での放射線被害偏向報道のチェルノブイリ20周年特集番組、などに政府として何らかの対応をしたのだろうか。チェルノブイリの場合は各マスコミが特集することは事前に分かるので、政府として何らかの手(正しい情報提供など記者会見で)を事前に打つべきであった。今後も予め予想される原子力トピックスには政府として外郭組織を活用して正確な情報開示の手を打つべきである。「守り」の情報開示から「攻め」に転じるべきである。
意見12
[該当箇所]
第7章、第3節、3、(8)エネルギー教育の推進
[意見]
前述の「シニアと学生の対話」で工学部学生(原子力専攻でない)から「原子力はこれまで危険で怖いものとしか習ってこなかった、こんなに安全で社会に貢献しているとは知らなかった」などと聞き、今更ながら我が国の初等中等教育でのエネルギー、特に原子力教育は大問題ありと改めて認識した。教科書、副読本の問題に止まらず、教える先生に対する原子力、エネルギー教育、学習指導要領、中央教育審議会、など、文部科学省の教育の中枢への働きかけが必要である。また、大学教育と同様、初等中等教育にも「原子力シニア」の活用を、例えば先生の教育、出身小中高校への出前講義など、検討すべきである。
[意見]全体について
前原子力委員を挟む職歴から、無資源国日本の未来のセキュリテイを危惧してきた一員として、今回の画期的かつ意欲的な方針の公表を高く評価します。この方針が確実に実施に展開するためには、間髪をいれずに、国民広報を徹底し、あわせて実施当事者を参集して方針の各項目別に具体化アクションプランを立案し、早期に実施に進むことを念願します。
小異の意見はさておき、この大転換期に、これまで障壁であったと小職が感ずる点を、今回は意見具申させて頂きます。
1.国民広報と教育について
今回の方針には、「化石から核へ」、いわば世界人類のエネルギーでのパラダイムシフトが含まれています。すでにこの2−3年、このテーマで全国行脚中の小職が見た一般の国民の意識から、これへ訴える政府メッセージが急務です。
いまの国民意識の体勢は:
A.世界唯一の被爆国としての核、原子力にはアレルギーがある。
これに戦後60年続いた反戦、反核教育がいまだに主流で、原子力、放射線などは教育面からのタブー視(不全状態)されて来た。
B.潤沢な油は存続が続き、経済大国でいつでも購入可能だった。
自国の採掘がなく、資源開発から撤退してきた(オイルピークへの危機意識の欠如)。世界がすでに躍起になっている資源獲得競争を静観し不感症である。
改善の急務策(カンフル注射的措置):
T.マスメヂアの活用
新聞、テレビは原子力のトラブル情報、チェルノブイルの記録などネガチブ情報に比し、原子 力、放射線の 効用、意義についての報道機会が少なすぎる。今、テレビは広報効果抜群でとりわけNHKには今後は、政府方針の国民広報、PAの一助とした報道を義務つける。
U.大・中・小学校を問わず原子力、放射線の現場教育者が全く足りない。
この有資格者はリタイヤのシニア族にも多く、この問題を共有しており、NPO活動でも参加意欲は十分あり、国挙げてネット化し、動員することを薦めます。この際、シニア側で応援します。
2.技術開発の早期実践化
@ 今回の提言は、世界人類が到来するエネルギー危機、共通の課題であるので、国際貢献、国際分担が前提で、その中での日本、これまでの先駆者的な実績を生かした、取り組みを考えるべきです。(もんじゅ活用など)
@ 核燃リサイクル、FBRなど、今後の開発課題にはハード実証などに長期的な予算執行が要る。一般会計の配分的な単年度措置ではない、特定財源を優先配分するなど、思い切った措置(政治的執行)をすべきである。
@ 新規開発に当たっては、従来の省庁の分掌――開発は文科省、実証は経産省――に囚われず、ミッションに強い責任を持つ体制(開発組合など)を作る。 また、開発母体には、産・官・学の連携を生かし、開発当事者と最終的なエンドユーザー(電力など)が相互乗り入れし、開発即実用化が図れるよう、早期に関係者間で協議を開始すべきと思う。
3.むすび
失われた10年余の「三すくみ」時代が今回の提言で覚醒された。この自縛が続けば無資源国日本の沈没は確かである。反面、オイルピーク後にもわが国が、世界人類に貢献、活躍でできる道は、国民の英知と技量と(原子力平和利用専一の)国際認知である。今回の「原子力立国」と銘打った提言が、全国民が気概を持って進むために新たな意識付つけになる事を念じる。
さらに視点を広げれば、半世紀後を待たずに、化石燃料の逼迫化が進めば、原子力は発電専用の具に限らず、熱供給、輸送モバイル燃料調達といった幅広な議論も出て来よう。世界的に急転回する緊要なエネルギー・環境情勢に国民的議論が展開し、国民総意を得た強力な実行力のある体制を築くことを切望します。(以上)
原子力部会報告書(案)〜「原子力立国計画」〜は日本を中心とした原子力問題の現状を的確に分析し、広範な分野についての課題と解決の方向性を示したもので、原子力を推進すべしと考えている諸賢の大方の合意が得られるものと大いに評価します。
「終わりに」に示されたように「いかに実現していくか、進渉をフォローアップし、実行に移していく」ことが最も肝要であり、そのための態勢を早急に確立して頂きたい。また、本報告書の周知徹底を図る努力も重要であると考えます。
一つの方策として「原子力・放射性部門」の技術士試験(本文101p)で適当な教科書がなく困っていますが、その一つとして採用することになればよいと考えます。
内容に付いて気のついた点を指摘させて頂きます。
[該当箇所]
第3部、第1章、第1節、電力自由化時代の原子力発電の新・増設、既設炉リプレース投資の実現
[意見]
「政策目標として2006年度の供給計画の案件の実現を目指す」と明記されたのは目標が明確になったという点で大いに評価されます。プランとの建設は原子力発電比率の向上、来るべきリプレースに向けての事前対応に効果があるだけでなく、「第4章技術・産業・人材の厚みの確保・発展」の中に「実際のプラント建設・運転の実施を通じてのみ実現できるものである」と述べられているように、人材確保と技術の維持向上の根幹をなすものである点をも再認識して頂きたいと考えます。
「政策目標を達成しない場合の対策は、電気事業者の取組み状況を見守り、今後の検討課題とする」ということでは如何にも弱いのではないでしょうか。電力事業者は多くのマイナス要因を抱えていることは、本文にも掲げられている通りでありますから、是非、緊急の検討課題とし取上げ、国としてなすべきことを明確化し、その上に立って電力事業者に政策目標の実現への努力を強力に要請すべきであると考えます。
その一つは、権限が異常に強化されてしまった知事に対し、国家政策について理解を得るためには、関係大臣、必要によっては総理が直接会って懇談することは効果的であり、是非とも実現して頂きたいと考えます。
[該当箇所]
第3章、第3節、高速増殖炉サイクル実用化シナリオ
[意見]
高速増殖炉の開発は、諸般の事情を考えると、基本シナリオが概ね妥当なものであると考えます。「3)2015年までに「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究」を完了し、」とありますが、そのためには、今から、資金とリスク負担、実証炉建設の実施主体の決定は勿論、実証試験を基に、電力・メーカの技術的評価・経済的評価を開始し、2015年の時点では、検討を終え、実証炉は勿論、商用炉の方向が定まっている必要があると考えます。
これを確実なものとするためには、第6節高速増殖炉サイクルの実証・実用化への円滑な移行のための取組に述べている評価・検討を行う必要がありますが、単なる研究会ではなく政策面および技術評価の機能を持った強力な推進委員会とすべきであると考えます。経産省の責任において、早急に本委員会の立ち上げを推進して頂きたい。尚、基本シナリオを守るためには建設サイトに付いても、実施主体を中心に早期に決定する必要があると考えます。
国際協力と国際協調について課題が縷々述べられています。国際協力の重要性は申すまでもないことですが、それぞれの国の国内事情もあり、開発の方向、時期に付いても一致は難しい面を持っています。機器の共同開発・分担供給は、責任の所在という点で、将来に禍根を残す可能性が高いと考えられます。あまり振り回されないよう、我が国としての信念を持って協調していくことが大切でありましょう。
[該当箇所]
第3部、第7章、第3節.広聴・広報のありかた。
[意見]
現状と課題が述べられており、いずれも当を得た指摘であると思います。しかし、以下の点に付いては特段の考慮が必要であると考えます。
ボランティアでPA活動をやっていて、周到な準備で真面目に話せば、理解を得ることができると考えておりますが、最低でも6時間程度のカリキュラムが必要です。最近は石油価格の高騰でエネルギー問題は一般国民の関心が多少とも深くなったように感じますが、放射線については、恐怖感を与えるニュースを見聞きするだけで、自発的に本を読まない限り正確な情報を入手する手段がないのです。工学部一年の大学生でも、自然放射線の存在すら知らないのが現状です。小数の聴衆相手では、個人の限界を感じます。
(8)エネルギー教育の推進に「文部科学省と連携をとりつつ取組みを進めているが、より一層実効性のある取組みとなるよう検討していくことを期待する。」とあります。“児童教育が一番の早道だ、10年経てば効果が見えてくる。10年は直ぐ経ってしまう”と言い続けてきました。漸く最近、学校教育の重要性が叫ばれるようになりましたが、実効が上がっているように見えません。副読本は結構揃っています。先ず、教科書に正しい必要な情報を記載することが第一です。しかし、教える教師をどうするかが一番大きな課題であります。それには原子力OBの活用を図ることが是非とも必要だと考えます。
意見1
[該当箇所]
全般
[意見内容]
先に閣議決定された「骨太の方針2006」及び「原子力政策大綱」、或いは経済財政諮問会議にて審議された「経済生長戦略大綱」並びに「新国家エネルギー戦略」など、国の政策の根幹を成す大綱・戦略と連携して、「原子力立国計画」の位置づけをそれぞれの中に明確に示し、原子力発電が果たすべき役割を鮮明に提示されたことに対して、先ず賛意と深甚なる敬意を表したい。
しかしながら残念なのは、「骨太の方針2006」、「新国家エネルギー戦略」、「原子力政策大綱」及び「原子力立国計画」においてエネルギー自給率改善の数値目標が提示されていないことである。かつて「石油の一滴は血の一滴」と言われた時代もあったが、根本的な状況は何ら改善されていない。エネルギー自給率がたった4%と、先進諸国の中でも際立って低い我が国にとっては、化石エネルギー資源の自主開発と共に、自給率を如何に改善するかがエネルギー戦略の要であることは言を待たない。
エネルギー密度が小さく供給に不安定さが伴うとはいえ、再生エネルギーは自給率改善の貴重な選択肢の一つだ。さらに、基幹電源としての使命を期待する原子力発電については、自給率を大きく改善できる最も有力な電源である。電力自由化の環境下で短期的には投資リスクが伴うとはいえ、原子力発電により自給率を改善することが、エネルギーの世界的逼迫が予測される現下にあっては、最大の国家エネルギー戦略であるべきだ。
幸いにして「新国家エネルギー戦略」、「原子力政策大綱」及び「原子力立国計画」など、これまでに無い国家戦略検討の場が確立されたのを契機に、自給率改善の数値目標につき、是非とも審議を継続されたい。
意見2
[該当箇所]
全般
[意見内容]
「新国家エネルギー戦略」及び「原子力立国計画」の中で、世界的なエネルギー需給の構造変化を読取り、リスク要因が多様化・多層化しつつある状況と時代環境を分析しておられるスタンスには、敬意を表したい。
エネルギー問題に関しては、変貌する国際情勢の潮流を如何に感度よく読み、分析し予測し、国際政治の中で如何に的確な政策を諸国に先んじて取れるかが肝心である。
元よりエネルギー問題は、多元的、複視眼的に捉えるべきテーマであり、かつ収集データから如何に長期の展望を精度良く引き出せるかが鍵となる。殊に化石エネルギー資源が、市場物資・投機物資から戦略物資に変貌しつつある現下においては、国際社会に流布される情報とデータそのものが、極めて戦略的な性格を帯びつつあることに注目すべきである。OPEC及び産油諸国は、自国の商業的なアドヴァンテージを確保するために、関連データを自国に有利な数値に作為を施して公表しているのは、周知の事実と言うべきであろう。
この度の「新国家エネルギー戦略」及び「原子力立国計画」の策定に際して、殊にエネルギー資源の埋蔵量や供給余力、乃至はピークオイル等について、正確なデータ入手は困難を極めるであろうが、独自の分析に何処まで真摯に取組んで来たかを問いたい。他人のデータと分析に頼っていては、「人の褌で相撲を取る」との謗りを免れまいし、危機管理の原点に悖るものだ。
この際、我が国は独自のエネルギーデータの調査・分析に本腰を入れるべきであり、変貌するリスク分析を定常的に行い得る態勢を整備することが、「国家百年の計」に資すると愚考する次第である。
[該当箇所]
全体 および 第3部 第4章第4節「原子力を支える人材の育成」、同 第7章第3節「広聴・広報のあり方」
[意見]
1.全体
本報告書はエネルギー政策基本法に基づき、2003年10月に策定されたエネルギー基本計画の原子力政策を具体的にどのように展開するかを示すもので極めて重要なものと考えます。
全体として基本方針の5項目、原子力をめぐる時代環境の分析、現状・課題と今後の対応のいずれも、日本のエネルギー確保の困難性をバックにかなり突っ込んだ内容となっていて、高く評価できるものと思います。
特に国際的な核拡散防止上また経済性の議論から従来歯切れが悪かった核燃料サイクルおよび高速増殖炉サイクルの早期実用化についてかなりはっきりしたシナリオが示されたこと。
さらに来るべき大量の代替炉建設を見据えて、官民一体となった次世代軽水炉開発が取り上げられたことは特筆すべきことと言えます
2.原子力を支える人材の育成
上記原子力の開発に当たっては人、物、金の投入が不可欠であることはいうまでもありませんが、物と金はその気になれば困難はあっても調達の可能性はあります。しかしもっとも大切な人についてはその育成にかなりの時間が必要です。
現状は、長い原子力の低迷期で、産官学各界とも人材が減る一方であったのに加え『2007年問題』と言われる団塊の世代の大量リタイアを目前に控え、極めて危機的状態です。
現場技能者、研究者・技術者の育成は、これまで絶対量の低下をベテランのがんばりと数少ない新人に、他部門からの臨時応援者を加えて何とか仕事をこなしてきた中で、どうしても十分とは言いがたい状況であると思います。
ユーザーの場合は原子力施設の運転および保守といった定常的業務の中で、ある程度の技能、技術の継承は見込めますが、メーカーの場合は特に深刻です。
種々の事情で計画が先送りになった数少ない新設の施設の設計、製作、建設のあいだに技能、技術の伝承および人材の育成を行はねばなりません。
さらに研究、開発関係では運転中の原子力施設のデーターを反映して新設計を行うために、ベテランが在籍している間にしっかりその技術を消化した上で、新しいアイデイアを加える必要があります。そうでなければ長期にわたり日本の原子力関係者が営々と築いてきた貴重な経験が生かされないことになります。これには優秀な新しい人材が投入されることが不可欠です。
本報告書第3部第4章第4節「原子力を支える人材の育成」の 3.「大学・大学院での人材育成」にその必要性が指摘されていて、すでに原子力関係学部・大学院の新設の動きがあるのはたいへん心強いのですが、問題はそこに本当に優秀な学生が集まるかどうかです。学生は社会の動きに敏感に反応します。社会が原子力をどう考え、どう受容するかにかかっています。原子力関係者から大学や学生への直接の働きかけは絶対に必要で、今後とも継続してゆかねばなりません。
しかしこの問題は根が深く、大学以前の高等、中学、小学校での教育にさかのぼります。日本は戦後その目覚しい復興の過程で、ほぼ二世代にわたって心ならずもエネルギー教育をなおざりにして来たといえます。また特に原子力については唯一の原爆被災国としてタブー視してきたきらいがあります。この問題の解決にはかなりの時間と努力を必要とします。本報告書では第3部第6章第3節広聴、広報のあり方の中で(8)エネルギー教育の推進として「これまでも、エネルギー教育については、文部科学省と連携を取りつつ取り組みを進めているが、より一層実効性のある取り組みとなるよう検討していくことを期待する。」とありますが、これでは他人任せの甚だ弱い印象です。既にエネルギー環境教育学会も発足している現状で、「国は経産省、文科省、環境省などエネルギーに関係する省庁を束ねてエネルギー教育の推進を図るべきである。」程度の強い意志を表明していただきたいと思います。
[該当箇所]
全体
[意見]
(1) 電気事業分科会が電気事業者の発電手段の一つとしての原子力発電のあるべき姿を論じたものとしては非常に良く書かれていると評価します。
(2) 然し、日本の一次エネルギーのわずか12%にしか達していない原子力エネルギーを論じるのに、「原子力立国計画」の題名を冠するのは一般大衆に間違ったイメージを与えかねません。
(3) 電気事業分科会の与えられた権限内では、このままの内容で公表せざるを得ないのであれば、表題もその限界を明確に示したもの、即ち「原子力による日本の電力供給自立化計画」とでもすべきと考えます。
(4)
若し「原子力立国計画」の表題を、前面に押し出すとすれば、報告書 (案)に、原子力の化学原料用、並びに自動車その他の輸送手段用の燃料としての水素の製造のための原子力エネルギー利用の可能性を含めるべきと考えます。
1.「新・国家エネルギー戦略 2006年5月 経済産業省」 の 46頁、「D次世代を支える技術開発、人材育成」の項に、“高温ガス炉などを用いた水素製造技術”の記述が既に用いられています。
2.財団法人 エネルギー総合工学研究所が経済産業省資源エネルギー庁の委託で行った「平成17年度エネルギー環境総合戦略調査(超長期エネルギー技術戦略等に関する調査)超長期エネルギー技術ロードマップ報告書」で「原子力最大利用ケース」として原子力を使って製造される水素の{産業分野}、{運輸分野}並びに{民生分野}への利用の可能性が論じられています。
3.米国の上院歳出委員会が、6月29日に承認した「エネルギー・水資源予算方案」では、第四世代炉計画の一環としてのDOEに依る次世代原子炉の設計作業用予算4,800万ドルの内、4,000万ドルは、商業規模の電力、及び燃料として利用するための水素を供給する、第四世代高温原子炉を利用する事を目的とした次世代原子力発電所プロジェクトの支援に支出される事となっています。
(5) 現在の所謂、「日本における原子力利用についての三すくみ」状態は、「原子力は電力事業者だけの占有物」との印象を、一般大衆に与えてしまっているからとも考えられ、そろそろ、原子力エネルギーの将来像の議論に、電力事業者以外の、化学産業、並びに自動車産業からも意見を求める機会を作って行くべき時期に来ているものと考えます。
1.新しい軽水炉
[該当箇所]
P90〜93海外における軽水炉開発の状況(1)〜(3)、・P92、2030前後からの代替炉建設需要をにらみ、世界市場も視野に・・・国、電力、メーカーが一体となった日本型次世代軽水炉開発に着手すべきである。
[意見1]
考え方は賛成です。機動性が失われないように望みたい。すなわちメーカーが国際市場をにらんで適切な規模と機能を選ぶならそれはそれで良い。P91の指摘のように米国の静的安全を軸―日本でも受動安全性を高めるべきだーとした新型軽水炉、韓国、特に中国は原発投入に意欲的で、面目にかけて自国開発を推進すると思われる。軽水炉時代の長引く可能性も考慮し官民一体となってわが国は現在のABWR,などをさらに前進させることで国際競争力を高めるべきである。
[意見2と理由]
要求される性能(日本のリプレース炉をみた場合、165万〜185万kW、海外はまた別)
従来も新仕様で言われているか、より強調して欲しいものを以下に掲げる。
核燃料サイクルと整合が良いもの、特に核拡散抵抗性に留意、テロ対策熱効率を高めること、従来原発は安い燃料で安全に発電する、に主眼がもたれていた。しかしエネルギー自給率向上、CO2抑制のほか原発の電力が他の電力たとえばAdvanced LNG、石炭に比し現在の軽水炉はサイクルコストを含め発電コストはわずかに有利かといったところである。早晩抜かれる可能性も高い。熱効率を高めることは資本費も下がる方向にある。従来原発は熱効率に軽視してきた観がある。
同様に原発の発電コストに大きな影響があるのは核燃料サイクル費、核燃料費である。最適な解を求める努力が強く望まれる。
(P33関連)負荷追従運転能力を高めること。原発比率が増えれば深夜、週末など原発でも負荷追従の要求が高まる。もしこれが難しいとなると、原発kWが効果的に投入できない。つまり原発を最初から絞って運転する→稼動率ダウン、で原発本来の良さが損なわれ、結果原発投入の機会も自らつぶすことになる。
2.原子力比率と他の電源
[意見1]
原子力(原発 水素)開発は自由化政策とは別に、また当面の需給とは別に特別枠を設ける。
[意見2]
総理大臣がエネルギー環境問題を総括して、一環として強力に関連企業、自治体に原子力開発を訴える。諮問会議的なものをつくるのもよいが「船頭多くして船山に登る」では困る。先進国は一国の総帥が旗を振っている。
このたび総合資源エネ調で標記の報告書を取りまとめられたことはたいへん良いと思う。
1)P27、政策目標13基1723万kkWを目指す。しかし現実着工が具体化しているのは2基に過ぎない。これは先の「原子力政策大綱」の5800万kWを相当超え、計画候補地点を上げている現実的なもので結構である。是非実現のためにがんばっていただきたい。
以下に{理由}を3点述べたい。
[理由1]
P41、表3,1,2、危惧する点として2017年で90%稼動率で41%とある。
現実には数年ならずして43%の声も聞く。「大綱」の30〜40%以上をクリアする可能性が大きい。
この場合でも、原子力開発を終わりとすべきでなく是非6600万kWは最低の目標とがんばっていくべきである。
[理由2]
しかるに次のような隘路も認識せざるをえない。
P38〜39自由化と原発投資、自由化がこれまで電力価格にある程度のよい影響を与えたことはあるだろう。しかしいまや全国で600万kW、原発6基もの量である。今後自由化として自由に作っていくならばーそれが真に安いCO2も出ない(たとえばバイオが候補)電気なら別だがーP39のように「・・・異なる(自由化と原子力は無関係といった感じ)意見もある・・・」にはとても賛成できない。
この点は自由化の一つとしてAdvanced LNG、石炭火力も大口だけに対象となる。当然減っていくであろう需要の中で、電力会社としては需給バランスから新増設するなんて答は出るはずがない。ただでさえたいへんな長期的な資金回収を強いられる原発はますます後退することになる。原子力がエネルギーセキュリテイ、CO2抑制、長期的には安い電力供給の点からも「本報告書」の主旨と全く矛盾することになる。 このままでは大綱のいう5800万kWさえも難しいと思う。
[理由3]
原子力は他の電源とやや異なり、建設の手間、資本回収面でやや(決して多いとはいえないという意味で)時間がかかる。Advanced LNGや石炭火力に比べCO2抑制、化石エネルギー依存を減らすセキュリテイの面でも優れていることは公知である。
当面の需給だけで決めると国の大局を誤ると考える。
一たん系統運用に入れば稼動率を上げるのが最経済的なのである。他の電源に妨げられては意味がない。
3.深夜電力利用と負荷率の向上
[該当箇所]
P33 5、政策目標の実現に向けた課題と対応策、(1)原発特有のリスク・・・B一時的な需要落ち込み・・・
[意見1]
負荷追従運転運転について出力の増減、低負荷運転への対応が書かれていることは当然ながら結構です。 しかしさらに一段と重点を置く必要がある。
[理由]
電力需要構造がどうであれ、kW原発比率を高めただけでは安定負荷運転が部分的になるおそれが大きい。(kWh)原子力比率向上のためには負荷追従運転能力を高めなくてはならない。さもないと大小原発の台数が増えるなどの不経済をもたらす。
[意見2と理由]
少子高齢化、省エネなど需要の伸びは弱含みと考えられる。一方AdvancedLNG,石炭、バイオ、他自然エネルギーの増加もある。当然原子力だけが高負荷率すなわち高稼働率運転の保証は減るであろう。 原子力の利点であるCO2抑制、経済性も損なわれることになる。そこで原発比率上昇と合い携えて深夜週末需要の開拓に力を入れることを強く提案いたしたい。原発以外のいろいろな電源も改善、改良されつつある現在、将来原発比率が50%を超える事態となっても、原発の稼動率維持、負荷率が高くなれば原発を含め全電源にとって有利となる。他の電源からkWhが次第に原子力に移るにしても非原子力産業界への影響を弱めて軟着陸することができる。
負荷率改善は古くから言われ、事実揚水発電所はかなりの実績をあげてきた。こんごこれはほとんど期待できない。代わりに電池は一策ではあるが消極的である。なおわが国の負荷率は先進国中第4位の61,2%、1位はドイツの74,5%
(出展)
電気事業便覧 世界の統計、全般:月刊エネルギー2月号P42〜43石井
そこで深夜負荷の開発を考えたい。最右翼はプラグインハイブリッドの車である。深夜電力を使えば燃料費の高騰から現在でも燃費経済からは最高といえる。
脱カーボンの声が大きくなり、勢い原子力をはじめ非化石エネルギーによる水素が取り上げられるであろう。 深夜電力利用など負荷率の向上はITに用いられるような有用物質のリサイクル、Cを中心とした化製品から全く別の水素リッチになる可能性が大きいと考えられる。液体水素による産業も考えられる。要するに脱カーボンは産業構造改革につながるのである。
4.地球温暖化問題
[該当箇所]
P15下、2節2、現在のレベルの半分以下にまでCO2の排出量を削減・・・CO2の排出抑制には長期的に取り組んでいくことが必要
・20世紀末以来、本件は人為活動によることがますますはっきりしつつある。例)米05年カトリーナ台風、05年日本の多くの記録的暴風雨、多くの陸の雪、氷山の後退や減少―特に北半球―など枚挙にいとまない。今後の予想もきびしい。温暖化ガスではCO2削減が急務と考えられるに至った。環境問題は悪化しだしたら、また大きな影響力のあるものほど歯止めが利かず、手遅れになると著名な複数の専門筋は主張している。
[意見1]
政策的に原子力を前倒しに投入していく。
[該当箇所]
P111(8)CDMへの取り組み・・・CDMおよびJIに原子力を組み入れるよう主張していくべきである。→わが国は環境問題についても主導的な立場をとるべきである。このため積極的に原子力開発を前倒ししつつCDMおよびJIに原子力・・・
[意見2]
P111他関連、わが国一次エネルギーを見た場合、発電は30%くらい、次に輸送20%超である。電力だけで脱化石燃料によるセキュリテイ上昇とかCO2抑制といっても不十分である。全国民、全産業が省エネ、関係する技術開発に努めるべきである。そのため輸送面でも現在実用化されているハイブリッド車の推進のほか、非化石燃料による深夜電力利用(昼間電力はどうしても高い)によるプラグインハイブリッド車の開発、性能向上は即効性が高い。積極的に開発推進すべきである。電力料金、ガソリン代など国家、国民への経済的影響もよくなる。
(出典、補足)
サイエンス 06-7、P86参考 米カリフォルニア州は車の燃費規制が強化されている。2016年までに車の温暖化ガスの排出を30%削減する法律を02年に成立させている。他の州も追随するとみられている。
5.廃炉および更新
[該当箇所]
P30下4、政策目標の実現可能性、リプレースについては・・・・・全国ベースでの用地の確保は可能と考えられる。
[質問と意見1]
やや解釈が難しいところがあるが、もしリプレースを廃炉冷却、放射能の減衰まち→片付けて跡地に新設、だとすると2030年前後から1000万kW以上もの原発 を長期間失うことになる。廃炉の費用を見ていただくのは結構なことだが、大量の原発電源喪失となるとその間の代替電源は化石燃料しかない。これはあらゆる面で大きなマイナスである。こういった増設があってもよいが、極限する工夫が必要である。
[意見2]
表現はともかく、時間が来て特定の原発を廃止する場合にも大規模、長期間の電源喪失が生じないよう同期間原発を平行建設するように努める。
本件もまた地方自治体の理解と協力、なによりも国の相当な働きかけが必要である。
[該当箇所]
P35〜P36 A廃炉費用負担の軽減・平準化 ・・・原子炉の停止後、解体を開始するまでの期間を柔軟化するなどの工夫を最大限行っても・・・負担・・・集中する可能性がある。
[意見3]
表現が微妙だがこれでは(意見1)の解決策としては姑息であり、コストは跳ね上がる、やはり(意見2)の考え方をおりこむべきと考える。
6.立地対策
[該当箇所]
P122〜125、第1節 国と立地地域の信頼関係の強化(1)〜(6)、P122下、双方の権限関係を整理する制度的な対応については現状を踏まえると信頼関係の強化の面で逆効果・・・・・中長期的な検討課題とすることが適当である。
「意見と感想1」
本文は相当苦汁のいきさつがよく顕れていると思います。 しかし エネルギーや環境や安全問題は国家的政索の一つといってもよい。地元と十分な話し合いは御説のように現在以上にしっかりやっていくことでいいのではないでしょうか。その上で最終的には国が決定すべきものだと考える。地方自治体は住民の安全、負担、企業との関係で問題があれば国なり関係方面に意見すればよい、安全上 国が決めたことまで自治体がとやかくいって実質的に物事を固めるという性質のものかおおいに疑問を感ずる。 従って・・・原文の中長期的課題とすることが妥当・・・→裁判に至らずとも国と地方の二元管理的なところはどこかでケジメをつけ、原文のニュアンスからもよりはっきりさせるべきではないでしょうか。
[該当箇所]
P30新地点の立地
[意見2]
もし廃炉、更新についてかなりの原発電力の喪失とそれに伴う化石燃料による代替電源しか考えられないなら、廃炉に見合った、原発新地点を国、電力、地方自治体がまとまって新規地点を開拓すべきである。 遠い将来は本州、北九州を含め複合企業体による原発を含めたエネルギー・環境特区を2〜3箇所考えてよいのではなかろうか。
(出典)月刊エネルギー06-2月号 石井P42
[意見3]
以上は国家主要政策として関係する民間企業の他、最終的には総理大臣に旗を振ってもらうことが強く望まれる。
7.原子力の増出力と稼動率向上
[該当箇所]
P40〜42 2・・・設備利用率向上の取組 についてのとりまとめを大いに評価します。
・諸外国のように18ヶ月から24ヶ月の運転期間延長が設備利用、被爆低減(米)がわが国を上回る・・・は改めて範とすべきである。高経年度対策のほか、運転保守の高度化の例もP42に挙げられているのは妥当であるが、もう少し原発の運転、機械を信用してもよいのではなかろうか。具体的には次のような対策がとれないだろうかということである。
[意見1]
ユニットによって最終20ヶ月以上の連続運転を目標にユニット別に段階をもうけてもよいから、逐次連続運転期間を延ばす。→若干定検期間が伸びても良い。ある種トラブル発生(たとえば耐震調査といった)において特定機種または発電所を全機止めるといったことはやめる。もちろん安全など合理的な対策を採った上のことであるが、単にコンモンモードかどうかも定かでないうちにそれがあたかも大故障につながるかのような停止点検は避けるべきである。これには国の自治体などへの相当なはたらきも必要と思われる。 要するに国のセキュリテイに関する事項だからである。
[意見2]
ユニットの個別出力についてはシーズンの差だけでなく、機械のユニットの設計余裕を合理的に見定め出力増加に反映させる。
[意見3]
原発ユニットの寿命延長は原発システムの経済化のみならず、廃炉・更新の弾力化にもつながるので合理的延長について前向きに考えるべきである。
効果:停止頻度を増すことによるユニットの疲弊も間接的に減る部分が多い。
原発新増設への負担が減る。
原発コスト低減、電力料金への好影響
8.高速増殖炉
[該当箇所]
第3章高速増殖炉サイクルの早期実用性P64〜P84、従来Uの有効活用の側面のほかMAの処理・処分を強調されている。そのほかサイクルのメドを早くつけるべし、の論調にも基本的に賛成です。(2)BR実証炉などの開発・建設P71〜P72および、FBRサイクルの国際協調P82〜P83。
[意見1]
・・・実証炉および実用導入炉によるステップを他の2案に比しの望ましい・・・。は「もんじゅ」の改造炉で実用化が済むとも思えない現在、妥当と考える、
またその方が永い火力、原発の改良、出力規模拡充面でステップバイステップで来た歴史から見ても気合が入るであろう。できればこれぞ実証炉の雛形といえる60万kWくらいのを早めに2030〜40年くらいに建設する。MAの処分、FBR再処理のメドもつけるのが望ましいと思う。さらなる大型化により各部分の顕在、潜在化した性能、は次の本格炉―実用導入炉に確信していくことになろうか。ともかくもんじゅを着実に軌道に乗せることが第一である。
[該当箇所]
第4節 移行シナリオ・・・(3)〜(5)P77〜78、第6節FBRサイクルの実証・実用化(P84〜85)
[意見2]
FBR単体のことであれば他の航空機、自動車などと同じく形式の差はあっても差し支えない。ここではFBRサイクルということであれば、御説のように米国、フランス路線においてリードする気概を持っていくべきだが、つかず離れず進める必要があろう。
・P84〜85 「戦略的柔軟さ」をもって具体化・・・、および、・・・技術的成立性を確認することが課題である、は御説に賛成。「柔軟さ」は意味慎重であるがコンセプトの違う他の炉を視野にいれることも含まれると考えるべきだ。
米国、英国で原子力ルネッサンスを迎えつつあるこの時期に、我国原子力政策の基本方針を網羅した「原子力立国計画」を策定されていることに敬意を表します。
以下4点に絞って意見を述べさせていただきます。
[意見]
石油・天然ガスの資源的制約についてはもう少し切迫感を持って対処する必要がある。
[該当箇所]
第2部、第1章何故原子力が必要なのか、第1節2.石油および天然ガスの現状と見通し、とりわけ「長期的な資源量の制約可能性を論じるピークオイル論が妥当するか否かは別にして、・・・・」の部分)
[理由]
石油の生産ピークが近いことを覚悟して腰の座ったエネルギー政策を立案して行く必要があろう。背景としては:
世界の主要産油国48ヶ国のうち33ヶ国ではすでに石油生産ピークを過ぎている。2大産油国であるサウジアラビアもロシアも生産の初期段階から二次生産(油層に対する水の注入)を行っており、地下の圧力によって回収できる安価な石油が乏しくなりつつある。
石油・ガスの資源データが公表されておらず、透明性に欠けることは大きな問題であり、今回のロシアG8首脳会議でも取り上げられている。その一方で国際エネルギー機関(IEA)は「2030年以前の石油生産ピークはない」と決め付けている。データがないのにどうしてそのように断定できるのか、大きな矛盾である。IEAは2000年に発表された米国地質調査所(USGS)の資源量推定値をそのベースとしているが、USGS推定値そのものの妥当性が揺らいでいる。USGSは1997年時点のデータを使用して以後50年間に期待される「新規発見量」として7,300億バレル、「埋蔵量成長」として6,900億バレル、合計で1兆4,200億バレルを計上しているが、10年近くを経た現在、発見量、成長量ともに年間期待量の何分の一にも達していないことが判明している。発見のピークは1960年代に過ぎており、既存資源の成長もほとんど見られていない。
既存油田の減耗率は例えばサウジアラビアの場合年間6%と言われている(IEA「2005年世界エネルギー見通し」)。新規油田開発の情報は重視されるが、既存油田の減耗率は軽視されている。サウジアラビアと雖も現在の生産レベルを維持するのがやっとであろう。
新規油田の開発はアフリカや南米の深海に移っている。これは技術上難しい北極圏を除き、地球上に残された最後の対象区域であろう。現に史上最高の利益を上げているメージャー・オイルも新規の石油探査よりも天然ガスの開発に力点を移している。
[意見]
ウラン資源確保は民間の実力を付ける方向で
[該当箇所]
第3部、第2章、第4節ウラン資源確保戦略、3.我国として必要とされる対応、@石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による民間企業の探鉱・権益取得に対するリスク・マネー供給等の活用、B石油天然ガス・金属鉱物資源機構は、日本原子力研究開発機構と協力し、ウラン探鉱に係る人的知見や技術的蓄積を拡大)
[意見の内容と理由]
7月13日電気新聞報道によれば、JOGMECによる具体的支援法は電源特会を財源とする「補助金」で07年度予算は数十億円となっている。世界のウラン業界では民間企業が主導的役割を果たしており、探鉱および開発技術に乏しい我国企業としては、実際には外国企業と共同して、探鉱開発を手掛ける必要が出て来よう。そうすることにより企業としての経験を積み、技術的能力や判断を蓄積して行くことができる。その意味で我国非鉄金属企業の参加が欠くことのできないものと言えよう。
1970年代には金属鉱業事業団による「ウラン探鉱成功払い融資制度」が民間参入を惹起したことを思い出す。この制度の下では「プロジェクト」ごとに会社を作り探鉱費の50%の融資を受ける。そして成功の暁には年賦で元本を返済するが、失敗した場合には会社を解散することにより元本返済義務を免れる仕組みになっていた。民間にとって単純な「補助金」は甘い砂糖であるが、真剣にリスクを取って取組む覚悟が希薄になることも懸念される。またプロジェクトに参加する際に、探鉱費のみならず最初の鉱区権取得にも補助金が出されるとなると、その鉱区や権益の評価がどのように行われるのか、客観性のある基準作りが難しいのではないかと思われる。
従って、民間企業を甘やかすことなく、実力を養成させるのが中長期で見た最善の策と考えられ、官が前面に出て技術までコントロールすることには疑問を抱かざるを得ない。
さはさりながら、1970年代には米国のほとんどの電力会社やメジャー・オイルがウラン探鉱開発に乗り出した過去の経緯を考えると、彼らが動く前に、我国として早期の対策を立てて行くことには諸手を挙げて賛成したい。
[意見]
外国高速炉計画との整合性を
[該当箇所]
第3部、第3章高速増殖炉サイクルの早期実用化)
[意見の内容と理由]
フランスでは廃棄物法に基づき2020年に実証高速炉開発、米国ではGNEP計画に基づき2023年に実証炉開発を計画している。何れもマイナー・アクチニドなどの核種変換を目指す「バーナー炉」と言われている。我国のFBRサイクルは5者協議会(経産省、文科省、電力、メーカー、JAEA)で今後検討されると報じられているが(電気新聞7月14日)、外国とどのように歩調を合わせて行くか(特に我国としてのバーナー炉の取り組み)をこの原子力立国計画にも盛り込んだ方が良いのではないかと愚考する。
[意見]
ロシアとの二国間協定を
[該当箇所]
第3部、第5章我国原子力産業の国際展開支援、第3節国際展開支援策、(7)二国間協力協定等の枠組み作り
[意見の内容と理由]
米ブッシュ政権は、従来イランに対する原子力支援問題でロシアとの協力協定締結に否定的な立場を取ってきたが、今回急に政策を変えてロシアとの二国間協力協定締結に向けて舵を切った。
日本としてもロシアとの原子力協力協定締結を急ぐべきと考える。特にウラン濃縮の分野では(従来はロシアにフィード・ウランを持ち込めなかったが、米国が認めるようになれば、カナダ、オーストラリアの資源国も追随すると考えられ)ロシアに賃濃縮を依頼できるようになり、供給先の多様化と今後上昇が予測される価格面でのバーゲニング・パワー増大が期待される。また回収ウランの再濃縮依頼や、濃縮テイル(劣化ウラン)の再濃縮についても経済性が出てくればその可能性が出て来よう。米国電力がそのような利益を受けることが可能になるのであるなら、日本電力の可能性を広げるためにも、日露原子力協力協定締結についてここで明示いただければと思う。
[意見1]
[該当個所]
第1章 第1節3(2)リプレース、5(2)初期投資、廃炉負担の軽減・平準化
[意見内容]
リプレースに関連して「これを計画的かつ着実に進めて行くことが必要である」「リプレース時期の集中を緩和するための工夫や、廃炉に伴う原子炉の停止後、解体を開始するまでの期間を柔軟化する等の工夫を最大限行ったとしても、初期投資負担と廃炉費用負担とが相当程度集中する可能性がある」と記載されており、問題点などはかなり把握されていると考えられるが、実際のリプレーススケジュールを考えるとかなり早期から十分な検討を進めていく必要があり、リプレース問題などを検討する会議または組織などを早急に立ち上げるよう明記しておくことが望ましいと考える。
[理由]
図3.1.2にも記載があるが、原子力発電所の寿命を一律に60年とした場合、2030年から2057年までの28年間に約450億kW(2049年まででは290億kW)の原子力発電所が廃止されることになる。これを補うためには、単純に考えれば100万kW級(現在は130〜150kW級が主力ではあるが電力会社によっても差があり、ここでは100万kW級を基準とした)原子力発電所を45基、年間にすれば1.6基(2049年まででは29基、1.5基/年)をこの間に建設が必要と言うことになる。これだけの発電所を長期にわたり建設することは立地、資金、人員等何れの面から見ても大変な負担となる。
一方、リプレースの面から見ると、原子力発電所の運転を停止した後、燃料取り出し及び冷却に5年程度、解体撤去に5年程度、リプレース炉の建設に5年程度かかるとすると、これだけで15年が必要である。これはかなり厳しいスケジュールであり、実際には原子力発電所を停止後、リプレース炉の運転が再開されるまでには20年が必要と考えた方が良い。これは、仮に2030年に運転を停止した原子力発電所がリプレースされ運転を再開するのは早くても2050年ということになり、上記の原子力発電所停止の充当には殆どならない。逆に2030年にリプレース炉の運転を開始しようとすれば、基になる原子力発電所は2010年には運転を停止しておく必要があることになる。場合によっては、早期に寿命を迎える炉は若干停止時期を早め、後期に寿命を迎える炉は寿命を60年以上への延長を検討する等、リプレースの期間を長めにするなどの配慮も必要となる。
従ってリプレースのみでこの問題を解決することは非常に困難であり、既設サイトの余裕地への増設、新規立地を含めて解決を図る必要がある。しかし新規立地は現実にはかなり難しい面があり、また既設サイトへの増設についてはサイトにより余裕の有無の程度が異なり、個々に具体的な検討が必要となる。また、既設サイトは極力有効利用を行わないと原子力発電所の廃止後、所謂原子炉の墓場になってしまう可能性もある。このような墓場を作ることは今後の立地対策などからみても絶対に避ける必要がある。
本問題は基本的には個々の電気事業者が解決すべき問題ではあるが、個々には解決のつけ難い問題もあり、国も中心となり、関係者間で協議、検討する会議乃至組織が必要であると考える。検討すべき内容の例としては次のような点が考えられる。
1 原子力発電所の廃止、代替炉建設、リプレースなどの全体工程の検討、調整
2 廃止措置期間、リプレース期間の短縮についての技術的検討
3 上記に要する資金及び資金準備制度などの検討
4 寿命再延長(必要により)の検討
5 廃炉及びリプレース炉建設に関する規制面からの検討(廃炉と建設の安全審査及び規制の一体運営など)
6 廃炉及びリプレース期間中の地元の活性化及び交付金などの検討
7 解体廃棄物(従来の想定以上に発生)処理処分の検討
8 その他
[意見2]
[該当個所]
第3部 第3章 高速増殖炉サイクルの早期実用化、特に 第6節 高速増殖炉サイクルの実証・実用化への円滑な移行のための取組
[意見内容]
今回の報告書で、高速増殖炉の開発に積極的に取り組む意思表示を行ったこと、特に実用化に関連して基本シナリオとして実証炉の建設を2025年運転開始を目指すことを明記したことは評価出来る。また、実証プロセスの検討のため「早期に関係者(経済産業省、文部科学省、電気事業者、メーカ、日本原子力研究開発機構)による協議を開始することが必要であり、その内容を詰めるための場として、学識経験者を加えた研究会を設置すべきである」として研究会での検討項目例を例示していることは具体的で良いと思う。但し実証炉の建設は工程的にもかなり厳しく、研究会というよりは推進会議的なものの方が望ましいのではないかと考える。また、例示項目ではあるが、検討項目例として「実証炉建設について」(仮題)を追加するべきである。
[理由]
実証炉の運転開始を2025年とし、実証炉の建設・試験に約5年、許認可(環境調査及び設置許可など)に約5年、立地(立地要請から地元了解まで)に5年程度を要するとすれば、2010年には立地要請を行わなければ間に合わないことになる。一方、立地要請を行うためには、実証炉の基本仕様を決定するのみでなく、建設費、建設費負担、建設主体なども明確にしておく必要がある。
一方、現在の実用化戦略調査研究のスケジュールでは2015年までに「FBRサイクルの適切な実用化像とそこに至るまでの研究開発計画を提示する」ことを目標にしており、このままでは実証炉建設スケジュールと適合しない。従って実際には実用化戦略調査研究の進展を若干早めると共に、併行して実証炉建設準備を進める必要がある。このためには(名称に拘るわけではないが)研究会では多少ニュアンスが弱く、せめて推進会議を設置して強力に推進する必要があると考える。また例示ではあるが、検討項目例に実証炉建設を加え、重要な課題であることを明確にすべきである。
1.全体について感想
本報告書案は、複雑多岐にわたる原子力産業全般についてよく纏められており、現状認識及び今後の方策などの内容も大変良く出来ていると思います。皆様のご努力に敬意を表します。
問題は、最後に述べられておられるように、今後いかにその実現を図るか、です。 せつかく良い目標を立てられたのですから、実現が大事です。現在の日本の原子力をめぐる状況の中で、なかなか困難な問題も見受けられます。またより具体的な検討や研究が必要な点もあります。ぶれないで、かつ着実に実現を図っていくことは容易なことではありません。この報告に基づく具体的活動を期待します。
2.具体的な箇所についての意見
[該当箇所]
第2部 第1章 第1節 2.石油及び天然ガス見通し
[意見]
石油資源の将来見通しについてごく簡単に述べられているだけで、2030年にはピークが来ると言われている石油生産量について、ほとんど具体的記述が無く、単に「逼迫した石油の需給傾向が続く可能性がある」と述べるに止まっている。この問題はエネルギー問題の基本をなす重要課題であり、将来の原子力のあり方は石油ピークの見通しによって大きく左右される可能性がある。石油ピークに関する将来の見通しについて説明と見解を述べることが望ましい。
[該当箇所]
第3部 第1章 第1節 2.基本的な考え方
[意見]
2006年度の供給計画を政策目標としているが、これが本当に実現出来るのであろうか、疑念がある。この計画にある多くの地点は問題がないと考えられるが、中には簡単に進みそうにない地点が含まれているように見える。より具体的な検討が望まれる。
[該当箇所]
第3部 第1章 第1節 4.政策目標の実現可能性
[意見]
「リプレースについては全国ベースの用地確保は可能である」としているが、具体的な検討がされたように見えない。リプレースの具体策について検討し、考えられる問題点の検討をしておく必要がある。 実際の発電所の例を取り上げて、リプレース工程のモデルプランを作るなどして、具体的な問題点を掘り下げて置く必要がある。
[該当箇所]
第3部 第1章 第1節 5.(4)原子力発電のメリットの可視性 @
[意見]
原子力CO2メリットの分かりやすい表示は一般の理解を得るためには大変良い方策である。 是非実現をしてほしい。
[該当箇所]
第3部 第1章 第2節 3.既設原子力発電所の適切な活用に向けた取り組み
[意見]
プラントの定格出力増加については、米国の例として取り上げているが、わが国としての取組が明らかにされていない。増出力は比較的容易であり、特に適切な原子力立地点の少ないわが国において重要な方策であると考えられる。この方向で具体化すると明記すべきである。
また連続運転期間の延長についても実現の方向で検討していただきたい。
[該当箇所]
第3部 第3章 第3節 高速増殖炉サイクル実用化のシナリオ
[意見]
「1.移行シナリオ」において高速増殖炉炉の具体的な進め方を、基本シナリオとして示したのは評価できる。
しかしその具体策は、「第6節 高速増殖炉実用化への取り組み」において研究会が提案されているが、経産省として直接引っ張っていく気概が見えない。高速増殖炉の具体化の検討は、経産省が主体となって実施することが望ましい。
意見1
[該当個所]
全般
[意見内容]
@ 原子力発電事業に関わる、国内外の現状、課題、対策がキチンと分けて書かれておりよくまとめられていると思います。
A 国が前面に立って三すくみ状態を打破して行こうとの意気込みが感じられ、官民の役割分担についても、かなり明確に書かれていると思います。
B 文部科学省の管轄に属すると考えられる「研究開発」関連事項についても、大胆に踏み込んで書かれた部分が多いような印象を受けました。
全体を通じて、国が責任をもって原子力発電政策を遂行していく「意志」が感じられます。今後、「軸のぶれない政策」として位置づけ、実効性のある施策をたてて、他省庁−特に文科省と連携を取りながら、着実に実行に移していくことを切望します。
[理由]
@
従来の報告書では、どちらかというと「現状分析」的なものが多く、将来の方針や国の責務について、あいまいな書き方をしたものが多かったと思います。
A
原子力行政に関しては、研究開発は文科省、産業関連は経産省という役割分担が画然としており、研究開発段階から産業化段階への移行がスムーズに行われなかった結果、多くの金や時間が消費され、しかも産業として日の目を見なかったものが多い(ふげん他)。これからは、そのような無駄は国内外の厳しい情勢から許されないでしょう。
意見2
[該当個所]
まえがき相当部分(「第1部 原子力政策立案に当たっての5つの基本方針」の前段。報告案には該当箇所はない。)
[意見内容]
本報告書の位置づけを明確にしてください。
いきなり「第1部 原子力政策立案に当たっての5つの基本方針」ではこの報告書が何に基づいて作られたのか、国民の目には判断できません。したがって、第1部に入る前に、これが作られた経緯を書くべきでしょう
例えば「本報告書は2005年10月に閣議決定された原子力政策大綱に基づき、その原子力発電に係る部分について、具体的な政策展開を図る上での国内外の現状の再確認、問題点の把握、及び今後必要とされる諸対策について検討を加えたものである。」
[理由]
本報告書の位置づけは上記例書きのとおりかと考えていましたが、一方で本報告書の標題の「原子力立国」は、本年5月31日に公表された「新・国家エネルギー戦略」の「U.実現に向けた取組 5.原子力立国計画」を受けたものと考えられます。
「原子力立国計画」では原子力をエネルギーの一つとして大きくとらえ、原子力発電に限定せずに、核融合や熱利用、核変換技術まで入れています。
国民の目から見た場合、国の原子力政策の大前提が良く見えません。
意見3
[該当個所]
全般
[意見内容]
原子力の熱利用に関する記述がないので、入れるべきです。
原子力の熱利用は石油減耗(オイルピーク)と中国やインドなどの化石燃料に対する需要の急増などの要因から、今後その価格がますます高くなることが予想され、原子力の電気エネルギーに転換しての用途以外に、直接熱エネルギー源(原子力水素、製鉄・化学工業用などの産業用熱源ほか)としての用途に広がる可能性があります。「原子力立国」という標題は熱利用までを含めたものと解釈すべきです。
[理由]
本年5月31日に公表された新・国家エネルギー戦略ではU.5.原子力立国計画D次世代を支える技術開発、人材育成に「高温ガス炉などを用いた水素製造技術など、先進的エネルギーに関する研究開発をすることになっている。
意見4
[該当個所]
第2部第1章第2節5 2100年までの我が国のCO2発生量の見通し(P18下から4行目以降)
[意見内容]
「したがって、エネルギー政策は、「新エネルギーか原子力か」ではなく、「新エネルギーも、原子力も」という考えで進めていくことが肝要であり、省エネルギー、新エネルギーの導入を最大限進めるとともに、原子力発電については、2030年以降も、総発電電力量の30〜40%程度以上の役割を期待することが適切である。」と記述されていますが、エネルギー政策は「省エネルギーと原子力で」という考えで進めていくのが肝要かと考えます。新エネルギーは補完的な役割しかないでしょう。
[理由]
P17の「4.新エネルギーの導入と課題」にも記述されているとおり、太陽光発電、風力発電には問題が多すぎて、エネルギー政策で原子力に並置されるようなエネルギー源には、どれだけ資金と時間をかけてもなりえないと考えます。バイオエネルギーも同様です。
したがって新エネルギーに投入する予算はできうる限り削減し、省エネルギーと原子力に重点配分すべきものと思います。
意見5
[該当個所]
第3部第1章第1節 電力自由化時代の原子力発電の新・増設、既設炉リプレース投資の実現、1.政策目標、2.基本的な考え方(P26〜28)
[意見内容]
@ 政策目標として2006年度の供給計画に基づき、「2017年までに13基1700万KWの原子力発電所を建設する(総設備容量6700万KW)」としたのは、2030年のエネルギー需給展望(2005.3)で示された標準ケース「2030年までに5800万KW」に比べて、前倒しで更に900万KW増になっており、意欲的な目標として賛同します。
A ただし、その推進に向けた基本的な考えが「事業者の政策目標に向けた決意表明を尊重」して、事業者の自主的努力にゆだねられたことと、「万が一政策目標を達成しない場合でも、事業者の取組状況を見守る」こととされており、実質上、国の関与については何も記述されていません。「万が一政策目標が達成されない恐れが出てきた場合には、国と電気事業者が共同して早急に原因究明に当たり、必要な対策を講じる。」というような文言にすべきです。
[理由]
国は政策目標を立てるだけでなく、その実施に対して責任を有しています。国策民営とはいっても、すべてを電気事業者まかせにすることは許されません。
意見6
[該当個所]
第3部第1章第1節 電力自由化時代の原子力発電の新・増設、既設炉リプレース投資の実現
5.政策目標の実現に向けた課題と対応策
(3)広域的運営の促進
@供給計画のあり方
(ア)勧告などの手続きの明確化(P36)
(イ)今日計画の対象事業者(P36)
[意見内容]
「政府は電気事業者に対して、供給計画の作成と届出を義務付けており、それが適当でないときは勧告することができる。(勧告権)この勧告権の発動条件は明確化されておらず、将来必要に応じて明確化他について検討を行う」との主旨ですが、今直ちに検討に入るべきと考えます。
[理由]
今回、政策目標として2017年までに13基、1700万KWの原子力発電所の建設を電気事業者が協力して、広域的運営や共同開発を通じて遂行していくことが打ち出されました。しかし電力自由化の下、電気事業者はお互いに競争場裡にあり、これらの協力事業を進めるのは極めて難しいものかと思います。
今回の10年間で13基建設という目標は極めて直近のものです。電気事業者の自主的取組では埒があかず、建設未達は当然予測されることであり、今すぐに勧告権の発動条件の検討に入るべきものでしょう。
なお、原子力の広域的運営、共同開発を通じた電力の再編は十分に考えられることであり、PPSの取り扱いも、この中で考えていくべきものと思います。
意見7
[該当個所]
第3部第1章第2節 安全確保を大前提とした既設原子力発電所の適切な活用(P40〜43)
[意見内容]
ここでは、既設原子力発電所の設備利用率についてのみ言及しており、「認可設備容量のアップ(出力増強)」についての記述がありません。記述すべきです。
[理由]
欧米では既設炉の認可設備容量を見直すことで、原子力発電所を新設することなく、平均して5%程度の設備容量のアップに成功しています。日本の場合、現在5000万KWの設備容量がありますので、250万KWの出力増加が期待でき、電気事業者に過度の負担無く、原子力発電所2基分が浮くことになり、大きなメリットがあります。許認可行政の見直しにつながりますが、実施すべきものと考えます。
意見8
[該当個所]
第3部第3章第6節 高速増殖炉サイクルの実証・実用化への円滑な移行のための取組(P83〜85)
[意見内容]
実証段階への引継ぎをスムースにするために、高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究フェーズU終了(2006)後できるだけ早期に、関係者(経産省、文科省、電力、メーカー、原子力機構)に学識経験者を加えた研究会を作って、実用化戦略調査研究フェーズVに研究会の意向を反映していくとの主旨には賛成です。
ただし、研究会でなく、原子力委員会の下に関係者と学識経験者を加えた「高速増殖炉実用化検討委員会」のようなものを作る必要があるものと考えます。
[理由]
経産省と文科省が入った研究会では、両省の意見が合わなかった場合、調整がつかなくなる可能性があり、その場合フェーズVは文科省のペースで進められる恐れがあります。それを避けるためには、内閣府に属する原子力委員会の下に研究会を作る必要があるものと考えます。
意見9
[該当個所]
第3部第5章第3節 原子力産業の国際展開支援施策(6)導入国における制度整備への支援(P110)
[意見内容]
文章の末尾に次のような文言を入れてください。
「なお、我が国の原子力安全規制体系は、世界標準といえる「IAEA安全基準」から外れた部分が多い。そのため、耐震安全基準は別として、まず我が国の原子力安全規制体系を「IAEA安全基準」に合致させておく必要がある。」
[理由]
上記のとおりです。(事実を記載)
意見10
[該当個所]
第3部第5章第4節 地域別の具体的対応方針
(5)インド(P114 下から5行目)
Aインドへの原子力資機材・技術の供与の是非については、世界的にも未だ方向性が定まっておらず、また、輸出管理を含む現在の不拡散体制との整合性の観点からも、今後NSGにおいてその取り扱いをよく議論する必要がある。
[意見内容]
下記のような内容に替えるべきと思います。
Aインドへの原子力資機材・技術の供与の是非については、米国では核不拡散体制の困難性を乗り越えて米印原子力協力合意のもとに、民生用の分野で原子力協力を実施していく方向を打ち出しており、議会の承認を得る段階にある。また仏、露なども追随する動きを見せている。なお、輸出管理を含む現在の不拡散体制との整合性の観点から、今後NSGにおいてその取り扱いを議論する必要はある。
[理由]
上記のとおりです。(最新事実を記載)
意見1
[該当箇所]
全般
[意見]
わが国の原子力の状況と問題点を適確に捉え、「原子力政策大綱」を個別政策レベルにしっかりと展開されました事に敬意を表します。ぜんたいとしては、本報告に述べていることに賛意を表します。今後の確実な実行についてのフォローアップをしっかりお願いします。
意見2
[該当箇所]
第2部、第1章、第1節、4。わが国の現状
[意見]
「わが国のエネルギー自給率が著しく低い」と嘆いているが、嘆いているだけでは意味がないと思います。長期的に見て、自給率を何時までに、どの程度まで上げようとするのか。
2030年以後も総発電電力量の30〜40%程度以上の供給割合を原子力発電が担うことを目指すとあるが、この場合自給率はどの程度になるのか。
意見3
[該当箇所]
第3部、第5章、第3節、(8)原子力のCDM,JIへの組み入れ
[意見]
現在の京都議定書では、原子力はCDM、JIに組み入れられなかったが、将来枠組みにおいては是非組み入れられるよう、責任部署を明確にして真剣に取り組んでいただきたい。
意見4
[該当箇所]
第3部、第7章、第1節、(1)地元住民との直接対話による「顔の見える」取り組みの強化
[意見]
趣旨は大賛成です。全国各地に居住している原子力OBの方々を組織化して、国、電力と連携を取り積極的に取り組むことを提案します。
意見5
[該当箇所]
第3部、第7章、第3節、3、(7)行政側に非がある場合の素直な対応、誤った報道や極端に偏った報道へのタイムリーかつ適切な対応
[意見]
趣旨は大賛成です。国が責任部署をきちっと決めて、必要な場面で正確な情報を必ずタイムリーに出すことは大変重要なことです。TV,全国紙、地方紙などに積極的に出してください。
意見6
[該当箇所]
第3部、第7章、第3節、3、(8)エネルギー教育の推進
[意見]
経産省も文科省もすでに立派な外郭団体があり活発に活動しているが、最近予算が削減の方向と聞いております。エネルギー教育を本当に強力に進めたいとの意向があるのでしたら、責任部署を明確にし、予算を増額し、全国に沢山いる原子力OBを活用するようにして下さい。
[意見とお願い]
人類は、人口増加・経済成長、各種資源・エネルギー問題、地球環境問題の間のトリレンマに直面しつつあります。中でも化石燃料の枯渇に伴うエネルギー問題は最も深刻であり、エネルギー資源の争奪が原因で大規模な世界的な争いをも招きかねません。その現実を見据えて、 〜原子力立国計画〜 と副題のつく部会報告書を纏められた意気込みに敬意を表します。
その意気込みを反映して、今後の課題を広く深く整理した密度の濃い内容であると感じました。ただ、ここに書かれていることを真に実現させるために、幾つか意見を述べ、そしてお願いを申し上げたいと思います。
1.核拡散防止について
報告書で論じられているのは原子力の平和利用ですが、パブリックの脳裏には原爆の恐ろしさがつきまとっています。現に、ごく近隣の国で公然と原爆を開発している国があり、わが国がミサイルの射程距離内にあるような現実があると、原子力への潜在的な不安は消しがたいと考えられます。中東にも、原子力を平和目的に開発すると言いつつも、その実態が不明確な国があります。核兵器保有国も、核拡散防止には熱心ですが、自ら核兵器を放棄する意志はないようです。このことが、わが国ばかりでなく、世界各国で原子力の平和利用推進の大きな妨げになっています。
核拡散防止は、国の安全保障や政治の重要課題でありますが、原子力の平和利用を目指す私たち(原子力部会を中心とした関係者一同)にとっても重要課題です。今一度ラッセル・アインシュタイン宣言の精神に立ち戻り、日本から世界へ訴えるために国、産業界、学会、技術者一人ひとりに何ができるか、何をやるべきかを討議して指針を与えてください。
2.原子力の怖さの再認識、安全性と信頼性について
40年以上原子力の仕事をした私が、今更ながら原子力の怖さを再認識し、安全性と信頼性の大切さを噛み締めています。炉型が違うとはいいながら、チェルノブイリ事故の惨状には、改めて原子力の怖さを感じます。安全文化が徹底されているわが国では起こり得ない事故だと言っていた矢先に、JCO事故が起こりました。原子力の怖さを知り尽くしているはずの集団でさえ、定検データの隠蔽・改ざん、蒸気配管の減肉破裂等、の間違いを起こしています。原子力施設の立地問題で地域の人びとの理解が得られない困難な状況が続いていますが、その大きな原因は先に述べた核拡散問題と原子力推進側の安全軽視にあります。(私も含めて)関係者一同、改めて原子力の怖さを再認識し、原子力立国たらんとするための決意を新たにする必要があると考えます。
部会報告書が述べる目標は、高速増殖炉技術を完成し、核燃料サイクルを確立して、人類が数千年分のエネルギー資源を得るための新しい一歩を踏み出すことにあると理解しました。ここで言うまでもありませんが、プルトニウムやナトリウムを大量に、安全に、セキュリティーも考慮して、しかもパブリックが理解し・納得した形で使いこなすことが必要になります。高速増殖炉が主力となる時代には、大型の増殖炉をわが国だけでも何十基も建設して安全に運転する必要があります。このためには、社会全体がこの開発の必要性を認め、開発段階からそのプロセスを完全に透明にし、失敗を容認し、建設的な意見を述べ合うような仕組みづくりが必要になります。このために誰が何をしなければならないかについて是非とも指針を与えてください。
3.開発体制について
ウランサイクルの完結を含めた原子力利用の技術は、本質的に世界全体の問題であり、わが国だけでなしうるものではないと考えます。国際協力と分担が不可欠です。そのためには開発の着手段階から世界の主要国が共同で計画を作成し、その計画に沿って開発する必要があります。国と国が競争したり、技術を隠しあったり、自分の国の利害を重要視したりすると、必ず大きな失敗をしてパブリックから見放される結果になると考えます。
高速増殖炉を含む核燃料サイクル時代においては、国内ではまず軽水炉時代の競争意識を捨てて産官学が一体になる必要があります。開発費用は国が負担すべきです。産業界が手におえる規模を遥かに超えるものと予想します。そして世界の国々とどのように協力し合うか、その開発体制について具体的かつ突っ込んだ検討をお願いします。
一言付け加えるとすると、世界的な核燃料サイクル技術の完成を目指す場合には、是非トリウムサイクルのことを考えておくべきだと思います。鉱物に含まれる資源としては、ウランよりトリウムが多いのです。しかも、Naを使わないで、軽水炉で増殖炉が実現できる利点があります。日本は世界の中でウランサイクルを担当すると決意するならそれでも結構ですが、例えばインドにはトリウムサイクルを担当してもらってもよいのです。大きな開発には常にリダンダンシーが必要だと思います。
4.開発計画の策定とプロジェクトの立ち上げについて
今回策定された筋道に沿って、具体的な開発計画を早急に策定願いたい。費用、人的資源、スケージュールを具体化するための産官学共同専従プロジェクトが必要ではないでしょうか。部会の今後の体制について十分な議論をお願いしたい。そして、夢のあるグローバルな大計画を如何にして社会に受け入れてもらえるかの戦略を考えてください。
特に重要かつ時間がかかるのは、人材の育成です。夢のある大きなプロジェクトが社会に受け入れられれば、必ずや優秀な人材が集まると思います。その人材は技術者ばかりでなく、核燃料サイクルを受け入れる社会作りができる文科系の人材も重要です。大学ではどのような教育をし、国の開発機関、産業界ではどのようにして人材を育成していけばよいか、綿密に検討する必要があると思います。よろしくお願いいたします。
5.〜原子力立国〜について
資源に乏しいわが国は、世界の中で最も早く化石燃料枯渇の影響を受ける国です。その国が技術力で、トリレンマへの対応方法を真っ先に世界に発信することが、世界平和や人類の持続的な成長への最大の貢献ではないでしょうか。21世紀後半以降を展望すると、エネルギー資源の柱になりうるのは原子力以外に考えられず、しかも山積する課題を解決するには残された時間は長くはありません。核拡散防止問題、安全や信頼性の問題、開発体制、具体的な開発計画の策定、人材の育成等に関して、わが国が世界に対してどのようにリーダシップを発揮するかについて具体的に検討をお願いします。
意見1
[該当個所]
全般
[意見]
本報告書は「原子力を巡る時代環境」「現状・課題と今後の対応」など詳細な分析とその対応策について検討されており、今までにない内容の濃いものとなっており、大いに評価したいと思います。特に「原子力立国」と名づけて原子力の重要性を国民にアピールしている点、および現状の3すくみ状態から脱出するためには、「国がまず第一歩をふみだす」という決意表明をしている点を評価したいと考えます。
内容はこれまで実施してきた原子力部会での真摯な検討結果を纏めたたものであると考えますが、それだけに本報告を纏めることでお役目終わりということで尻すぼみにならないようにしていただきたいと考えます。各実施項目を継続的に着実に実施していけるような仕組みも合わせて構築していただきたいと思います。その上で各項目のアクションプランを明確にして、その内容を公開して国民の理解のもとでの推進を図っていただきたいと考えます。
欲を言うと「原子力立国」と言うのであれば、もっと積極的な政策が欲しいという気持ちもあります。これらの点については別に意見を提出します。
意見2
[該当箇所]
第3部、第1章、現行水準以上の原子力発電比率の中長期的な実現に向けた取り組み全般
[意見]
「原子力政策大綱」では「2030年以後も総発電電力量の30〜40%程度以上の供給割合を原子力が担うことを目指す」とする政策目標を設定し、原子力部会でもこの方針を受けた政策検討がなされ、本報告でもそれに沿ったまとめがなされています。文言的には30〜40%以上ということで、どこまでも高い目標がめざせる表現になっているが、内容を見ると最大でも40%程度と言うのが実態であると考えます。今回「原子力立国」標榜しているのであれば、もっともっと高い目標を定め、その実現を目指さないと、近い将来に予想されるピークオイル問題に象徴されるエネルギー危機にわが国として対応できないのではないでしょうか。電力会社は電力需要の低迷や電力自由化の中での投資リスクの回避等の理由で新規プラントの推進には積極的ではないように思えます。このような意向を踏まえた現状是認の政策が30〜40%以上の表現ではないでしょうか。これでは「原子力立国」はできないでしょう。電力需要の低迷に対しては、化石燃料発電(石油、石炭、LNG)を段階的に原子力発電に移行することで対応できます。合わせてCO2削減効果も狙えます。また投資リスクについては、原子力発電所を債権化して一般投資家が参画できるような仕組みを作ることはどうでしょうか。リスクは米国でも行っているように一定の条件下で国が肩代わりするようなことも検討すべきと思います。このようなことを可能とする政策の検討を進めていただきたいと考えます。
意見3
[該当箇所]
第3部、第4章、技術・産業・人材の厚みの確保・発展 全般
[意見]
本件についてとりわけ憂慮すべきことは、図3.4.12に示されているように、最近の原子力関係学科・専攻における学部学生数の急激な低下であります。これでは将来の原子力人材確保はおぼつかない。この理由は学生達にとって原子力の将来像が描けなくなくなっていることが一番大きいと思われます。これを改善するための対策を立案し、実施していかなければならないと考えます。
私達はボランテイア活動で、原子力関連業界、行政機関、学会、研究機関、メデイア等で原子力関係に携わってきたOBを主体として「エネルギー問題に発言する会」を結成し、その活動の一つとして「学生とシニアの対話」企画を実施してきました。すでに全国九大学の主として原子力関係の学生と、「エネルギー危機と原子力の役割」について、本音ベースの対話を行い、学生側からも「勇気を与えられた」「経験豊富なシニアのかたと話せて貴重な経験を積んだ」等の感想を得て好評であり、さらにこの活動を発展させることを考えています。本年5月には、原子力学会の中に、シニアネットワーク(SNW)を設立していただき、組織的対応力強化を図ってきました。今後この活動を発展させるためには、対象学生を原子力以外の理工系学生、文系学生とりわけ教育部関係学生等に拡大していくことが必要であると考えます。そのためには、ボランテイア活動では限界があるので、国としての対応支援策など検討いただきたいと思っています。シニアのこれまでの経験は貴重な財産であり、次世代に継承していくことに役立てていただきたいと思っています。
意見4
[該当箇所]
第3部、第7章、原子力と国民・地域社会との共生 全般
[意見]
原子力の円滑な推進のためには、地域の方々のご理解・支持を得ることが最重要であることは言うまでもありません。本章でも色々な角度からの分析とそれに基づく対応策がのべられているが、いずれも重要なことであり、着実にこれらの政策の実現を図っていただきたいと考えます。地元の方々の理解・支持を得ることが難しくなっている原因の一つは、消費地に住む人たちの利益のために犠牲になっているという被害者意識が働いていることではないでしょうか。地元には色々な交付金、助成金、等がなされていますが、配分のアンバランスや個人には直接の還元が目に見えないので、反対しやすいなどがあり地元政治家も選挙民の意向に左右されやすいなどの状況もあるように見えます。その状況を改善するための一つの方策として、地元民が原子力発電所から直接利益を得られるような仕組み作りを考えてはいかがでしょうか。現在電力会社は電力自由化環境の中で、初期投資額の大きな原子力の新規プラント建設への意欲が減退しているように見えます。そうであるなば、原子力発電所を債権化して、個人の小口投資家が購入できるようにして資金を集めてはどうでしょか。現在低金利時代ですので、配当を魅力的にすれば大きな人気がでるでしょう。それを地元住民に優先的に割り当てするなどの対策により、地元住民参加型の原子力発電所が実現できます。発電所の建設、運転は電力会社に委託することで、安全確保も可能であると考えます。プラントの早期建設、設備利用率の向上が配当に反映できるようにしておけば、地元の意向での不必要なプラント建設の遅れや、プラント停止等も回避できるのではないでしょか。ご検討いただければ幸いです。
意見1 「原子力立国計画」計画に関して
[該当箇所]
表紙および全般
[意見内容]
エネルギー資源は国家の安定的な存続と国民生活の基盤である。各種のエネルギー資源のなかで、供給可能量と自立性を勘案すると、原子力エネルギーは、わが国にとって唯一の基幹となりうるエネルギー資源である。このことから、「原子力立国」という位置付けは、妥当な表題である。
残念なことは、電力エネルギーに限定されていることである。原子力の基幹エネルギーとしての役割は発電に止まらず、熱利用や水素製造など幅広い。電力エネルギーとしての役割を述べる前に、これらを含めた原子力エネルギーの全体象を明らかにすれば、「原子力立国」計画がそれにふさわしいことが一層明確になる。
[理由]
かつて石油の一滴は、血の一滴に値するとまで言われ、また、エネルギーの確保が太平洋戦争の要因ともなったことを忘れてはならない。エネルギー供給が国の安定的な存続、発展の基盤となること、原子力エネルギーはそれを可能とすることは明らかである。
電気事業分科会・原子力部会という立場から電力エネルギーが中心となるにしても、原子力全般を俯瞰したうえでの「原子力立国」であることに留意する必要がある。
意見2 「安定供給に優れるというメリット」に関して
[該当箇所]
第1章、第1節、5項(4)A(40頁)
[意見内容]
「政策目標の実現に向けた課題と対応策」のなかで述べられている原子力発電のメリットの可視化として、「地球温暖化に資するというメリット」とともに「安定供給に優れるというメリット」が上げられている。
この中で、「原子力発電には、・・・、より長期的な供給安定性の確保が可能であるといったメリットも存在する」と述べられている。原子力エネルギーは、エネルギー面における国家の自立性を画期的に強化し得るものであり、この結果、エネルギーに関連する諸問題(資源確保のための国際的な紛争など)を解決する潜在力が最も高いのが原子力である。このことを考えると、「供給安定性の・・・メリットも存在」という付帯的な役割に留まらない。「エネルギーの自立性向上による安全保障の強化」が最大のメリットと考える。このことは、わが国のおかれている資源と地政学的環境を鑑みると、もっと強調すべきである。
[理由]
エネルギーの自給率を向上するには、準国産エネルギー(高速増殖炉サイクルが確立すれば純国産エネルギーともいえる)である原子力と自然エネルギーの活用がある。自然エネルギーには、量的規模から一定の範囲以上は期待できないため、自給率の画期的向上を可能とするのは原子力エネルギーのみである。
意見3 積極的な負荷追従運転への配慮
[該当箇所]
33頁、一時的な需要の落ち込みへの対応
[意見]
一時的な需要が落ち込んだ際に、負荷追従が必要となる可能性があるとしているが、ベースロードに止めることなく、一定の負荷変動にも対応できるようにすることにより、基幹エネルギーとしての一層大きな役割が期待できる。「原子力立国」たらしめるため、一定の範囲で負荷変動を積極的に取り入れられるよう、一時的な需要の落ち込みに限定せずに、負荷追従運転を可能性とする制度を構築しておく必要がある。
[理由]
原子力発電比率30%〜40%程度であれば、原子力をベースロードで活用し、火力を負荷調整用に活用するのが、経済的に最善であろう。しかしながら、エネルギー自給率を40%〜50%程度にするには、原子力発電比率の一層の向上が必要となる。この場合、基幹電源である原子力での負荷追従も必要となろう。制度を限定的に制定せず、フランス並に電力の80%程度を原子力に依存することも視野に入れた運転も、将来の可能性として配慮しておくことが望ましい。
意見4 エネルギー自給率の画期的向上目標の設定
[該当箇所]
第2部、第1章、第1節、我が国の現状(12頁下段〜13頁上段)
[意見]
わが国のエネルギー自給率が主要先進国中最も低いことが述べられている。このことは、わが国がエネルギー面から自立性が低く、国家の安全保障上極めて脆弱であることを示している。
本計画には多くの目標数値が出されており、計画実現に際し具体的政策を立案、実施、評価のうえ、必要に応じ計画の改善・強化することができ、評価するものであるが、エネルギーに関して、わが国にとって最も重要な自給率に対しても、ぜひともこのような指標を制定する必要があると考える。
私は、他の先進国と比較すると、自立的な先進国としては自給率としては50%程度を目標とすべきであると考える。この実現のため、適切なマイルストーン(例えば2030年には自給率30%、2050年には40%、2000年代後期に50%など)を定めることを提案する。
[理由]
日本が近代国家になって以来、エネルギーの確保が国家の存続に関わる問題となってきたこと(石油獲得の起因して太平洋戦争に発展したことなど)を忘れてはならない。
今後発展途上国のエネルギー使用が爆発的に増大する中で、わが国のエネルギー供給を国際間の調整(協調)に委ねるだけでは、国家の基盤の長期安定性がおぼつかない。
意見5 新エネルギーの導入と課題と自然エネルギーの役割
[該当箇所]
第1部、第2節4項(17頁上段)
[意見]
新エネルギーの課題は極めて適切に評価されている。ややもすれば過大な期待をする傾向があるので、これらの限界を国民に分ってもらう努力を期待する。
同時に自然(再生可能)エネルギーは国産エネルギー資源であり、エネルギーの自立性を高めることから、自然エネルギーの活用目標を具体的に示す必要もあると考える。
自給率向上という面から、在来水力(新エネルギーには含まれないかも知れないが)、生物燃料(発電に限定せず自動車用など)なども含め、一定の範囲(例えば自給率で10〜15%程度)では期待してもよのではなかろうか。
[理由]
国産の一次エネルギー資源として現時点で実用的に利用可能なものは、原子力と自然エネルギーだけである。過大な期待をかけた費用の投入を避ける一方、合理的に活用できる範囲で、積極的な活用促進を図ればよいと考える。
意見6 「原子力立国」を支える地域社会の構築と人材の育成
[該当箇所]
第7章、原子力と国民・地域社会との共生(122頁)、第1節(3)地域振興の継続的取組、第2節、地域振興策について
[意見]
「原子力立国」を支えるのは立地地域である。「地域産業政策立案面でのサポート等・・・有用な国のリソースを、地域の実情に応じ、従来以上に地域との協力の下で活用していくことが重要である」とした地域振興への取組みが述べられているが、立地地域がその社会的役割を果たすうえで主役となるのは地域住民である。地域における「原子力立国」を支えるための人材育成と科学的合理性をもつ文化的風土の醸成が重要と考える。
[理由]
原子力立国を支えるには、原子力施設と共生する社会の構築が必要であり、これを担うのは地域社会である。これを実現するためには、様々な分野で活躍できる人材が地域社会に必要であり、これらの人材を地元から輩出することにより、自律的な共生が可能となろう。
ややもすれば産業育成に力が注がれがちであるが、人材育成にもっと着目するべきである。
「意見」
資源小国の日本人である私は、特に最近の石油価格を見て、日本人の為、引いては全人類の為にも、当面エネルギーは原子力しか無いと思います。今「原子力立国計画」を見せて頂き、日本の原子力に付いて、幅広く勉強させて貰いました。
それで、今思うのは、「プルサーマルの適確な進捗」「六ヶ所村の諸設備の適正な運用」「もんじゅの一刻も早い立ち上げ」をするべきだと思います。これらが、この計画に有る様に、全ての手を使い素早く実行されると原子力界も明るくなるでしょう。
極論すれば、(小生は無いと信じてますが)六ヶ所村やもんじゅが無駄になり、汚染地域だけが残ったとしても、今の様にグズグズするよりは良い様に思います。
以下、本計画を読んだ原子力素人の意見(感想)です。
意見1
[該当箇所]
第1部原子力政策立案に当たっての5つの基本方針。(5頁)
[意見]
これらは全てに付いて、何を今更とは思いますが、此が原子力界の現状だと思います。こんな当たり前のことから念押しする必要が有るのでしょう。・・・・・・・・・頑張りましょう。
意見2
[該当箇所]
第3部第7章第1節 国と立地地域の信頼関係の強化。(122頁)
[意見]
「自己の得票のために勝手な事を言う知事が居ても仕方が無い。中長期的な検討課題です。」と読みました。・・・・・・・残念です。
2006年8月8日 松永一郎、斎藤 修
総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の原子力部会は8月8日部会を開催し、コメントを受けて修正した報告書案について審議し、これを可決した。また、原子力立国計画政府側のアクションプランが提出され、了承された。また電気事業者等の取組・対応策も説明された。
最終報告書案は、従来の政府のコメント対応と全く異なり、コメントを十分に取り込み修正・追記されている。コメントの集約とそれに対する考え方の資料もよく整備されており、事務局の真摯な思いが伝わるようであった。多くの委員もこの報告書には満足のようであった。
今後のことについては、必要があればこの部会を再開して、進行状況について審議することがある旨の説明があった。またこの報告書は電気事業分科会に報告される。
以下に ・パブコメによる報告書修正 ・アクションプラン ・発言メモの3点について説明する。なお委員会の最後に、浜岡タービンの事故について関係者から説明があった。
また資源エネルギー庁望月長官及び田中部会長から挨拶があった。
T.パブコメによる報告書の修正・追記
パブコメは6月21日より7月20日までの間募集され、399件の提出があった。その多数は、原子力発電政策立案に当たっての基本方針及び今後の取組は適切なものであるとの意見であった。また反対の立場からの意見は20件程度であった。
コメントに基づき報告書案の54箇所について、修正・追記がなされたが、主なものは次のとおりである。
1.報告書の位置付けを明確にしてほしい
(基本方針の前頁に追加)
「5月に策定した新国家エネルギー戦略の中に、目標実現に向けた取組の一部として、取り込まれている。」
2.世界の状況
第2部 17頁 諸外国の状況に次を追加
・「サミット成果文書に、原子力エネルギーの開発が有害な大気汚染の削減、気候変動の課題への対応と同時に、世界のエネルギー安全保障に資することを確信する」
3.原子力をめぐる情勢の進展
(1)18頁@米国 に追記
・「本年6月NRGエナジー社が原子力発電所2基を新規発注する方針を発表」
これに関しては、90頁にも追記
(2)20ページA英国に追記
・「政府はエネルギー政策を見直し、本年7月に原子力発電所の新規建設に向けた方針転換を発表した」
4.広域運営に向けて国は積極的に環境整備を
第3部1章36頁追記
・「国は必要に応じて検討を行うことが必要である」
5.次世代軽水炉燃料のサイクル施設での受容性に言及すべき
第3部2章 49頁 A追記
・「今後の高燃焼度燃料などの実証試験等は、再処理工場に関わる要件を踏まえ検討を行うべきである」
6.ロシアでのウラン濃縮や回収ウランの再濃縮委託を念頭に、ロシアとの二国間協定を締結すべき
65頁 (3)Aに追記
・そのため関係国との間で緊密な対話を行うことが肝要である」
7.FBR「信頼性確保の観点を敢て排除し」はおかしい
71頁 第3節2章(2)該当文言を削除
8.二つの再処理工場が並行して稼動するため、技術者の維持確保に加えて適切な人材配置が必要
74頁(2)にその旨追記
9.ITER や原子炉による水素製造技術の開発が必要
92頁にその旨追記
10. 原子力発電・放射線部門の技術士の活用を
101頁 追記
・「事業者においては、安全管理や社内リスクコミュニケーション等の分野で、本資格を活用することを期待する」
11. 大学の人材育成
102頁、103頁、105頁、108頁 修正、追記
12. 米国とインドとの原子力発電協定の動きを記述すべき
115頁にその旨追記
13. 原子力や放射線教育は重要、学習指導要領の改訂や原子力OBの活用を図れ
134頁 OBの字句を追加
・「原子力関係の業務に携わってきた原子力OBの方々や・・・・・等外部の人材を活用することにより・・・」
14. 地層処分の重要性
138頁 に「国・関係機関・NUMOは密接な連携のもとで、研究開発を推進することが重要である旨」追記
15. 報告書の概要版の活用など、国民によく説明を
150頁 「終わりに」に追記
・「今回の「原子力立国計画」報告を受けて、政府側から具体的な施策の立案・実施についてのアクションプラン(別添)が提示された。併せて電気事業者・メーカー・研究機関・学会からもこの計画を踏まえた今後の取組・対応策について、意志表明がなされた。このような関係者の動きを歓迎するとともに、政府とこれら関係者が一体となって計画の実現に向けて取組を進められることを強く期待する」
U.政府側のアクションプランの概要 (平成18年8月8日 資源エネルギー庁策定)
1.原子力発電の新増設、リプレース投資の実現
1)9月の電気事業分科会で次を審議する。
・ 2006年度供給計画13基の実現
・ 再処理以外の使用済み燃料の費用積み立て
・ 新増設負担軽減のための引当金積み立て
・ 施設解体引当金の積み立て
2)広域運営促進
・ PPSの取扱は、2007年を目途に電気事業分科会で審議
・ 連携線の増強については、必要に応じ検討
3)原子力発電メリットの可視化
・ CO2排出原単位の統一算定方式を温暖化対策法に向けて環境省と調整中
・ 長期的安定性確保の可能性の分かりやすい説明、電気事業者と協力して検討
・ 全面自由化に向けての検討における、原子力発電への影響を議論する
2.既設原子力発電の活用
1)経年化対策
・ 高経年化対策の2006年1月から新制度実施
・ ガイドライン策定(2005年12月)
2)実効性の高い検査への移行
・ 事業者体制に応じたきめ細かい検査への移行
・ 運転中・停止中一貫した検査への移行
3.核燃サイクル推進と関連産業の強化
1)持続的・自立的サイクル産業の実現
・ ウラン濃縮技術開発への支援(補助事業)、2006年度29億円
・ 再処理支援:東海施設の利用
・ 再転換:第2再転換施設建設を関係事業者が検討
・ 燃料成形加工:ウラン廃棄物処分の具体化(国による基準策定と省令改正が必要)
・ 軽水炉MOX燃料加工:六ヶ所技術的確証試験の支援(20006年度1.6億円)
・ 回収ウラン:カザフスタンとの原子力協定を協議中
2)ウラン資源確保
・ JOGMEC機構による民間へのリスク補助―2007年度新規予算を検討中
・ 日本貿易保険、国際協力銀行による支援検討
・ JOGMECによるウラン探鉱に関わる人的知見や技術蓄積の拡大
・ カザフスタンにおけるウラン探鉱について関係省庁と協議中
4.高速増殖炉の早期実現
1)実証・実用化への円滑な移行
・ 関係者の協議:五者協議会を7月13日に設置
・ 技術面の検討のため、上記に学識経験者を加えて研究会をスタート、8月上旬
・ 予算確保についての特段の取組:文科省と協議して予算を獲得
5.技術・産業・人材の確保
1)日本型次世代軽水炉開発
・ フィージビリティスタディ 2006年度新規予算0.5億円、2006~2007年度実施
2)原子力発電を支える人材の育成
・ 現場技能者育成の為のモデル事業を支援、福井・新潟・福島・青森を選定(2006年度新規0.6億円)
・ 原子力人材育成プログラムを構築 施設を利用したインターンシップ、大学での人材育成プログラムを文科省と連携構築
6.原子力産業の国際展開支援
1)国際展開支援
・ 相手国への意志表示:中国・ベトナム・インドネシア対応
・ 人事育成への協力、原子力導入支援:中国・ベトナム・インドネシア
7.国際的枠組み作り
・ GNEPへの積極的対応、核燃料供給保証など
・ 日米政策レベル協議 2006年2月、5月開催、研究者レベルでの協議を継続実施
8.国民・地域との共生
1)国と立地地域の信頼関係強化
・ 地域住民との直接対話
・ 責任者による国の考え方と方針の表明
・ 電源特会による継続的支援、サポート
・ 国の検査への立地地域の参加
2)立地振興策
・ 高経年化交付金制度
・ 核燃サイクル立地及びプルサーマルに対し、交付金 2006年度に新設
・ みなし交付金の見直し:運転が再開出来ない場合の適用除外
3)公聴・広報のあり方
・ 8項目の事業を実施
・ 原子力立国計画の周知徹底を図る
9.放射性廃棄物対策の推進
1)最終処分地選定への取組
・ 関係者が最大の努力を:初期対策交付金の拡充(現行2.1億円を大幅に拡大)
・ 地域ブロックごとのシンポジウム開催 国民の各層への広報・公聴活動を強化
2)TRU廃棄物処分の制度化
・ TRU廃棄物事業の高レベル廃棄物との併置処分できるよう法改正
・ TEU廃棄物処分に関わる公聴・広報及び技術開発を強化
3)海外からの返還廃棄物の制度的措置
・ 英国からの受入れ(廃棄物の交換による):最終処分法の対象に追加するよう法改正を検討
・ フランスからの受入れ(固化体形態の変更):TRU廃棄物の地層処分事業の制度化の中で対応
V.発言メモ
(報告書に対する意見)
河瀬(敦賀市):原子力政策に立地市町村の思いをもっといれてほしかった。市町村は施設のすぐ傍に居り原子力は大事だという理解がある。今回の議論の中で、国と地方の関係において、県に主力が行っているように見える。
築舘(東電):味のある提言が多い。原子力にはフォローの風が吹いており、「原子力立国計画」というのも関係者が力を合わせて取り組むという決意が現れている。
秋元(原文振):広報、広聴に力を入れることになっているが、実際には予算30%カットされている。継続的な支援をお願いしたい。
内藤(日立):国際的な動向に足をひっぱられないように進めてほしい。英国はまだ厳しい。米国は当面の6基だけだ。どんどん行けという状況ではない。中国は資源争奪だ。日本から学ぶのは、メンテナンスだけだと言っている。エネルギー問題は各省庁別でなく、一体になってやるべきだ。
神田(京大):次世代軽水炉の研究の公募、ばらばらに進めるのではなく、国が纏めるべき。
事務局回答):団体を先に指名してやり、行革で叩かれた。コンセプトをまず立てるように変えた。国が予算を取る。電力から要求を聞く。メーカーからコンセプトを聞く。という順序を経て7~8年かけてやる。
(報告書承認後の議論)
木元(評論家):電事連は「原子燃料」、政府は「核燃料」。用語の統一は出来ないのか。
神津(作家):人事育成について、若い人はイメージで動く。そのようなマクロ的アプローチは出来ないのか。
「日本画家は残るが、材料を作る人は残らない」では困る。下支えする人が無くなる。目を配るべきだ。
定検見直しについて。地元との関係はできるのか。
長見(消費者協会):各地の図書館にこの報告を置くことは出来ないか。出来たら白表紙ではなく、きれいな表紙で。
事務局:いいアイデアだ。普通の本の形でそうしたい。
末次(エネルギーフォーラム):原子力は日本の有する唯一のセキュリティーパワーである。エネルギーの世界は米国−イラン問題他昨年から危機的な状況のなかにあるが、原子力発電稼働率は1%も上がっていない。世界では今年間稼働率が85%が常識である。適正な検査体制が必要だ。
山地(東大):中期的課題と長期的課題の区分が不十分だ。原子力の課題はまず、「現有設備の稼働率の向上」
そして「リプレース」、「核燃料サイクル」と続く。そこの仕分けを明白にする必要がある。
秋元(原文振):高速増殖炉について、フロントエンドは具体的だが、バックエンドが不明確だ。第2再処理2010までおいておくのは遅い。燃料加工は遠隔操作、遠隔製造となるが具体的検討を要す。
低線量被曝の影響、正確な知識を得られるよう広報が大事だ。
山名(京大):原子力発電のコストは変動する。定期的な評価が必要。
事務局:電気事業分科会の審議で議論があり、定期的な評価は必要ない。大きな状況変化があればその際見直すという結論になった。
児島(福井大):電源特会は将来の開発に役立つものであるべきだ。検討を要する。
内山(筑波大):アクションプランの遂行状況を定期的に評価する仕組みが必要。
植草(電力系統利用協議会):政府の施策がちゃんと行われることが大事だ。電事連が誓うのは不快だ。無理に言わされているようだ。
浜岡の事故は残念だ。電力とメーカーの協力関係、以前はシックリいっていた。これでは国際協力は出来ない。電力の指導的役割が薄れている。もっとしっかりやる必要がある。考えなおす必要がある。
事務局:決して押し付けたのではありません。ご理解を頂きたい。
以上