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一般に機械構造物を設計する場合、外部から加わる力に対して、各部材に加わる応力を算出し、それが部材の許容応力以下になるよう設計する。許容応力は構造物材料の強さ(引っ張り強さ等)にある安全率(規定により3乃至4を採用している)を掛けて算出したもので、規定により決められている。
耐震設計には静的解析と動的解析がある。静的解析は決められた地震力が構造物に静的にかかると想定し、構造物の負荷応力が許容力以下であることを確認する。これに対して動的解析は決められた地震波が地下の岩盤上で加わったとして構造物全体の振動解析を行い、構造物の応力を算出し、これが許容応力以下であることを確認するという手法である。また建屋等が転倒しないことを確実にするため、転倒に対する転倒モーメントから接地率を計算しこれが決められた値以上であることも確認しなければならない。
これらの計算手法は建築基準法、さらに、原子力についてはこれより厳しく規定した、耐震設計審査指針で細かく規定されている。耐震設計においては先ず地震の大きさが問題になる。これは立地場所により違いがあり、過去の地震暦や、地盤、断層の有無などにより詳細な検討の結果決められる。
動的解析を実施する場合はさらに問題は複雑になり、地盤の各種定数や地震波の種類に何を選ぶかが大きな問題となる。これらの決定に当たってはそれぞれに設計余裕をとるので、建屋や構造物は必要以上に強固なものとなってしまう可能性がある。このようなことを考えると負荷応力は許容応力を超えても、極限強さを超えなければよいという考え方も十分考えられる。 (益田恭尚)
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