3.16 安全評価
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原子力発電所の安全性が妥当であるか否かを判断するのが、原子力発電所の安全評価である。これに関して安全審査において、「原子力発電所の安全設計の基本方針に関する評価(安全設計評価)」と「原子炉立地条件としての周辺公衆との隔離に関する評価(立地評価)」が行われている。
原子力発電所は通常の運転状態のみならず、これを超える異常状態においても安全が確保されるよう、軽水炉については軽水炉の経験と技術的知見に基づき、「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」が制定されている。本指針には、原子炉施設全般、原子炉及び原子炉停止系、原子炉冷却系などの原子炉施設と放射線管理について安全設計の指針が規定され、原子力発電所は、本指針に則り、設計されている。原子力発電所における安全設計の妥当性の評価について、評価すべき異常な過渡変化と事故、および安全確保の判断基準などが、「発電用軽水型原子炉施設の安全評価に関する指針」に規定されている。原子力発電所の安全評価は、本指針に則り、プラントの設計使用年数による高経年化も考慮して行われ、本指針に適合していると評価されると、原子力発電所の安全設計は妥当と判断される。
原子力発電所の立地条件の適否を判断する立地評価は、評価すべき重大事故と仮想事故における周辺公衆の受ける放射線量を評価し、「原子炉立地審査指針」に適合していると評価されると、原子力発電所と周辺公衆との隔離が適正に確保されていると判断される。
原子力発電所における機器・設備の機能・性能に対する初期の安全余裕は、、設計使用年数による高経年化を考慮しても、それぞれ定められた使用許容値を下回らないように設定されている。この安全余裕は使用年数とともに下がり、使用許容値に近づいてくる。従って、原子力発電所は、定期検査・供用期間中検査で確認された機器・設備の機能・性能をもとに安全評価を行い、安全審査で認められた原子力発電所の安全性・機能・性能を、保有していることを確認している。(澤井 定)