通商産業省資源エネルギー庁は、平成8年4月に纏めた「高経年化に関する基本的考え方」に基づき、電気事業者に対して運転開始後30年を迎えようとしていた敦賀1号機、美浜1号機および福島第一1号機について、安全機能を有する全ての機器・構築物の技術的な評価を実施するとともに、高経年化の観点から、従来の保全活動を充実する新たな保全策を抽出し、それを長期保全計画としてとりまとめるよう指導した。
電気事業者は技術評価および長期保全計画について、それぞれ国に報告書を平成11年2月に提出した。資源エネルギー庁は、原子力発電技術顧問からなる総合予防保全顧問会高経年化対策検討会の専門的意見を聴きつつ、これら3プラントの報告書の評価・検討を行うとともに、以後の高経年化に関する具体的取組について検討を行い、電気事業者の技術評価の方法および内容は適切で問題ないと判断し、評価結果を盛込んだ長期保全計画を具体的な作業工程に反映し、着実に実行することを要請した。
さらに全プラントについて、運転開始後30年を目途に最初の技術評価を行い、それ以降10年毎に定期安全レビューに組み込んで再評価するよう指導している。 また検査・モニタリング、評価技術、予防保全・補修技術など各分野の技術開発の推進、技術基準・規格の整備の必要性と、あわせて国民の十分な理解を得ることが不可欠であることから、国と電気事業者の対応について、情報公開が重要であるとの課題を提示した。
同庁は、「電気事業者の原子力発電所高経年化対策の評価、及び今後の高経年化に関する具体的取組について」とする報告書をまとめ、原子力安全委員会に報告し、同委員会はこれを了承した。 (小川
博巳)
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