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原子力安全・保安院中間報告-----原因分析と結論(要約)
1.
今般の事実の背景と原因分析
(1)
事業者側の要因
原子力専門の技術者を中心とした独自の「テリトリー」が築かれており、原子力部門以外からの監査が及ばない雰囲気によって、保修や安全性判断にはこの限定された意思決定がなされた。この結果、この独善的な判断が習慣化し、安全確保活動の過程、点検結果の記録・保守及びそれによる事後的な再評価の軽視を許容する組織風土が醸成された。これによって、報告の怠りや不適切な処置が行われてもトップを含む部門以外に適切に伝わらなかった。
(2)
国側の要因
現規制では、自主点検の方法、結果の報告の要否に係るルールが整備されておらず、事業者の自主判断に委ねられ、不適切な行為を抑止できなかった。更に、組織的な不正に対する罰則運用が明確でなったことも法令遵守意識を万全としなかった。具体的には、@材料の技術基準の不備(設計・建設時と使用時の区分)Aトラブル等の報告徴収基準の不明確 B保修の工事手法の認定、認可・届出対象の範囲の不明確
(3)
事業者及び国に共通する要因
事業者と国のそれぞれが安全性の判断について、科学的・合理的な根拠に基づき、国民や地域住民に対して明確かつ十分に情報公開や説明の責任がある。にもかかわらず、事業者には、安全上問題がないと判断した事象は公表しないという誤認識があった。一方、国においても、申告内容や調査結果の公表について事実の処理に課題があった。
2.
結論
原子力安全規制行政の基本的なあり方を提起、
(1)
目標
・ 科学的合理的な規制を行い、安全を確保し事業者に法令遵守させる。(従来)
加えて次の要請
・ 事業者の保安活動プロセスの公正な実施
・ 規制当局による事業者の適正な保安活動監視(確保)
(2)
規範の明確化
・ 軽微な事象の取扱や許認可の対象範囲は法令の要求事項を超えた指導と対応を要請(従来)
次の改善
・ 法令に基づく要求、指導に基づく要求、国が対応を求めている事項やそうでない事項の明確な線引き
(3)
自主保安に関連した検査のあり方
・ 不正を抑制できる検査方法
以上