原子力発電所の建設には多額の初期費用投資と長期の回収期間が必要であり、その長期計画の策定・実現に国がより強く関与する制度設計が必要である。さもなければ、原子力政策大転換はかけ声だけで終焉する事を危惧する。エネルギー安全保障の強靱化と脱炭素政策の観点から決定的に重要な原子力発電による電力供給を短期的採算性で支配されている電力市場メカニズムに任せておいていいのか大いに疑問である。更に、原子力政策においては、矢継ぎ早に閣議決定がされるが、原子力政策全体の総合的評価或いは政策の実効性を中立的に検証する独立性と権限を有する国の委員会が必要である。このような危機感の観点から以下の如き提言を発信するものである。
<提言その1:第7次エネルギー基本計画では脱炭素電源の主力定着化を目指し、原子力新設導入計画とそのタイムスケジュールを具体的に示されたい。>
<提言その2:原子力長期電源計画には国の更なる関与が必要である。>
<提言その3:原子力政策全体を評価・検証する評価委員会制度を立ち上げよ。>
我国の原子力産業基盤は脆弱化し、技術力の維持や継承が困難になっている。就職説明会への来場学生の減少、大学の原子力関連学科入学者数の減少、基礎・基盤的研究施設の廃止や高経年化などもあり、継続的かつ安定した人材輩出は難しく、現状のままでは、我が国の原子力による持続的なエネルギー安定供給ができなくなる。
こうした危機感を背景に、人材育成/確保のための環境整備として、①原子力長期ビジョンの明確化、②初等/中等教育の充実、高度人材育成の国家プロジェクトでの活用策、③原子力産業界における多様性の確保とジョブ型雇用・成果型報酬の制度化、④原子力開発のインフラ整備の促進と投資への税制上の優遇制度について、提言するもの。
http://www.aesj.or.jp/~snw/sympo/sympo-index.html
最終処分地の選定には、最終処分法に基づき2015年に改定された最終処分基本方針に沿って、政府、最終処分事業主体(NUMO)等による活動が続けられています。
①国を挙げた体制構築、
最終処分の実現に向け、政府一丸となって、かつ、国の責任で取り組んでいく姿勢が示されたことを高く評価します。
提言その1 政治事項
世界の分断・対立構造が長期化する中、我が国のエネルギー安全保障強化が最重要課題になっている。ロシアのウクライナ侵攻により国際秩序が破壊された結果、天然ガス等の価格が急騰し、世界はエネルギー資源の争奪戦に突入した。さらに、対ロシア経済制裁で世界経済の不透明感は一層増幅し対立と分断の構造は長期化の様相を呈している。その結果、欧米諸国の現下の最大関心事は「エネルギー安全保障と経済安全保障の同時強靭化」であり、日本も例外ではない。
提言その2 原子力の持続的活用の具体策の提案
【提言】2050年に於ける電力安全保障と脱炭素社会を目指して『再生可能エネルギー・原子力・火力調和電源ミックス』2022.5.15.SNW/発言する会会員有志牧英夫、新田目倖造、金氏顯、 川西康平、後藤廣、早瀬佑一)
東電福島原発事故を受け新規制基準での安全性が確認された原子力プラントを再稼働させることは、事故の反省と教訓がきちんと反映されたうえで原子力のリスクが大幅に低減されていることの明確な
原子力規制委員会に新規制基準適合性審査を申請した27基のうち、再稼働したのは10基に過ぎない。残り17基のうち7基は審査が終了し再稼働に向けた準備を進めているが、10基は現在もなお審査終了の見通しすらできない。この中には申請から9年を経過した発電所3基、6~8年経過が6基もある。(中略)いまや原子力政策の実現は規制行政次第という様相を呈している。許認可審査の迅速化は行政にとって重要な責務であることを改めて認識し、必要とあれば規制行政の抜本的な改革も辞さない覚悟で臨んでもらいたいと願っている。原子力規制行政の適正化、効率化を図り原子力政策を遅滞なく進めるための方策として以下を提言する。
提言1 発電所を必要な時に稼働できるよう規制行政を効率化すること
提言2 安全性への影響が少ない施設に対しては、運転中審査と運転中工事を可能とする制度を導入すること
提言3 政府は許認可の遅延を解消するために適切な方策を実施すること
今回のシンポジウムでは経済産業省から第6次エネルギー基本計画(案)について伺ったあと、産業界からその取り組み状況、「エネルギー問題に発言する会」から新増設・リプレースに向けた条件整備・提言を紹介することとしていましたが、世の中は自民党総裁選へと政局が動き、エネルギー政策が一つの争点に上がりました。自民党の議員連盟、通称「リプレース議連」にシンポジウムのご案内をしたところ、議連の活動について同議連事務局長滝波宏文氏からお話いただくことになり産官だけでなく政も一堂に会する開催となりました。エネ庁小澤審議官の講演後の質疑応答では電力の安定供給、温室効果ガス削減のため原子力は欠かせない電源であり第6次エネルギー基本計画(案)には“必要な規模を持続的に活用していく”の文言を入れて新増設・リプレースの必要性を表したとの説明を伺うことができました。
今回は講演者が現在原子力界に携わっている方々であったこともあり一般参加者や学生が少なく原子力関係者に偏り、慣れないWEB方式による不手際もありましたが、アンケートでは質疑応答で示唆に富んだ討論を聞くことができて満足であったとの多くのご意見をいただきました。また、主催者としても約250名の参加申込者があり、時宜を得たとても意義深いシンポジウムになりました。
【意見-1】“原子力ゼロ再エネ100%の脱炭素社会” 【意見-2】“核燃料サイクルの手じまい”は資源貧国日本の国益に反する |
核燃料サイクルは原子力発電を長期的、効果的、安定的に推進するための包括的なシステムであり、今日核燃料サイクルといえばほとんど「軽水炉サイクル」意味するが本来「高速炉サイクル」までが究極の核燃料サイクルであるとしてその意義と歴史について述べている。ここでは我が国の核燃料サイクル政策の変遷とこれにリンクする再処理方式・直接処分方式からの視点、核不拡散の視点からこれについて言及した。この「核燃料サイクルの歴史と意義」と併せて「主要国の核燃料サイクル完結に向けた開発動向」ではロシア、フランス、中国、インドの最近までの核燃料サイクルの開発動向を紹介している。 |
世界最高技術を創出した日本のウラン濃縮遠心分離技術開発は、ドイツが第二次大戦中の1942年に初めてウラン濃縮に成功してから17年後に開始され、しかも核兵器技術拡散を防止する観点で公開情報はほとんど得られない困難な状況で開発が進められた。この公開制限により、その開発史もとぎれとぎれとなっており、貴重な歴史情報の逸散も進んでいる。この様な状況のなか、「エネルギーレビュー」誌において「自主技術開発歴訪:ウラン濃縮遠心法」を連載する機会が与えられ。2019年7月号から2020年11月号まで16回にわたり遠心分離法の開始から現在までを連続した開発史としてまとめることができた。ここでは、エネルギーレビュー誌の許可を得て転載するものです。 |
2050年カーボンニュートラルは電力の安定供給と経済性向上の同時達成が必要である。そのためには2050年までに福島第一原子力発電所事故の教訓を反映した次世代軽水炉を30GW規模で新増設・リプレースする必要がある。 原子力産業界および学会では、近い将来の新設に備えて次世代軽水炉の基本設計の検討が進められている。その状況を踏まえて、2050年までに約30GWの次世代軽水炉を建設するためのマスタースケジュールを提案する。原子力を取り巻く環境は極めて厳しく、計画実現のために解決すべき課題が山積しており、猶予は無い。 |
2020年10月の菅総理による2050年カーボンニュートラル(CN)宣言を受けて公表された経産省の「グリーン成長戦略」(G成長戦略)では2050年電力ベストミックス(BM)の参考値として【再エネ:50~60%、水素・アンモニア発電:10%、原子力・火力(CCUS):30~40%】を提示している。しかし、現時点では実用化が全く不透明な新技術があたかも達成されたかの如く独り歩きした数値であり、前のめりし過ぎである。 |
電力の安定供給と脱炭素化達成に、一定規模の原子力発電が必要であるが、我が国では、法律により運転期間が40年に制限されている。科学的・技術的根拠のない運転制限を廃止し、40年超運転に道を拓く法改正を提言する。 |
新型コロナウィルスのために世界はパンデミックになり、国内でも感染の情報が毎日の話題になっている。一方原発事故から9年以上経過した現在、原子力への関心は薄れ、巷で話題になることも少なくなった。本来国の命運を左右するエネルギー政策は最も重要で喫緊の課題であるが、政府が国会で議論することはほとんどなく、国民も”あなた任せ”の感覚に留まっている。この小冊子は、マスメディア等による脱原発世論形成の過程を概観するとともに、日本のエネルギー確保のために原発の実力や課題を真正面から説明し、一般市民の理解に資することを目的とした。 |
❐本年10月19日、「2050年エネルギーミックスはいかにあるべきか?」を主題に第20回SNWシンポジウムを開催致しました。今回のシンポジウムでは地球環境問題、エネルギー問題に詳しい講師にご講演いただくとともに環境問題、再生可能エネルギー、原子力エネルギー等に造詣の深い専門家の方々に本音ベースの率直で熱心な討論をしていただきました。 ❐今回は主催側会員諸氏、エネルギー問題に関心のある学生、社会人など約150名が参集しました。閉会後の有志約80名による懇親会も盛会でした。 概要と会場風景 シンポジウム報告書 |
今回のシンポジウムでは地球環境問題、エネルギー問題に詳しい講師にご講演いただ
❐主催者側としては、このようなシンポジウを契機に再エネと原子力が夫々の特性を生かし我が国が
❐今回は主催側会員諸氏、エネルギー問題に関心のある学生、社会人など約180名が参集しました。閉会後の有志約90名による懇親会も盛会でした。
我が国が置かれているエネルギー供給の窮状に鑑み、日本の未来と我々の子孫の繁栄を確実なもとするために、原子力発電の必要性について正面から向き合った基本政策として頂かねばなりません。こ意見書は、エネルギー政策に対し的確な指針を提示するもであります。
提出したエネルギー政策に関わ意見書
最近の脱原発に関わる法案提出や元首相の不穏な動きに対して、一般国民に正しい情報を伝えることが重要かつ必須と考え、チームE 幹事団を中心に 脱原発政策の問題点を整理した資料を作成しました。
図表等を多用し、問題点を指摘したキャッチフレーズを中心としたパワーポイント版の資料で、機会を捉え一般の方々に対する情報伝達と共に、学生等への対話会での活用にも資することを目的としております。
なお、本資料作成を担当された方々は下記の通りです。(敬称略)
脱原発政策は国家を滅ぼし国民を不幸にする(PDF)
脱原発政策は国家を滅ぼし国民を不幸にする(PPT)
エネルギー政策の展望と福島の復興に向けて
シニアネットワーク連絡会第18回シンポジウム
2017/10/7 東京大学武田先端知ビル5F
「エネルギー問題に発言する会」共催で、第18回シンポジウムが開催されました。
基調講演 1「エネルギー長期見通しと原子力の課題ー国民を幸せにするエネルギー政策」 講演者 山本隆三 氏 (常葉大学教授)
基調講演 2「福島の復興・再生に向けてー現状と課題」
講演者 須藤 治 氏(原子力災害現地対策本部 副本部長
兼原子力被災者生活支援チーム審議官)
引き続き、パネル討論が行われました。「福島の復興と再生に向けて」
モデレーター:河田東海夫、(原子力学会シニアネットワーク連絡会)
パネリスト:越智小枝氏(相馬中央病院、非常勤医師)、
五阿弥宏安氏(福島民友新聞社社長)、
大江弘之氏(弁護士、キュービック・アーギュメント代表)
シンポジウム報告書(第1部)
シンポジウム報告書(第2部)
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本提言は「エネルギー問題に発言する会」の有志約40名で構成する特別作業部会「チームE」(代表:富樫利男氏、代表幹事林勉氏)によって作成したもの。主に国会議員や政策決定者などに対して、国のエネルギー長期計画に関し原子力の重要性をアピールするとともに、政治家諸侯の決起を促すのが目的。
我が国のエネルギー政策に係る提言
政策提言詳細説明
「エネルギー問題に発言する会」共催で、第17回シンポジウムが開催されました。
基調講演その1「原子力の正しい進ませ方とやめさせ方」石川和男氏(NPO社会保障経済研究所代表)
基調講演その2「原子力発電の安全性はどれだけ向上したか」諸葛宗男氏(元東京大学大学院特任教授)
引き続き、パネル討論が行われました。
モデレーター:早瀬佑一、パネリスト:諸葛宗男氏、木村浩氏(PONPOパブリックリアウトリーチ研究統括)、村上朋子氏(日本エネルギー経済研究所研究主幹)、大江弘之氏(弁護士、キュービック・アーギュメント代表)
シンポジウム報告書を掲載いたしました。