原子力発電を推進するには、軽水炉をわが国において定着化させ、安定した運転を維持しうるように努めることが極めて重要な課題であるという認識から、昭和50年に通産省に原子力発電設備改良標準化調査委員会及び原子力発電機器標準化調査委員会が設置され、軽水炉改良標準化計画がスタートした。
わが国における軽水炉は米国からの輸入技術からスタートしたが、その後電力会社やメーカで日本独自の技術開発も加え成果を上げてきていた。これ等の自主技術による信頼性・稼働率の向上、作業者の被爆放射線量の低減等の集大成を図り、各プラントにその成果を漏れなく反映することが、改良標準化の目的である。
第1次改良標準化は昭和50年度から52年度まで、第2次改良標準化は53年度から55年度まで実施され、その成果は第1表に示す通りである。
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従来のプラント
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第1次改良標準化プラント(注1)
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第2次改良標準化プラント(注2)
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改良策の例
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BWR
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PWR
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時間稼働率 |
プラントによりかなり異なる
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約75%
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約80%
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耐SCC材の採用
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燃料の改良
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設備利用率 |
約70%
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約75%
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炉心改良設計の採用
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蒸気発生器の改良
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定期検査日数
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・
配管自動ISI機器の大幅導入
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燃料交換機の改良
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原子炉容器蓋一体化構造物の開発
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燃料検査システムの改良
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従業員の作業放射線量
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(100%)とする
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約75%
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・
配管自動ISI機器の大幅導入
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コバルトフリー代替材の採用 |
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蒸気発生器マニピュレータ及び搭載装置の開発
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蒸気発生器水室用ノズル蓋の改良 |
改良型格納容器の採用(第1次改良策)
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(注1) 第1次改良標準化プラントの例: BWR:中部電力、浜岡3号炉 PWR:日本原子力発電、敦賀2号炉
(注2) 第2次改良標準化プラントの例: BWR:東京電力、柏崎刈羽2,5号炉 PWR:九州電力、玄海3,4号炉
これ等の成果を踏まえ、第3次改良標準化計画が昭和56年度から60年度にかけて実施された。これまで実施してきた第1次、第2次改良標準化プラントをベースとして機器・システムはもちろん、炉心を含む原子炉本体に至るまで自主技術を基本とした日本型軽水炉の確立を目指した。
第3次改良標準化の成果の概要は次の通りである。
@ 新型軽水炉の開発
A 従来型軽水炉の改良・標準化
B 耐震設計の標準化
C 経済性向上策
この内の新型軽水炉については、A―BWR, A―PWRとして従来の軽水炉より格段に優れた特性を持ち、かつ経済性向上策を図った軽水炉として開発され、実プラントへの適用も行われている。成果の概要を第2表に示す。
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現行の軽水炉
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A−BWR 、A−PWR
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安全性・信頼性
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―――
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従来型と同等以上であるとの評価 |
稼 働 率 (設備利用率)
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設備利用率、約73.9% |
設備利用率、約85%以上を達成(さらに90%以上も可能) |
被 爆 量
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370人・レム/炉・年 |
約50人・レム/炉・年 |
放射線廃棄物の低減(ドラム缶発生量)
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1600本/炉・年 |
約100本/炉・年 |
運 転 性
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現行の軽水炉においては日負荷追従は実施していない |
100−50−100%出力(14−1−8−1方式)の日負荷追従が可能。AFC,ガバナーフリー運転が可能 |
経 済 性
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発電原価10%以上低減(改良型と比較) |
立地の効率化
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電気出力の大容量化。耐震性の向上を図り、耐震条件の厳しい地点にも立地可。 |
資源の有効利用
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燃料サイクルコスト、約20%節約可能 |
以上(文責:林 勉)
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